美人ジャーナリストは虜の身がお好きのようで-第6話
大手新聞社を退職した佐藤郁子はヒマと美貌と豊満な肉体を持て余す、フリージャーナリスト。
恋人の猛のツテを頼り、彼の先輩高見から依頼された仕事。
それは政界の性事情をスクープするための潜入取材、いわば密偵だった。
SM嬢に扮し、裏社会の面々と対峙する郁子だが敢え無く捕まってしまい…。
窮地に堕る郁子だが、秘めたるマゾヒスティックな性癖を存分に満たされる淫靡な調教に加え、政界のプリンスとのハードなプレイに酔いしれる羽目に…。
果たして郁子の運命はいかに?
作家名:邪道
文字数:約1550文字(第6話)
管理番号:k140
第七夜:黒幕登場に郁子はまたも肉体を昂ぶらせる
その時だ、ベッドルームのドアが突然開かれた。
松宮と何人かのシモベがずかずかと室内に侵入してくる。
「どういうコトだい? まだプレーの最中だぞ。出て行き給え!」
紳一郎は先ほどまでの穏やかな口調を一変させ、性欲を満たす至福の時間を邪魔された怒りを露わにした。
「大海センセイ、プレー時間は終了です。これ以上の遊興には、延長料金が発生しますよ。お偉い、大センセイのお説教、という授業料もかかりますしね…あ、逃げようなんて、思いなさんな、未来の総理大臣殿。これまでのプレーはすべて記録しておきましたので」
松宮が顎をしゃくると、紳一郎のカラダを抑えつけた男たちが、彼を別室へと連行して行く。
(ど、どういうことなの?)
狼狽する間もなく郁子も手足の鎖を解かれ、男の一人に連行されていく。
素足の裏に伝わるコンクリートのひんやりした感触が、恐怖心とそして、マゾヒスティックな感情に再び微かな火を灯した――――。
地下のさらに階段を下りた一室には、本格的なSMのセットが並び、ココに連れ込まれた女たちがその餌食になった姿を髣髴とさせた。
佐藤郁子は黒塗りの金属製の十字架に、手首と今度は足首まできっちり繋ぎ止められ、磔刑のイエスならぬマリアのような姿を晒している。
愛液に塗れたショーツも剝ぎ取られ、文字通り陰毛を晒した全裸だ。
素っ裸での磔刑というこれ以上ない放置プレーを受けながら、郁子は目の前に現れた本日の黒幕、狩野善一郎と、それに居並んでほくそ笑む柴田の姿に、マスコミ女子らしいカンを働かせていた。
(なるほどね、大海紳一郎は嵌められたんだわ…この柴田と狩野に…)
自分の変態的趣向にデバガメの網が張られていると目した狩野は、柴田を買収したのだろう。
最初は卜部なる情報屋と手を組んでいた柴田も、闇の権力者に迫られれば、宗旨替えせざるを得ないし、その方がはるかに‘実入り’も多かろう。
何らかの手段で目障りな紳一郎の性癖を掴ませ、彼を誘い出し、アバンチュールに耽るさまを撮影させた。
自分の醜聞の露呈を回避したばかりか、目の上のたん瘤の青年議員の弱みも握り、かつ、裏社会にも通じる柴田や松宮にも恩を売れる、すべてが彼の思惑通りなのだろう、と郁子は察した。
目の前では、イケメン政治家が老獪な為政者の前で蛇に睨まれた蛙のごとく、フリチンで土下座させられ、柴田のシモベが回すカメラの前で‘言質’をとられていた。
「わたくし…大海…紳一郎は…素人の女を…金で買い…自慰行為を強要し…」
郁子とのプレーを、赤裸々に己の性癖交じりに告白させられている。
もはや性感で革命を標榜する、国民的スター政治家の姿は影も形もない。
「そうか、わかったよ、君のご趣味は…。まぁ、人間誰でもひた隠しにしている秘め事はあるものだからねえ」
自分のSM趣味は棚に上げ、眼鏡の奥で、値踏みするような視線で大海紳一郎を見下ろす狩野だ。
「まあ、こういう映像が出回らんように、君も少しおとなしくしていてもらいたい、特に次の総裁選までは…わかっているね」
「は、はい…」
大海は屈辱的な全裸土下座シーンを撮影され、完全に意気消沈、今後、キングメーカーの忠実なる奴隷となること請け合い、という状況だった。
(男の世界って醜いわね…いやだわ)
郁子は、政治家同士の権力闘争を垣間見て、侮蔑の表情を浮かべる。
(大海を屈服させた以上、狩野が私を解放しない理由はただ一つだわ…。私が誰の指示を受けて、ココに潜入したか、ソレを聞き出すため…。と、いう事は…)
持ち前の聡明さと、マゾヒスティックな性的な嗅覚は、彼女自身の肉体が狩野の性癖の餌食になることを察し、密かに股間を火照らせる。
「さてと、お嬢さん…あんたには聞きたいことがある…」
狩野が郁子に視線を移す。
(来たわッ…)
郁子は微かな恐怖と、妖しい胸の高鳴りに酔い痴れた―――。
(続く)
※本サイト内の全てのページの画像および文章の無断複製・無断転載・無断引用などは固くお断りします。
リンクは基本的に自由にしていただいて結構です。