アナルリベンジ-第30話
愛する娘が残虐非道の扱いを受け、自殺する。復讐を誓ったおれは、娘の担任の妻を襲う。
作家名:優香
文字数:約1780文字(第30話)
管理番号:k137
外は夜の帳が降りていた。
「今夜はホテルのレストランにしよう」
歩き出すと、美奈子が着いて来る。
「あ、あそこに行くの?」
愛子が渋って、唇を尖らせた。
「何だ?ルームサービスが良いのか?」
「あら、素敵だったし、貴方も美味しいって言ってたじゃない?」
美奈子も愛子を振り返った。
「そっか、もう良いんだ。うん、行こう」
笑貌になった愛子がおれと美奈子の腕を取った。
ホテルのエントランスの奥にあるレストランに入り、芦ノ湖の湖畔の夜景が一望出来る窓際の席に案内される。
ふと、愛子の様子がおかしいのに気付く。
愛子が何かを気にしているかのように周囲を視回し、館内や従業員の態度を窺っている。
「愛子、どうしたんだ?」
「愛子、何かあるの?」
おれと美奈子が心配する。
「うん、大丈夫っ。何でもないっ」
愛子が、ふとおれと美奈子から視線を逸らした。
「いやーっ、だめっ。来ないでっ」
瞬間、愛子が美奈子の肩先に視線を留めて叫び、テーブルに貌を臥せた。
振り返ると、高級そうなスリーピースのスーツを着て、何処か時代遅れの髭を生やした小柄な老年の紳士が踏ん反り返るようにして、愛子を睨んでいる。
「何だ?この爺さん?」
「愛子?この方、どなた?」
おれと美奈子が、愛子と紳士二人を交互に視詰める。
この紳士が愛子に何か危害を与えそうになったら防がなければ。
おれと美奈子が同時に立ち上がった。
「嬢ちゃまっ、愛子嬢ちゃまっ」
「じょ、嬢ちゃまっ?」
「な、何っ?」
おれと美奈子は驚いて、成り行きを視詰める。
愛子は相変わらず貌をテーブルに臥せたままだ。
紳士が愛子の傍にゆっくり歩み寄った。
「嬢ちゃま、爺々は悲しゅうございますぞっ」
紳士が声を震わせた。
「じ、爺々?って?」
「何だっ?」
おれと美奈子は再び驚いて視詰め合う。
「ごめんなさいっ。爺々っ」
愛子が苦笑いを浮かべた美貌を上げて紳士に向けた。
「ご無事で、爺々は嬉しゅうございますっ。いえっ、爺々は許しませんぞっ」
「だから、ごめんなさいって」
愛子が気まずそうに、爺々に向かって両手を擦り合わせた。
「いいえ。許しません。お父様が急死なされて、彰様と跡継ぎでもめるのを気になさって家出された、その優しいお気持ちは痛い程判ります。しかし、しかしですぞ、お生まれになって間もなくお母様を亡くされて、嫁が乳母になってから、おむつを替えてあげたり、泣き止まない嬢ちゃまを何時間もだっこしてあやしたり、中学校の卒業式もお父様の替わりに行きましたこの爺々を、何で頼って来て下さらなんだ?爺々はノイローゼになる程心配しましたぞっ。捜そうにも宛てがないし。全くっ」
「本当に、ごめんなさいっ」
話が少し視えて来た。
爺々は敵ではない。
しかし、愛子は何者なんだ?
美奈子と視詰め合う。
爺々の眼が涙で潤う。
「もうじき、役員会がありますが、そこで嬢ちゃまの家出を公表しなければいけない処でした。警察に捜索願など出したら、公になって、マスコミが大騒ぎしますし。彰様は、自分は社長の弟だし、経営の才覚がなくて補佐役が性に合ってるから、正統な後継者である嬢ちゃまに社長になって貰って、自分は嬢ちゃまを支えて、このサンシャイングループを発展させたいと、何度も仰っておられました」
「サンシャイングループ?!?」
「愛子が社長っ?うそーっ!」
おれと美奈子はさっきから何度驚いて視詰め合っただろう。
サンシャイングループと言えば、この芦ノ湖もそうだが、宗谷岬から沖縄諸島まで、国内トップクラスの高級ホテルを数十ヶ所も経営し、東京、横浜、大阪、京都、神戸、名古屋、札幌、福岡にデパートを出店している超が幾つも付く優良企業だ。
育ちが良くて、賢い女の子だとは感じていた。
経営の勉強をしているとも話していた。
しかし、それでも、ただ美しい家出娘でしかないと想っていた愛子が、そんな大それた存在だったとは。
初めてこのホテルに来た時、従業員達の態度がおかしかった理由が判った。
そして、その後の従業員達の態度が、急に不自然でなくなったのは、恐らく、先日、何時も一緒にいたがるのに、美奈子が一緒に行くのを拒んで独りで本館に出掛け、キーホルダーを買って来た、あの時、従業員達に、普通に振舞うように指示したに違いない。
それにしても、そんな天上人のような愛子に、おれと美奈子は浣腸して排泄を晒させ、セックスし、アナルセックスさえし、岡井を釣る餌にさえしたのだ。
(続く)
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