セックスフレンズ-第5話
謎の美青年レオンを取り巻く女たちの物語。
作家名:ステファニー
文字数:約2890文字(第5話)
管理番号:k127
『いいのよ。気にしないで。私はここの常連だから、サービスしてもらえるの』
こんなホテルの常連であるとは聖羅は何者なのか。にわかにレオンは怖くなった。
『そうですか。でも聖羅さんはどうしてボクなんか指名したんですか?』
『里美って覚えてる?私の友だちなんだけど。彼女があなたをとても良かったって褒めてたから、私も試したくなったの』
聖羅はサングラスを外した。大きくカーブした長い睫毛と碧い眼が現れた。
『里美さんは覚えてます。半年前にお会いしました』
里美は歌舞伎町のホステスだ。やはりゴージャスな容姿で、立ち居振る舞いも洗練された女だった。聖羅ほどではなかったが。
『私たち、いつも男に尽くしてばっか。だから今日ぐらいは羽目外させて』
靴を脱いでソファに身を乗せた聖羅は、レオンに急接近し、そのままキスした。ハーブミントの香りがレオンの唇に広がる。聖羅はレオンに舌を絡ませてきた。
レオンは聖羅の下敷きとなった。聖羅は馬乗りの体勢をとった。たわわな乳房をレオンの胸に押し付ける。
五分ほどして聖羅は離れた。レオンは肩で息をしてしまう。一方で聖羅はほとんど呼吸が乱れていない。
あっち、と聖羅は奥のベッドを指差す。レオンは頷いて起き上がった。
大きな窓に沿って、二人はベッドに向かって歩を進めた。さっきまでは晴れていたはずだが、いつの間にかお天道様はなりを潜め、グレーの雲がせわしなく流れている。
ベッドでも聖羅はレオンに対して支配的に動いた。柔らかなマットにドスンとレオンを叩きつけ、猫のように這ってきた。そしてレオンのズボンの金具に手をかけ、下半身を剥いだ。
「はっ………」
既に屹立してしまったレオンの欲棒を、聖羅はウィンナーをかじるかのように口に収める。淡いピンクラメのグロスがレオンのナニに色づいた。
暖かく軽やかな聖羅の歯さばきがレオンを悶絶させる。これまでにないほどの技巧者であるとすぐに悟った。
聖羅は青いワンピースを脱ぎ、黒地にゴールドの刺繍が入ったブラとパンティだけになった。レオンも T シャツを脱ぎ捨てた。聖羅はレオンに被さる。互いの肌の熱が伝わった。
またしても聖羅の滑らかな舌がレオンの口腔内に侵入した。舌が絡み合う。
深い闇の淵にレオンは落ちた。全身が沈んでいくようだ。
広い空は二人を歓迎しないかのように曇り、水を差し始めた。たちまち新宿の街中を強雨に包み込む。吹きつける風は、満開の桜の花びらを巻き上げ、宙へと吸い込んでいく。
嵐に呼応するかのように二人の行為は激しさを増した。
張り裂けるほどのバストがレオンの面前に迫る。聖羅は二つの胸でレオンの顔を挟んだ。反射的に反応したレオンの下半身を聖羅は太腿で締めた。八方塞がりになってもがくレオンを見て、聖羅はニヤリとする。
腹の辺りがくすぐったくなった。レオンの胸元を聖羅が舐めているのだ。
膨らんでいくレオンの分身に、聖羅はパンティのまま女陰を押し付ける。そして笑った。
レオンは手を伸ばし、聖羅の乳房を鷲掴みにした。ゴム鞠のような感触がする。レオンの揉みに合わせて聖羅は官能に顔を歪める。
いたずらっぽく笑って聖羅は背中に手を回す。ブラのホックに指をかけたまま、下半身はレオンにぎゅっと押し付け、焦らす。レオンが乳房に向かって手を伸ばしてきた瞬間にぱっと 両手を広げ、二房のパイナップルを露わにした。
ザーっと音を立てた雨が窓を激しく打ち付けた。雨粒が次から次へと当たっては流れ落ちていく。紅色をした聖羅の乳首をレオンは咥える。聖羅は乳房を高く突き上げ、応戦する。 小さく遠雷が轟く。空は黒ずんだ。
レオンの股間を挟んだ太腿から、聖羅は黒いパンティをずらし、女の洞窟を見せんとした。布の外された痕を見て、レオンは驚愕した。聖羅は岬に黒い薔薇のタトゥーを入れていたのだ。
太腿につく聖羅の陰部はツルリとした感触だ。ここにあの薔薇が触れているのか、と思うと、また違った興奮に駆られる。
聖羅は少し腰を浮かせ、前へと移動し、ドスンとレオンの真下に落ちてきた。そのタイミングでレオンはあっ、と呻いた。聖羅の洞穴はレオンをすっぽりとはめていたのだ。
きつく、強く、聖羅は腰を動かす。レオンの男根はされるがままに、聖羅の腟内で上下にバタバタと揺らされた。
抽送をさせられながら、レオンは聖羅と目が合った。聖羅は不敵な笑みを浮かべる。
ゾッとしながらも、レオンの下半身にはこの上ない快感が広がる。
この女はウマい。
それは身体の相性を意味しているのではない。聖羅は悔しいが、誰とでもそれなりのパフォ ーマンスを提供できるだけのスキルを持ち合わせているのだ。
おそらく数多の男が聖羅の術中にはまり、掌の上で踊らされたことだろう。
レオンも寝た女から良かった、とよく褒められる。それなりに技巧派だと自負していた。だが、聖羅の前では到底太刀打ちできない。
春雷が西新宿に迫りつつある。稲妻からの間隔が、徐々に詰まってきている。
大きな閃光が窓から射し込んだ。聖羅の背中が光った時、レオンは喰われた。
だらしなくレオンは乱れた呼吸で肩を震わせた。
勝ち誇ったように聖羅は舌舐めずりをした。
ベッドを降り、二人はソファへと戻った。裸のまま、また聖羅はシャンパンを飲み出した。
『ありがと。良かったよ』
グラスを片手に聖羅は送信してきた。
『いえ、こちらこそ。凄かったです』
キャッキャッ、と声を立てて聖羅は笑った。うっすらとレオンの耳にも響いてきた。
『ところで、キミはこんなことを繰り返してて大丈夫なわけ?』
グラスに口をつけながら聖羅はレオンを見る。
『何のことですか?』
『とぼけるんじゃないよ。アンタが何者か私が調べてないとでも思ってるのかい?』
びっくりしてレオンは聖羅の顔を見た。聖羅は背を窓ガラスに向けたままそっとレオンから離れた。
『迂闊な行動は慎まないとね』
真っ暗な空に雷が瞬く。その灯りで聖羅の背中が窓に映った。
青く大きなアゲハ蝶が、西新宿の高層ビルの間をほんのひとときだけ舞った。
ヤバい。この女はヤバい。
レオンは自分の口元が引き攣るのを感じた。
『―謎に満ちた人気イラストレーター小鳩レイを追うー
世界的な人気を誇るイラストレータ ー小鳩レイ。その素顔はベールに覆われている。年齢、性別、出身地はおろか国籍や人種までもが非公表だ。わかっていることは第 32 回全日本工業イラストコンテストにて優勝し、大人気ゲーム「アニマルタウンズ」のキャラクターたちの生みの親であること。しかし、関係各社に問い合わせても、小鳩レイ本人との接触はなく、本人に関しては皆目見当もつかない と一様に口を揃えるばかりだ。あるファッション関係者は、「デザイン関係の学校を卒業している可能性があるのでは」とも見ている。小誌では今後も美術や被服関係の学校を中心に取材を続ける』
4 月の中旬にこの記事を掲載したところ、すぐに反響があった。清水編集長に塩入から言われた話を伝えたところ、とりあえず今の情報がないという状態を記事にしてみようとの提案を受けた。美咲は乗り気でなかったが、その案に乗っかったところ、編集長の勘は当たり、タレコミの電話が一本、編集部にかかってきた。
(続く)
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