加奈子さん-第2話 2860文字 バロン椿

加奈子さん-第2話

「あら、やっぱり洋一さんね。お久しぶり」と、私は6年振りに荻原加奈子と再会しました。
彼女は交通事故で亡くなった高校の一年後輩の荻原健太郎の母、いや、私の初体験の相手と言った方が正しいでしょう。
思い出しても、股間が硬くなるほど、狂った夏。堪えられなくなった私は、「あ、あの、時間に遅れるとまずいので」と、その場から逃げ出してしまいました。

作家名:バロン椿
文字数:約2860文字(第2話)
管理番号:k118

全く予想もしない言葉。「えっ、め、免許?」と聞き返すと、「へへへ、カオルさんがバイクに乗りたいって言うから」としまりのない声が。その瞬間、ミニのワンピース姿のカオルさんの顔が浮かび、思わず「何だ、そういうことか」と笑ってしまうと、再び、「へへへ」と、全くしまりのない笑い声が響いてきた。

色恋など分からぬ高校3年だから、年上の女と付き合う話を聞かされれば、羨ましいと思うだけ。「好きなんだな」と私が言うと、間髪入れずに「いいでしょう?」と得意気な声が聞こえてきました。

もう、部活に身が入らぬからと言って、「ダメじゃないか」と叱る気持ちなど、どこかに消えてしまい、ただ、先輩面して、「免許のこと、学校にバレないように気をつけろよ」と言って電話を切りました。

翌日、部活で顔を合わせると、荻原は「先輩、内緒ですよ」と近寄ってきましたが、秘密を打ち明け、すっきりしたのか、逆に「さあ、気合入れて行きましょう!」と私の背中をバンバン叩いてきました。切替えが速いと言うか、まったく現金な奴です。

セクシーコスプレ02

交通事故……

荻原は運動神経のいい奴ですから、5月中旬、バイクの免許証を取得し、ニヤニヤしながら「先輩」と自慢気にそれを見せに来ました。
私は「凄いなあ」と感心すると同時に、これで荻原はカオルさんとバイクでデート出来るのかと思うと、とても羨ましくなりました。彼は「へへへ」と笑うだけでしたが、その顔には、「カオルさんとデートですよ」とはっきり書いてありました。そして、「さあ、練習しましょう!」とグラウンドに飛び出した姿は、「やったぁ!」と喜びに溢れていました。

6月、インターハイ道予選。私たちは一回戦には勝ったものの、二回戦で敗退。でも、「先輩、ありがとうございました」と荻原と握手をした時、清々しさと充実感で一杯でした。

これで私は選手引退。授業が終われば、真っ直ぐに帰宅して、受験勉強に専念です。だから、荻原とは学校の廊下ですれ違う他は、会わなくなりましたが、日曜日など、ふと、荻原はカオルさんとデートか……なんて思い浮かべることがありました。
そんな荻原が、8月、17歳の若さで突然亡くなってしまいました。

前日、夜中まで勉強していた私は、「洋一、大変よ、荻原君が死んじゃった」と母親から叩き起こされました。
「変なことを言うなよ」と寝惚け眼で起き上がりましたが、母親の顔は真っ青。「これよ」と震える手で差し出された新聞の朝刊には「高校生が交通事故で死亡」との見出しに続き、「昨夜午後7時頃、荻原健太郎君(17)は運転するバイクで転倒し……」と彼が亡くなったことが書かれていました。

「お、お母さん」と私も手が震えてきました。そして、「どうしたらいい?」と聞くと、「仲良しなんだから、とにかくお悔みに行って来なさい」と母に言われ、顔を洗っただけで、朝食も取らずに家を飛び出し、彼の家に向かいました。

その日は予備校の夏期講習がありましたが、それどころではありません。それに暑い日だったと思いますが、何も覚えていません。ただただ「ウソだろう、ウソであってくれ」と思いつつ彼の家に行くと、目を赤く泣き腫らしたカオルさんがひとり留守番をしていて、「まだ戻ってきていないの」と教えてくれました。しかし、そのまま帰る訳にはいきません。カオルさんと一緒に待っていると、がっくりと肩を落とし、やつれた顔をした母親の加奈子さんだけが帰ってきました。

「暑いしね……」と言うのが精一杯。夏であることから、彼は葬祭場の霊安室に安置してあるとのことでした。
それから葬儀が終わるまで、加奈子さんは涙を見せず、「皆さんに送られ、健太郎も喜んでいると思います」と気丈に振る舞っていました。しかし、全てが終わり、家に戻ってくると、抑えていた感情が溢れ出し、遺骨になった荻原を抱え、「うぅぅ……」と泣き崩れてしまいました。
それを見て、親戚が少なく、最後まで付き添っていたカオルさんと私も涙が止まらなくなりました。

葬儀の夜

「あ、僕だけど……うん、そうなんだよ、おばさんが泣いちゃって……それで、少し落ち着くまでここにいようと……」
カオルさんと相談し、このまま加奈子さんを独りにはできないとなって、私は電話で母にそのことを伝えました。荻原とは私が彼の家に遊びに行くだけでなく、彼もうちに泊まりに来たりしていましたから、母も「そうね。そうしてあげなさい」と了解してくれました。

そして、電話を終えて二階の居間に戻ると、喪服からブラウスとスカートに着替えたカオルさんが「ごめんね、付き合わせちゃって」と簡単な食事の用意をしていました。

「あ、いえ、大丈夫です」と私が座卓の前に腰を下ろすと、そこに浴衣に着替えた加奈子さんが入ってきました。目は赤く腫れていましたが、「ごめんね、迷惑かけちゃって」と私たちに頭を下げる様子から、少し落ち着いてきたように思えました。カオルさんも同じように感じたのか、「これで大丈夫ね」というように私に頷いていました。

しかし、お酒が入ると、ダメでした。「何で免許なんか取らせたのよ!」と再び泣き出し、カオルさんは「ママ、やめましょう」と慰めましたが、感情が高ぶり、「うるさい!」と大きな声を出しました。

母と子の二人暮らし。一人息子を亡くした悲しみは傍で考える以上に大きく、普段なら絶対に見せない、そんな姿に、カオルさんも私も掛ける言葉がありません。しかし、それでも、「ねえ、疲れているのよ。もう休みましょう」とカオルさんが肩を抱いて、布団の敷いてある隣の部屋に連れて行こうとしました。だが、それを「離してよ!」と突き飛ばすと、「あんたが、バイクが好きだと言ったのがいけないのよ」とヒステリックに叫びました。

セクシーショーツ一覧01

これには、さすがにカオルさんも「いくらママでも酷過ぎる」と切れてしまい、「勝手にしなさいよ」と怒って出て行ってしまいました。でも、「帰りたければ帰ればいいのよ」と荒れる加奈子さんを独り残す訳にはいきません。そこで、「おばさん、もう疲れているから」とお酒を取り上げようとしましたが、「生意気なことをするんじゃないわよ」と返って怒らせてしまい、手がつけられなくなりました。

しかし、張り詰めていた気持ちも、お酒が回ると緩みます。残っていたお酒を飲み干すと、「何で死んじゃったのよ」と言って、「わあー」と泣きながら私に抱き付いてきました。

遺影を見ると、荻原が笑っています。すると、私も悲しくなって、「荻原、何で死んじゃったんだよ」と加奈子さんを抱き締め、ワンワンと泣いてしまいました。つられて、加奈子さんも肩を震わせ、わぁーと泣き声が一段と大きくなりました。
どれだけ泣いていたか分かりませんが、気が付くと、加奈子さんが涙を一杯に溜めた目で私を見詰めていました。

ドキッとしました。これまでの息子の友だちを見る目ではありません。酔っているというより、目が据わっているというか、正気ではありません。私は「お、おばさん」と後退りしましたが、「洋一っ!」と加奈子さんに押し倒されてしまいました。

(続く)

※本サイト内の全てのページの画像および文章の無断複製・無断転載・無断引用などは固くお断りします。
リンクは基本的に自由にしていただいて結構です。

▼セクシーランジェリー通販サイト
インナージュエリー
ベビードール
セクシーショーツ
セクシーブラ&ショーツ
セクシーコスプレ
セクシーテディ
網タイツ・ストッキング
ボディストッキング
ガーターベルト
無料で読める官能小説一覧

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする