私の「青春の蹉跌」-第5話
あなたは女性に職場まで押し掛けられた経験がありますか?例え、妻以外の女性と付き合った経験があっても、「ははは、そんなへまはしませんよ」と笑うかも知れません。
私もそうでした。しかし、持ち出された事が10年以上も前のこととなると、「えっ、まさか……」と言葉に詰まってしまいます。
「青春の蹉跌」なんて……自分の身に起こるとは考えたこともありませんでした。
作家名:バロン椿
文字数:約3050文字(第5話)
管理番号:k079
「ふう、気持ちええね」
史恵さんもようやく頬に赤みが戻り、額には汗が滲んできました。
「体、洗ってあげるから」
「ほな、お願い」
幾度か体を交えた私たちは互いに何も隠しません。
私はタオルにシャボンをつけ、背中、胸、下腹部を洗うと、肩から湯を掛けて洗い流しました。
史恵さんの肌は湯を弾いて光り輝いていました。
「今度はうちが」
タオルを受け取った史恵さんがふふっと微笑みました。
「立派になって」
「えっ、何が?」
「しっかり剥けて、もう大人やね」
史恵さんは洗うのを止めて、ペニスを握ってきました。
「健ちゃんは一度出しておいた方がええ」
「あっ、いや、そんな」
私は史恵さんの肩に掴まりました。
史恵さんは私の顔を見ながら手を動かしますが、彼女の言う通りです。
最初はどうしてもダメなのです。
「ふ、史恵さん……」
「もう出るんか?」
「う、うん」
ペニスがピクピクと痙攣して堪えきれません。
「あっ、う、うぅぅ……あっ!あっ!あっ!……」
ペニスに被せたタオルに思いっきり射精しました。
「後はお部屋でな」
「うん」
旅先ということもあったのでしょう、部屋に戻ると、史恵さんはいつもより大胆でした。
「早よ、嘗めて、舌でペロペロやって、ここを、ここを嘗めるんよ……」
座布団を並べて横たわると、大きく脚を広げて催促してきましたので、私もそれに応えました。
指で秘肉を開いて押し広げ、言われるようにクリトリスの頭をペロペロと舐めました。
最初は「はぁーはぁー」と荒い息をするだけでしたが、「あ、あ、あああ」というあえぎ声が混じってきました。
史恵さんはすっかり濡れていました。
「入れて」
「うん」
私は史恵さんの脚を抱えて、ペニスを割れ目に挿し込むと、そのまま覆い被さりました。
「うぅ……」
「あん……」
史恵さんは私の尻を抱えて下から腰を持ち上げてきます。
私も一度出していますから、ある程度は腰を使う余裕がありました。
「もっと、もっと、そう、そう、もっと、もっと早う……ああ、ええ、ええわよ…」
ペチャペチャ、グチュグチュ
ペニスを抜き差しする音と腰がぶつかる音、私はその音にさらに刺激を受け夢中になって腰を動かしました。
すると、史恵さんは外にも聞こえてしまうような大きな声を出し、私にしがみついてきました。
「ああん、あ、あ、ああ、ええ、ああ、あっ……わわわわぁ~!!」
私は一度出しているとは言え、もともと長くありませんから、限界でした。
「史恵さん、うっ、うつ、うぅぅ……ううう……」
「はぁはぁ、はぁはぁ…うち、おめこ、おめこ……」
「ぼ、僕も、ダメ、もう、ダ、ダメ、出る、で、出る……」
「うち、うち、あかん、あっ、あ、あ、ああ…逝くぅぅぅううぅ!!」
私は腰の奥の方に溜まっていた精液を史恵さんの中に思いっきり放出し、腰から力が抜けてしまいましたが、史恵さんも大きく叫んでがくっと力が抜けてしまったようでした。
私も史恵さんもそのまま重なっていましたが、しばらくして史恵さんがぽつりと言いました。
「うち、ほんまに逝ってしもうた……」
最後の最後まで
二人だけで泊まる温泉旅館、燃え上がるにはこれ以上のところはありません。
食事の支度の際、仲居さんも部屋に漂う匂いで分かっていたようです。
私の顔を見て含んだ笑いを浮かべていました。
何しろ、私たちが裸でなかったのは食事の時だけです。
射精しても、史恵さんが手を握ってくれば、それに応じてこちらも握り返し、そして抱き合い、互いに求め合う。
抱き合ったまま眠ってしまい、目が覚めたのが午前6時。史恵さんもおかしくなっていました。
二人で湯に浸かっていると「健ちゃん、うちん見たい?」と言い出しました。
何度でも見たいのは当たり前です。私が「うん」と答えると、「ほな、そこに横になって」とタイルの床に私を寝かせると、史恵さんは私にお尻を向けて跨りました。
「ふ、史恵さん……」
朝陽を浴び、秘部の奥の膣口も皺しわのお尻の穴もはっきり見えました。
それだけでも私も腰に力が蘇ってきたのですが、「フグ、フグ、フグ、チュパ、チュパ……」と史恵さんがペニス口に咥えて舌を絡めてくると、直ぐに勃起してしまいました。
「もう待てへん」
史恵さんはそう言うと、体の向きを変えると、ペニスを添えて膣口にあてがうと、そのまま腰を下ろしましたので、一気に根元まで入ってしまいました。
「ええ、ええよ……」
史恵さんは目を軽く閉じると、ゆっくりと腰を上げたり下げたり、ペニスが膣内を出たり入ったりするので、「ふ、史恵さん」と私は少しずつ怪しくなってきました。
「我慢やで、健ちゃん、我慢やでぇ」
「う、うん」
史恵さんの腰の動きが早くなってきました。ピチャピチャ、クチャクチャ、グチョグチョと体がぶつかり合い、性器が擦れる音が耳に響いてきます。
「もう、ふ、史恵さん……もう……あっ、あ、ダ、ダメで……」
「ああ、あかん、うちも、うちも、ええ、ええ、健ちゃん、ええよ……」
私の腰が持ち上がり、少しの時間、そのままで持ち堪えていましたが、「うっ!」と息を吐くと、またも史恵さんの中に射精してしまいました。
布団に戻り、微睡んでいたら「お客様、そそそろ」と午前11時近くに起こされ、追い立てられてチェックアウトしました。
私は疲れ果てて、帰りの列車ではずっと眠っていました。
認知して欲しいんよ
「お母さん、出て行ってしまった」
5月の連休前、相楽明恵が電話してきました。
「外に男がいたなんて」
「あ、あの」
「子供が出来たって……もう恥ずかしく……」
「ぼ、僕は」
「お母さんも相手の男も最低!顔も見たくない!」
そう言って電話は一方的に切れました。
私は史恵さんの言い付けを守り、他人に気が付かれないようにしていたつもりでしたが、娘の明恵は誤魔化せなかったと思います。
「何だ、健介か……お母さん?何でお母さんに用事?」
私はどうしても史恵さんの声が聞きたくなって電話をした時、明恵が電話を取ることが何度かありました。
やっぱり不自然に思っていたのでしょう。
それから14年、私の目の前には史恵さんが座っています。
「健史(たけふみ)もいろいろ難しい年頃やし、お金も掛かるしなあ、うちも心細うて。相談できるんは健ちゃんだけやから」
「あの……」
「戸籍のこともあるし、今度は高校でな、それから大学へもやりたいし……」
私は背筋に冷たいものが流れてきました。
「認知して欲しいんやけど」
「に、認知……」
「家庭崩壊」、自分には全く無縁のことだと思っていましたが、今、目の前のことはまさにその第一ステップか。
私の頭に妻と子供の顔が浮かんできました。
「まあ、じっくりと話をしたいんよ。うち、健ちゃんにもう一度抱いて欲しいし。また、連絡するから、よろしく」
午後10時、「あの、もうそろそろ」と警備のガードマンに促されるまで私は応接を出ることが出来ませんでした。
エピローグ
4月の定期人事異動が発表され、私は北海道支社の営業部課長代理となりました。
「……ということで、当営業部としてはエース格の小池君を失うことは非常に残念ですが、先方から『どうしても』と懇願され、私としては断腸の思いで、彼を送り出す訳でして……」
部長はこのように言ってくれますが、要は「所払い」です。とても虚しいです。
前年に匂わされた栄転先はどこだったのか?
人事は確定するまで、分からぬものです。
だから、栄転先がどんなポジションだったかなど、どうでもいいことなのです。
それよりも、問題なのは史恵さんです。
「健ちゃん、どないしたん?」と北海道まで追い掛けてくるのか、今はそれが最大の心配事です。
(終わり)
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