ビッグさん-最終話 3060文字 ステファニー

ビッグさん-第5話

冴えない埼玉の主婦が新宿のアクアリウムレストランで開かれたシークレットパーティーに参加する物語

作家名:ステファニー
文字数:約3060文字(第5話)
管理番号:k084

私は男の腕を振りほどいて、床に捨てられたドレスを拾い上げようと、力を込めて男の腹を肘で殴りにかかった。だが、男の腹部は厚く、私の細い肘など簡単にはね返した。
その時だった。

突如、私は下半身に心地良さを感じた。生あたたかい何かが私の股を行きつ戻りつしている。私はたまらなくなり、吐息を漏らしてしまった。
さらに胸の辺りも熱くなった。先端がつまれているようで、痛気持ちいい。

ふとした瞬間に、鏡を見てやっと合点がいった。私をバックから抱いている男が、私の股間を右手で、乳首を左手でいじくり回していたのだ。
私は場内にいる他の輩と同じく、裸体を晒し、交わいを愉しみつつあった。

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これではいけない。私は違うのだから。
頭ではわかっていても、身体はそうはいかない。本能にしか従わない。
私の熟れたふたつのマンゴーがバウンスされている。その下には揺れる黒い叢が生い茂る。

自分の身体がこんなにもいやらしいなんて、私は思ってもいなかった。乳房はAV女優さながらに膨らんでおり、ショーツからはみ出ない程度にしか手入れしていない陰毛は黒々と妖しく光っている。成熟した大人のオンナだ。私は自分を見つめているうちに陰部が湿るのを感じた。

いけない。
私は埼玉の冴えない主婦なのだ。
柏の国病で働く非常勤職員なのだ。

四流大学しか受からなかった落ちこぼれなのだ。
誰の記憶にも残らないその他大勢の一人なのだ。
家族から見放された鼻つまみ者なのだ。

四十路を少し過ぎて皺とシミがうっすらと肌全体に浮き出たおばさんの入口をくぐってしまった年頃なのだ。
華やかな乱交パーティーなど、無縁なのだ。こんな女を犯しても、なんの得もないはずだ。だから赦して欲しい………。後生だから………。

男の指は止まらなかった。弾力のある指圧で、男は私のクリトリスを突っついた。
「あああっ、ああああああああぁぁぁ…………!!!」
思わず私は叫んだ。男の力加減があまりに絶妙で、たまらなくなり声を上げてしまった。私の様子を見て男はさらに高速でクリトリスを刺激してきた。

かつてない快感が私の下腹部を包み、膣口からじんわりと生ぬるい液体が湧き上がってきた。媚肉はヒクヒクと動き、次に起こることを期待していた。
その希望はすぐに叶った。
背筋と腹筋の間を一本の芯が貫いた。

私は呻いた。
「うぅぅっ、ああああああああぁぁぁ……」
上を向いた男の欲棒が私の膣内で暴れ回る。上下するメリーゴーランドの木馬がかなり速くなったような動きをしている。私はこんなに強い抽送を受けた経験がなく、受け止める脚力が無かった。

へなへなと崩れ落ちた太腿は余計に膣の角度を拡げてしまい、男根の可動範囲を増やした。それにより、男は四方八方を突いてきた。
浅めをつついたかと思えば深めを責める。前部に傾いたかと思えば後部に下がる。左右上下を自由自在に移動し、私の膣内を飽きさせなかった。

同時進行にて、私の乳房をポーン、ポーンとまるで風船を叩くかのように弾く。その先端に張り付くボタンは、当然の如く真ん中に硬みを帯びていた。もはや私は抗う気が失せていた。
ああ、恥ずかしい。でも気持ちが良い!

私は他人の前で裸になっているという事実など忘れ、自分の性行為にのみ夢中になった。久々のセックスで、しかもバックでのプレイは初めてだが、戸惑うことなどなく私は応じている。男の抽送に合わせて腰をスイングさせた。

程なくして男根が暴発したのを感じた。私はこれきりか、と一抹の寂しさをおぼえた。
膣内からスっとイチモツが抜かれ、身軽になった。私は名残り惜しくなって振り返った。
そこにいたのは田端ゴリラだった。

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間近で見るとますます巨漢の迫力があり、普通ならたじろぐ。だが、この時の私には愛おしくて仕方なかった。私は自分から田端に抱きついた。
意外なことに田端は私を受け止めてくれた。私たちは既に一戦を終えて空いたばかりになったソファになだれ込んだ。

私は下になり、M字に開脚した。田端は私の上に馬乗りになり、クリトリスと膣口に指を入れてきた。
田端の指の動きは軽快かつ力があり、私の脳内は思考停止に陥った。小刻みに動く振動は繊細で、私の膣を奮い立たせる。

や・み・つ・き…………。
女の岬から突き上げる快さに恍惚とした私は、止めどなく波飛沫を巻き上げた。いくら出しても、奥から奥からまたしても熱いものが押し寄せる。私はだらしなくアソコから愛液を垂れ流した。

田端は滴った私の膣へ挿入してきた。
二・回・戦。
嗚呼、最っ高!!!

私の膣内いっぱいに田端のナニが広がる。横になっている今は、さっきよりもずっしりと田端の分身を感じた。私は下のお口で目いっぱい田端を吸い上げたくて、会陰をギュッと閉めた。すると田端の硬いモノはさらに私の膣を押し広げた。

すごい!これはすごい!!!
これまでの私の性体験は乏しい。それでもはっきりとわかる。田端は性的テクニシャンであると。そして田端のイチモツは巨根であり、それ故にビッグさんと呼ばれているのだろう、と。

私に入った田端は、リズミカルに上下した。激しい。でも、ちっとも痛くも苦しくもない。
私の膣は田端で満員御礼となった。

級友にも教員にも顔すら覚えてもらえない薄い私。
デイリールーティンの歯車の一部でしかない私。
退屈な日常において、ていのいい嘲笑の対象である私。
ゲームで主人公の活躍を補助する端役にされた私。

とりあえず世間体を保つために飾りとして置いておかれる私。
冗談じゃない!
私だって生きている。
名前があって、顔と身体があって、ちゃんと感情がある、生身の人間なのだ。

私は田端に抱きつき、女陰をぴったりと田端の陰部の付け根にくっつけた。田端の体温が私に伝わり、私はまたも愛液を滴らせた。
陰部の濡れに気がついたのか、田端は抽送しながらも私のクリトリスを突いてきた。

「いやぁーっ………」
これには悶絶するしかなかった。私のアソコが前も後ろも快楽を味わい、全身が痺れ、媚肉は痙攣した。
ジュワーッ………!!!

私は夥しい量の愛液を吹き出した。田端の腹が湿る。それでも田端は構わずに抽送を続けた。
私の膣は完全に決壊した。次から次へと放水し、それでも尚、熱い物が込み上げてくる。制御不能だった。

私は初めて生きていてよかったと思えた。田端と肌を合わせ、オンナとしての快楽を味わい、四十数年生きてきてやっとこの世に生を受けた実感を持てた。
私はペンネーム、ケイトリン。

ブラックレッド同盟に所属する小説家。
一人の人間であり、女性。
今日、この場にいる自分が、誇らしいとさえ思う。

田端の動きが一層、激しくなった。私は膣内が田端に掘削されればされるほどにアドレナリンが活発に分泌され、呼吸が早くなった。私の大ぶりな胸は振動に合わせてボンボンと音を立て、時折、田端の厚い胸板にぶつかる。

椅子の軋み音が次第に速くなる。
私は聞いたことのない自分の喘ぎ声を立てる。
田端も私も肩で息をしている。

膣は間欠泉のように吹き上げている。
男根は血流が上り、熱く太く硬く突き抜ける。
私はアソコから深い谷の底に全身が落ちていく。

田端は私の中で発砲した。
閉じていた瞳を私はそっと開ける。
眩いライトが私の眼球を照らす。

イッた。イッたのだ。セックスにおいて私は初めて。
呆然とした意識のまま、キラキラ回るミラーボールを私は眺めた。
私は忘れた。顔を思い出せなくなっていた。

家族の顔を。
友人の顔を。
同僚の顔を。
初体験の相手の顔を。
夫の顔すらも。

そして私はいくつか決意した。
転職しようかな、と。
引っ越ししようかな、と。
夫婦関係を続けるべきなのか、と…。

(終わり)

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