我愛你-第9話 3360文字 バロン椿

我愛你-第9話

39歳の主婦、高木弥生は4つ年上の夫、壮一、一人息子で中学一年の智之と小田急線新百合ヶ丘の一戸建てにつつましく暮らしていた。
だが、大学の先輩、大手商社に勤める寺田麗子の昇進祝いの会で、中国からの研修生、27歳の王浩と出会ってから、人生がガラッと変わってしまった。
王は優しく、かつての夫のようにグイグイと引っ張ってくれる。そんな王と男女の関係になった弥生は彼とは離れられなくなっていた。
編集注※「我愛你」は中国語で (あなたを愛しています)の意味

作家名:バロン椿
文字数:約3360文字(第9話)
管理番号:k098

箱根行

めぐみが不倫しているとは断定できないが、夫の顔色を見れば、口に出来ないことをしていることは明らかだ。
しかし、めぐみのことより、私は、私はどうなの? 不倫しているじゃない。夫に見つかったら、どうなってしまうかしら……そんな不安が大きく胸を過るが、12月6日、中国・上海に出張していた王から「回来了!(帰ってきたよ!)」とメールが入ると、「我想見你!(あなたに会いたい!)」と反射的に返してしまい、次が待ち遠しくて、家事が手につかない。

早く、早く、返事を頂だいと待っていると、ブルル、ブルル……とスマホの着信ランプが点滅した。あっ、来た!と開けると、「12月13日、14日、箱根に行きたい」とあった。外泊の誘いだが、後先考えずに「我一定要去!(絶対に行きます!)」と答えてしまった。
しかし、それからが大変。
夫に何て言えばいいか、あれこれ迷うが、「いつも女子会」と言う以外に家を空ける理由が見当たらない。

その夜、「あの、麗子さんからの誘いで、来週の13日、14日、箱根湯本にある会社の保養施設で忘年会旅行をしようって」と恐る恐る夫に言い出すと、チラッと弥生を見た彼は、当然のように「金子君は?」と聞いてきた。膝が震える。でも、元々、麗子の誘いなんか無いから、「今回もメンバーには入っていません」と平静を装って答えると、「ああ、そうか、そうだな」と言って、少し考え込んでいたが、意外にも「分かった。いいよ」とあっさり許してくれた。

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めぐみが一緒に行かない方が面倒にならずに済むと思ったのか、あるいは、9月末のプロジェクト締め切りを抱え、夏休みに家族旅行が出来なかったことの罪滅びと思ったのかは分からないが、とにかく許してくれた。
そして、待ちわびた1週間が過ぎ、12月13日(金)。午後2時過ぎに、足取り軽く家を出た弥生は王の待つ小田急相模原駅に急ぐ。

ハオ、元気だった?……会うのは1ケ月振り。弥生は新百合ヶ丘駅から小田急線で相模原に。一駅、一駅近づくごとに胸が高まり、隣の相模大野を過ぎると、座っていられず、ドアの前に立っていた。そして、列車がホームに滑り込んでいくと、こちらを探す王の姿が見えた。

あ、ハオ、ハオ、ここよ、ここよ!……と待ちきれない弥生はドアが開くと同時にホームに飛び出し、王のもとに駆け寄った。
通勤、通学の帰宅時間にはまだ早く、ホームには人が多くはないものの、抱き合う姿はとにかく目立つ。でも、弥生は全く気にしなかった。
そして、二人は次に来た急行列車で箱根に向かった。

車窓の景色から住宅街が消え、山々が近づいてくる。
「まあ、きれい」
「中国にはこんなにきれいなところは無いよ」

そんなことを話していると、「箱根湯本、箱根湯本、間もなく箱根湯本に到着します」と箱根湯本駅が近付いてきた。
夕暮れが迫る午後5時少し前、列車はホームに滑り込む。
「ここよ」
「はい」

手を繋いで降りると、そこには大きなバッグを抱えた旅行客でごった返していた。
外泊するんだわ……罪悪感めいたものが浮かんできたが、「ミィシォン」と手を引かれると、そんなことは直ぐに消えてしまった。それどころか、「早く並ばないと」と団体客を追い越し、タクシー乗り場に小走りになっていた。

駅から旅館までは車で約10分。「はい、着きました」とタクシーが玄関脇に停まると、「いらっしゃいませ。お待ちしておりました」と仲居が迎えてくれた。
日はすっかり暮れている。

フロントで宿泊名簿に「王浩、弥生」と書き込んだが、それを見ていた王がギュッと手を握ってくれた。
そして、部屋へ。
「さあ、こちらです」と案内されたのは八畳間に、サンルームが付いた日本間。ラブホテルのようなケバケバシさが無く、とても落ち着いた部屋だった。

「夕食は午後6時半に和食レストランで召し上がれます。お風呂は左側の引き戸を開けて下さい。お庭を眺めながら入れますから」
仲居はそう説明してくれるが、全くの上の空。彼女が出て行くことだけを待っていた。だから出て行くと同時に、王は「ミィシォン」と抱き締め、弥生も「好きよ」と首にすがりつき、チュッパ、チュッパと口付けを交わす。

しかし、焦ることはない。時間はたっぷりある。
「ねえ、ねえ、お風呂に入りたい」とねだると、王も「いいですね」と微笑んだ。

浴室の戯れ

「きれいね」
脱衣所からガラス戸越しに浴室内が見える。仲居が言っていたように、浴室の大きなガラス窓の向こうには、所々に灯りが設置された庭園が広がっている。
王は日本旅館に泊まるのも初めてなら、日本の温泉に入るのも初めてだった。だから、何を見ても、「真棒(素晴らしい)」と感動していた。

しかし、弥生は困っていた。なぜなら、この脱衣所はラブホテルのような淫靡な雰囲気は無く、逆に眩しいくらいに明るく清潔だ。だから、若い王の引き締まった体はよりきれいに見えるが、アラフォーの弥生は自慢と言ったら、おっぱいが少し大きいだけで、下腹部なんかはポッコリと膨らんでいる。

下着姿さえ見られるのが恥かしく、背を向けてブラジャーのホックを外していると、「我的妻子(私のお嫁さん)」と抱き締められた。
本当? 本当にお嫁さんにしてくれるの、ハオ……自然と笑みが溢れる弥生は「大好きよ!」と王に抱き付いた。

***

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ガラス戸を開け、浴室に入ると、真っ暗な冬空に星がキラキラと輝いているのが見える。室内なのに、まるで露天風呂のように感じる。そして、檜の湯船に浸かると、その温かさが体に染み渡るのと入れ替わるように、世の中の煩わしさが頭の中から消えていく。

「気持ちいいわね」
「はい、とても気持ちいい」
王に抱かれた弥生は蕩けるような嬉しさにうっとりしていた。
何年振りかしら、箱根に来たのは……そんなことを思っていると、後ろから王がおっぱいを揉んでくる。だから、「ああん、いや……」と口から出る声も甘い。

「ねえ、中国にも温泉はあるの?」
「ありますよ。でも、中国の温泉は水着を着て入ります」
「プールみたいね」
弥生は手足を伸ばしたが、「うん、プールだね」と笑う王は「だけど、広くて沢山の人が入るから、こんなことは出来ない」と再びおっぱいを揉んできた。

甘い湯船での戯れ。
「あん、水着を着ちゃうから」と弥生は甘えて体を捩ると、お尻に硬いものが当たる。ダメですよ……とわざと怖い顔をして振り返ると、突然、ぐぅぅ……と王のお腹が鳴り出した。

思わぬ邪魔に、これでは強張りも何の役にもならない。
「ふふふ、そうね、そんな時間ね」と弥生が立ち上がると、王は「まだダメですね」と笑った。

まずはお食事

お風呂から上がると、弥生は新しいピンク色の下着を身に付け、浴衣を着ると、その上から丹前を羽織った。そして、ふぅ……気持ち、良かった。やっぱり温泉ね……と鏡を覗いていた弥生はそこに映る王の姿を見て、あらあら、やっぱりね……と笑ってしまった。中国人だから浴衣なんか着たことがない。浴衣の前は揃っているが、帯を腰ではなく、ウエストで締めるから、埴輪のようで、どう見ても不恰好だった。

「そんなんじゃダメ」と振り返った弥生は「ほらほら、遣って上げる」と一度、帯を解き、「こうよ」と腰骨辺りで結び直すと、どうにか見れる姿になった。
「謝謝」
「不要謝(いいのよ)」
時計を見ると、午後6時20分。

「ああ。お腹空いた」と弥生が手を取り、二人は2階にある和食レストランに向かう。
「伊勢エビが美味しいのよ」
「イセエビ? 本当!」
「そうよ、伊勢エビよ」
何を言っても楽しい二人がレストランの前に来ると、入口には何組か待たされていた。

「混んでますね」と王は心配するが、弥生が「予約しました王です」と受付に告げると、「はい、承っております」と直ぐに中に案内してくれた。
「いいわね」
「最高ですね」
二人の席は窓際。夜景が素晴らしい。まずは、ワインで乾杯。そこに料理が運ばれ、勿論、お目当ての伊勢エビもある。

「まあ、凄い」
「動いてますよ」
「生き造りだからよ」
と目で悦び、それから、箸で摘まんで口に運べば、「美味しい」、「好吃」と舌鼓。こうなると日本酒が欲しくなる。

だから、「ねえ、どう?」、「あ、はい……じゃあ、今度はミィシォン」、「はい」と差しつ差されつ、盃を重ね、食事が終わる頃には二人ともすっかり頬が赤くなっていた。

(続く)

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