現代春画考~仮面の競作-第15話 2200文字 バロン椿

現代春画考~仮面の競作-第15話

その話は、日本画の巨匠、河合惣之助の別荘に、悪友の洋画家の巨匠、鈴木芳太郎が遊びに来たことから始まった。
本名なら「巨匠が何をやっているんだ!」と世間がうるさいが、仮名を使えば、何を描いても、とやかく言われない。
だったら、プロのモデルじゃなく、夜の町や、それこそ家政婦まで、これはと思った女を集ろ。春画を描こうじゃないか。

作家名:バロン椿
文字数:約2200文字(第15話)
管理番号:k086

代役対決

再開した春画製作は、河合画伯のマネージャー、吉光が探し出した景山幸一と、鈴木画伯のマネージャー、岡田の推すイラストレーター、谷山(たにやま)輝(かがやき)の代役対決となった。

11月下旬、冬の訪れはもう間近。
「へえ、凄げえな。画家のアトリエって、俺たちの工房とはスケールが違うな」と谷山はしきりに感心していた。
「あいつか?」
「ああ、俺もよくは知らないんだけど、岡田によると、女の顔を描かせたら業界№1だそうだ」

アトリエの隅では河合画伯と鈴木画伯が小声で話していた。
「まあ、それより、今日は景山君だ。あの伸び伸びした筆運びがどの程度残っているか、それを確認したい」
「そうだな。俺も彼の絵を見てみたいな」
モデルは小夜子を招いていた。

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「先生、今度はちゃんとしてよ」
先日は米蔵と美恵子に主役の座を奪われ、散々な目に遭っていたから、最初から尖っていた。だから、「ははは、大丈夫だよ。俺が保証する、間違いないエースだ」と鈴木画伯は相手役に高校生なのに巨根の荒井和夫を用意していた。しかし、小夜子はそんなことは知らない。

「何がエースよ。あんな童貞みたいなひ弱な男の子。まさか、筆卸しさせようって魂胆じゃないでしょうね。」とプンプンと怒っていた。
(ははは、だから面白い。あいつのチンポを見て、小夜子はどんな顔をするか?今から楽しみだ)

「まあまあ、そう言わず。あの子は秘密兵器で、本当のエース」と宥めようとしたが、「何がエース、秘密兵器よ」と聞く耳を持たず、小夜子は鈴木画伯と河合画伯を睨みつけながら支度室に入っていった。
今日の仕掛け人、岡田と吉光はそのやり取りを見て、ニヤッと顔を見合わせていた。

(あれは驚くよな)
(全く。俺にもあんなチンチンがあったら、人生変わっているよ)
二人の目はそう言っているようだった。

支度室の衝撃

「小夜子。僕は?」
「あ、あの和夫です」
「いくつ?」
「17です」

相手がいつもの幸代ではなく、和夫にとっては初の「他流試合」。それだけでも緊張するのに、つっけんどんな言い方に、より硬くなり、それが小夜子を一層不愉快にさせていた。
(私を誰だと思っているのよ。クラブ№1ホステスよ。それなのに、こんなお坊ちゃまをあてがって。もう、全員出入り差し止めよ!)

ムシャクシャしている小夜子はさっさと済ませてしまおうと、着物を脱ぐと、舞台衣装の浴衣を羽織った。しかし、和夫はズボンを下ろしただけ。焦れる小夜子は「さっさと裸になりなさいよ」と言葉がきつくなる。
だが、「あ、はい……」と、和夫が恐る恐るパンツを下ろすと、その顔色が変わった。

ペニスはだらんと垂れ下がっただけなのに、15cmくらい。
初めて幸代と体を交えた頃は剥けきっていなかったが、今は傘もしっかりと開き、堂々たるもの。
「ね、ねえ、どれくらいになるの?」
「どれくらいって?」

「バカね。オチンチンが立った時よ」
「そんなの測ったことないけど……ペットボトルくらいかな」
「ペ、ペットボトル!」
目を丸くして驚く小夜子は一、二歩退っていた。もう、不機嫌さはどこへやら。それどころか、自分に入るかとビビり始めていた。

腰を抜かした小夜子

「おお、出てきたよ」
「顔色が悪いぞ、小夜子さん」
「うん、和夫君の方が落ち着いているな。やっぱり、見たんだよ」
「そうだ、入るか心配なんだよ」

岡田と吉光はニヤニヤしていた。
「へえ……立派なもんだな」
アシスタントが二人の浴衣を肩から抜くと、イラストレーターがため息をついた。
「じゃあ、始めてよろしいですか?」

場面設定が整い、アシスタントが声を掛けると、景山は軽く頷き、谷山は「いつでもいいよ!」と手を挙げた。
直ぐに絡みか始まり、和夫のペニスはどんどん角度を上げていく。
谷山は身を乗り出し、色鉛筆を使って、ややオーバーながらスポットライトを浴びたような構図で仕上げていく。一方の景山は4Bの鉛筆一本で、月明かりの中に浮かび上がるような感じで写実的に描いていく。

二人の画風がよく表れていた。
「景山君はちっとも衰えていないな」
「ああ、昔のままだ」
「谷山君もいいなあ」
「業界№1というのは、ウソじゃない。あれは本物だ」

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そして、いよいよクライマックス。小夜子が咥えていたペニスは口から飛び出すようにグーンと伸びて、細身ながらペットボトルのサイズになった。
「全く、羨ましいよな」
「俺なんか見せられないよ」

男たちの囁きがあちらこちらで聞こえ、女性アシスタントは息を止めて見つめている。
そして、和夫が小夜子の太腿を抱え、グイッと挿入した。
「あ、あ、あ、イヤ……」

百戦錬磨の小夜子でも半分も入っていないのに、眉間に皺を寄せている。
女性アシスタントも自分に入れられているように「ふぅ……」と息を吐いている。
「入った」
吉光もそんな言葉が口から出てしまった。

最後は正常位で和夫が体を反らせながら射精したが、景山も谷山も、絵は挿入場面で終わっていた。それほどインパクトの強いものだった。
「小夜子さん、どうしました?」
「あ、あらイヤだ。みんな、意地悪!」

あまりの衝撃に腰を抜かしてしまった小夜子は、アシスタントに揺り起こされると、浴衣を掴んで立ち上がったものの、足元がおぼつかない。
「大丈夫ですか?」と心配したアシスタントが手を差し伸べたが、「放っといてよ」とその手を撥ねつけ、彼女はアトリエから逃げ出していった。
しかし、それを笑う者はいなかった。それ程、和夫のモノは凄い。

(続く)

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