現代春画考~仮面の競作-第8話 2760文字 バロン椿

現代春画考~仮面の競作-第8話

その話は、日本画の巨匠、河合惣之助の別荘に、悪友の洋画家の巨匠、鈴木芳太郎が遊びに来たことから始まった。
本名なら「巨匠が何をやっているんだ!」と世間がうるさいが、仮名を使えば、何を描いても、とやかく言われない。
だったら、プロのモデルじゃなく、夜の町や、それこそ家政婦まで、これはと思った女を集ろ。春画を描こうじゃないか。

作家名:バロン椿
文字数:約2760文字(第8話)
管理番号:k086

鈴木画伯の悩み

「河合、どうもいかんな」
「何がいかんのだ?」
鈴木画伯は河合画伯の別荘に着くなり、ため息の連発だった。

「いや、長年染み付いた写実主義から抜け出れないんだ。実物を意識してしまい、遊びが出来ないんだ」
鈴木画伯が先日の槙子を描いた作品を河合画伯に差し出した。
「お前、もう仕上げたのか?」
「お前はどうしたんだ。どうして仕上げないんだ?」

河合画伯はそれには答えず、タバコをふぅーと吹かして笑っていた。
「何がおかしい?」
「だから、お前は真面目過ぎるって言うんだ。あれは、目をならす、謂わばオープン戦だ。だから、あのスケッチは材料で、絵に仕上げるものじゃないんだ」

河合画伯にそう言われている姿は「巨匠 鈴木芳太郎」ではなく、「美大生の鈴木芳太郎」である。
「お前は絵を描かない時は『脱がせ屋の鈴木さん』だが、絵を描きだすと『鈴木画伯』になってしまう。まあ、これは変えられないから、女が本当に男を受け入れ、悦ぶまではじっくりと待て」

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「そうか」
「そうだ。その時を待って、女の真の姿を写実的に描くんだ」
「なるほど。確かにそうだな。先日の槙ちゃんは良かったが、まだまだ小山君を本能的に警戒していた。だから、もう一つインパクトに欠けていた」
そこまで言った鈴木画伯はポンと手を打った。

「さすが、『日本画の印象派』だよ、お前は」
「褒めたって何も出ないぞ」
「ははは、そうか。それは残念だ」
河合画伯はタバコの火を消すと、その絵を鈴木画伯に返した。

「そうだ。だから、こんな絵は材料にしかならないんだ」
「分かった。燃やしてしまおう」
「それがいい。そうしないと『鈴木画伯の絵だ』なんて勝手に売り出す奴がいるからな」

河合画伯はチラッとマネージャーの吉光の方を見た。彼は若い頃、金に困って、アトリエのごみ箱に捨ててあった画伯のデッサンを画商に売ってしまったことがあった。後になって闇の世界で「河合画伯の幻の作品」と評判になったが、画伯は「働いて返すんだな」と言っただけだった。以来、吉光は画伯の言うことには何も言わずに従ってきた。

しかし、やっぱり、許してはいない。
吉光は冷や汗が流れた。
そんな二人の関係について、鈴木画伯は勿論知らないが、河合画伯も吉光もおくびにも出さない。

「吉光、和夫君は準備出来ているか?」
「はい、幸代さんも一緒です」
常に一歩先を読み、備えておく。信頼されるまで、頑張るしかないと改めて思った吉光はアトリエに歩き出していた。

河合、鈴木の掛け合い

「蛤に嘴をしかと挟まれて、鴨たちかぬる秋の夕暮れ」
アトリエに向かう河合画伯が不思議な歌を口にした。
「おい、なんだ、それは?」

「なあに、喜多川歌麿の春画に書いてあった宿屋飯盛っ奴の歌だよ」
「お前は学があるな」
「バカ、お前がヨーロッパに詳しいのと同じだ。絵を描くだけじゃ深みが出来ないだろう。描いた者がどんな心だったか、描かれた方はどうだったか、考えないといかんよな。そんなとこだ」

「そうか、巨匠と言われる訳だ」
「やっと分かったか、ははは」
「巨匠、恐れ入りました。ははは」
二人は互いに背中を叩いて大笑いしていた。

「で、今日はその嘴が凄いのか、蛤が凄いのか?」
「嘴だよ。20cmはあるかな。華奢な体で可愛い顔をしてんだけど、立派なんだよ。まだ16だって。信じられん」
河合画伯は手で大きさを示していた。

「歌麿か」
「いや、彼のは本物だからな」
「デホォルメする必要がないってことか」
「そうだ。そこで、お前の写実主義が必要なんだよ」
「筋までしっかり描けってことか?」

「ははは、あんまりリアルだと、それも具合が悪いか?」
「ははは、今日は材料集めだろう?しっかり描かんといけないよな」
「こりゃ、一本取られたか?あはは」
「ということは、俺の勝か?ははは」

二人が大笑いしていると、アトリエから「屏風はそこに立てて」と準備を急ぐアシスタントたちの声が聞こえてきた。
「さあ、楽しもう」
河合画伯がアトリエのドアを開けた。

本音は逃げ出したい

「和夫君、周りは気にしなくていいの」
「そんなこと言ったって、幸代さん……」
控室では逃げ出そうとした和夫は幸代に腕を絡められていた。
二人がセックスするところを絵に描かせろと言われ、彼は青くなっていた。

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「絵描きは絵のことしか考えていないの。裸の絵を描いても、誰の裸かなんてどうでもいいことなの。だから、私と和夫君がセックスしていても、何とも思わないの。男と女が裸で絡んでいるとしか思ってないのよ」

和夫にそう言ったものの、幸代だって逃げ出したかった。
画家の前で裸になることには何の抵抗もないが、セックスとなると、それは別だ。
先日は河合画伯に懇願され、画伯しか見ていない浴室だったから受け入れたが、今日は鈴木画伯やアシスタントも見ている。しかし、幸代は一流のモデルだ。

「さあ、仕度しましょう」と幸代は無理やり和夫の服を剥ぎ取り、ズボンに手を掛けたが、和夫も開き直ってきた。「あっ、いいよ、自分でするから」とズボンと一緒にパンツも引き下ろしたが、幸代はドキドキしていた。

やっぱり大きい。萎んだままでも十分に大きいが、これが勃起して規格外の大きさになったぺニス、体に受け入れた時の悦びが幸代に蘇ってきた。
「大丈夫、私だけを見ていなさい」
それは幸代自身にも言い聞かせる言葉だった。

うちの先生には出来ないこと

「お待たせしました」
幸代が和夫の手を引いてアトリエに入っていくと、一斉に皆の目が二人に集まってきた。
(ああ、どうしよう……やっぱり皆の前でなんか……)

今さら後悔しても、もう引き返せない。幸代は気持ちが沈んでしまったが、「ほほぉ、素晴らしい!これは美しい」と予想もしなかった鈴木画伯の声が聞こえてきた。
鈴木画伯は日本髪の鬘を付け、赤い肌襦袢を着た幸代の傍に歩み寄ってきた。

「『モデルは若くてスタイルのいい子』、そんなイメージが出来上がっているので、どうしても標準体形、どちらかと言えば痩せ型が多くなっている。しかし、あなたのように、ふくよかでありながら、体の線のきれいな熟女モデルは『貴重品』だ。河合の芸術的創作活動を支えているのはあなた、幸代さんなんだね」

さすが、「脱がせ屋の鈴木さん」だ。
幸代は、「えっ、そ、そんな……私はそんなに立派なモデルではありません……」とまるで乙女のように顔が赤くなっている。沈んでいた気持ちがスーとどこかに消えてしまった。

「いやあ、よく分かった。河合の秘密が。幸代さん、今日はあなたを描かせてもらうよ、いいよね?」
「あ、はい。鈴木先生にそんなことを言って頂けるなんて、私、感激してしまいます」
(さすがだ、うちの先生にはできないな。やっぱり「脱がせ屋の鈴木さん」と言われる訳だ……)
河合画伯のマネージャーの吉光は鈴木画伯のマネージャー岡田の顔を見て、ニヤッと笑っていた。

(続く)

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