同窓会が修羅場の始まりだった-第11話
女子大で准教授を務めるひろしは、同窓会で教え子の愛子と15年ぶりに再会する。美しい人妻に変貌していた愛子とひろしは、その夜関係を持つ。二人はその後も密会を続け、その蜜月はやがて修羅場へと化していった。
作家名:.城山アダムス
文字数:約2980文字(第11話)
管理番号:k082
「夕飯までには帰る。」
妻はにっこり微笑んで
「今夜はお祝いよ。ご馳走作って待ってるね。」
そう言うと、僕の頬に軽くキスしてきた。妻とこういうスキンシップをとるのは何年ぶりだろう。妻は僕が教授に昇進することがよほど嬉しいのだろう。
「どんなご馳走かな?楽しみだな。」
僕も妻の頬にチュッとキスして玄関を出た。妻は笑顔で僕に手を振って見送ってくれた。
————
ホテルの部屋に着いたのは午後1時40分だった。あと20分で愛子がやって来る。愛子に別れを告げなければならない。ぼくは、愛子に伝える言葉を一生懸命探していた。しかし、適当な言葉がなかなか見つからない。愛子が部屋を訪れる時刻が迫っている。呼吸が苦しい。胸がギュッと締め付けられる。額に汗がにじんできた。
「ピンポーン。」
チャイムが鳴った。ちょうど2時だ。
恐る恐るドアのほうに歩いて行った。ドアの外には愛子がいる。どんな顔で愛子を迎えればよいのか?どんな言葉をかければいいのか?心臓が激しく鼓動した。
ドアを開けると愛子が立っていた。紺のスカートに白のブラウス。今日の愛子は一段ときれいだった。清楚で気品に満ちていた。頬が紅潮し目元が潤んでいる。
「ひろしさん。会いたかった。」
そう言うなり僕に抱きついてきた。僕は慌ててドアを閉め、愛子を抱き締めた。愛子は僕の唇を求めてきた。僕もそれに応じた。
愛子の唇を吸いながら、僕の心は揺れていた。このまま愛子と情事に及んでいいのか?それともこの営みを中断して、僕の本心を伝えるべきか?
愛子の手が僕の下半身に伸びてきた。ファスナーを下げ、ズボンの中に手を差し入れてきた。こんなに積極的な愛子は初めてだ。僕も愛子のブラウスのボタンを外し、ブラジャーの中に手を入れた。指先が乳首に触れた。
「あああん。」
愛子は甘い声を漏らすと、僕のブリーフの中に手を入れ、ペニスをギュッと握りしめてきた。
「これが欲しかったの。早く頂だい。」
そのままベッドに倒れこんだ。もうこの流れを止めることはできない。僕は愛子のブラウスとスカートを脱がし、ブラジャーのホックを外した。ショーツ1枚になった愛子は、上半身を起こし、僕のズボンを脱がそうとした。僕はベッドの横に立ち上がると、ズボンを下ろし、シャツを脱いだ。その間に愛子も自分でショーツを脱いでいた。僕もブリーフを脱いだ。二人とも全裸になっていた。
「はやく・・・来て。」
愛子が僕を誘っている。僕は愛子に覆いかぶさり、唇を貪りながら片手で乳房を、もう一つの手で下半身をまさぐった。愛子の秘部はびっしょり濡れていた。愛子の手は僕のペニスを強く握ったまま離さない。
「ねえ・・・入れて。」
そう言うと、愛子は大きく足を広げた。
今までの愛子とは確かに違っていた。愛子の方から積極的に仕掛けてくる。僕の執拗な焦らしや、舐めるような愛撫ではなく、いきなり挿入を求めている。それだけ僕を欲していたのだろう。僕と会えない間、愛子の身体から沸き起こる情念と性の欲望を必死に我慢していたのだろう。今、それが爆発している。
僕はペニスの先を愛子の割れ目に当てがった。
「はやく・・・入れて。」
愛子は激しく催促する。僕はペニスを挿入しようとした。しかし、挿入に必要な硬さがペニスに籠ってこない。ペニスを膣口から挿入しようとするが、うまく入っていかない。こんなことは初めてだ。
「ねえ ねえ はやくいれて 意地悪しないで。」
愛子は切ない声をあげる。いつものように僕が焦らしていると思っているのだろうか。
僕は焦った。自分の手でペニスをしごいた。しかし、ペニスは勃起しない。愛子の手が僕のペニスに伸びてきた。その指がペニスに触れた。愛子の指も僕のペニスを激しくしごきだした。
「ねえ。・・・どうしたの?」
愛子も僕の下半身の異変に気付いたようだ。僕の顔は引きつっていた。
愛子は僕の顔をじっと覗き込んだ。僕は目を合わさず俯いていた。気がつくと愛子は僕のペニスを口に含んでいた。
「ひろしさんのおちんちん、食べてあげる。」
そう言うと、僕のペニスを頬張った。愛子のフェラチオは初めてだ。愛子の口はジュボジュボ湿った音を立てている。ときどき歯が当たる。舌の絡まる快感と、ときどき歯が当たる痛みを交互に感じる。
愛子はあまりフェラチオに慣れていないのだろう。子供が生まれてから夫との性生活はほとんどなかったようだから致し方ない。それでも、必死に僕の勃起を促そうと努力してくれている。そんな愛子がいじらしかった。
愛子の必死の努力も空しく、僕のペニスは勃起しなかった。僕の心の迷いが一番の原因だろう。愛子から逃げたいという気持ちが、僕の性感の高まりへ大きなブレーキをかけていたのだろう。
愛子はフェラチオを止めた。そして、僕を慰めるように
「ひろしさん、きっと疲れているのよ。ずっと忙しかったから。」
そう言うと、優しく微笑んだ。その表情は少し寂しげだった。もうこれ以上、僕の中途半端な気持ちを愛子に向けるのは止めよう。
僕は愛子に別れを告げようと決心した。
「愛子、本当にごめん。」
愛子は、慌てたような表情で
「何も謝ることないわ。誰だってそんなこともあるわ。気にしないでいいのよ。」
勃起できなかった僕を慰めようとしている。
「そうじゃないんだ。僕は愛子に謝らなければならないことがある。」
「謝らないことって・・何?」
「愛子。びっくりしないでくれ。」
「びっくりしないでくれって・・・何?」
愛子は目を丸くしながら僕を見ている。僕がこれから「別れ」を告げようとしていることは、全く想定していないだろう。少しだけ微笑みすら浮かべている。
「僕は、岩手の大学に行くことになった。」
「岩手の大学?」
愛子は急に驚いた表情をした。
「岩手の大学の教授として赴任することになったんだ。」
「いつ決まったの?」
「昨日突然決まったんだ。」
「あなたは、そのお話を断らなかったの?」
愛子は信じられないといった表情をしている。
「断らなかったの?」
という一言が胸に刺さった。愛子としては断って欲しかったんだろう。
「断ろうか悩んだのだけど・・・。」
「どうして私に話してくれなかったの?」
愛子の大きく開いた目から、涙がこぼれた。
「どうして・・・どうして岩手の大学なの?」
愛子の声は震えている。
「今の女子大は学生数が年々減って、教員のリストラが始まっている。僕もいつリストラされるかわからない。そんな時、岩手の大学から教授になってほしいと依頼があったのだ。」
本当は僕から志願したのだが、岩手の大学からの依頼であると嘘をついてしまった。
「そう、岩手の大学に教授で行くのね。」
愛子は肩が震えている。次第に嗚咽が大きくなってくる。僕は思わず愛子を抱き締めた。
「愛子。本当にごめん。」
この言葉しか出てこなかった。愛子は僕の胸に顔を埋めて肩を揺らしながら泣いていた。愛子の両腕は僕の身体にしっかりとしがみついていた。とても別れを切り出す気持ちにはなれなかった。
「ひろしさんが岩手に行ってしまったら、私はどうやって生きていけばいいの?」
愛子は顔をくしゃくしゃにしながら泣きじゃくっていた。愛子にこんな辛い思いをさせるなんて、僕は本当に最低の男だ。自分が情けなかった。今の愛子を、慰めてあげなければと強く思った。
「岩手に行っても愛子のこと、ずっと想ってるよ。」
僕はまた愛子に対して中途半端な態度をとろうとしている。
(続く)
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