鹿児島浪漫紀行-第12話 2970文字 城山アダムス

鹿児島浪漫紀行-第12話

ひろしは、最愛の妻と離婚した心の傷を癒すため、鹿児島の旅に出る。旅先で出会った3人の女性と逢瀬を重ねたひろしは、女性たちの尽きない淫欲の餌食となっていく。50歳を過ぎたひろしは、体力の限界を感じながらも、懸命に女性たちに自分の体を捧げるのだが・・・

作家名:城山アダムス
文字数:約2970文字(第12話)
管理番号:k123

「佐藤楓です。」
すぐに係の女性は搭乗券を渡してくれた。僕はそのまま搭乗ゲートをくぐり、羽田行の搭乗口に向かった。搭乗口近くのロビーで楓を探したが、楓の姿はなかった。

「11時45分羽田行、まもなく搭乗のご案内を始めます。ご搭乗のお客様は、搭乗口からご搭乗ください。」
搭乗案内のアナウンスが流れた。羽田行の乗客は次々に搭乗していく。僕はロビーで楓を待っていた。楓はなかなか来ない。
搭乗の最終案内があっても楓の姿はなかった。
「楓はどうしたのだろう?」

楓のことが気になったが、しぶしぶ搭乗口から飛行機に乗り込んだ。僕の座席は1-Aだった。飛行機の一番前の窓側の席だ。
僕が座席に座ると、近くにいた客室乗務員が声をかけてきた。
「ひろしさん、ご搭乗ありがとうございます。」
その客室乗務員を見て僕は驚いた。なんと楓だった。

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「楓さん、この飛行機の客室乗務員だったんですか?」
「はい、今日の私のフライトに合わせて、ひろしさんの航空券予約させていただきました。」
楓はにっこり微笑んだ。僕は客室乗務員の制服を着た楓にうっとり見とれていた。アップでまとめた髪、スレンダーな体にフィットしたスーツ、細く綺麗な足を包む黒いストッキング。ホテルで見た楓とはまた違った女性の魅力を放っていた。

楓は客室全体を見渡しながら、マイクを手に取りアナウンスを始めた。
「皆さま、今日も日本航空552便、羽田行をご利用くださいましてありがとうございます。
この便の機長は山田秀樹、私は客室を担当いたします佐藤楓でございます。まもなく出発いたします。
 シートベルトを腰の低い位置でしっかりとお締めください。羽田空港までの飛行時間は1時間50分を予定しております。ご利用の際は、お気軽に乗務員に声をおかけください。それでは、ごゆっくりおくつろぎください。」

その後流暢な英語でアナウンスを始めた。
「Good morning, ladies and gentleman.
Welcome aboard Japan Airlines flight 552 to Haneda.
Your pilot today is Captain Hideki Yamada and my name is Kaede Satou, your senior cabin attendant on this flight.We are now ready for departure.
Please make sure that your seat belt is securely fastened.
Our flight time to Haneda Airport is expected to be 1hour and 50 minutes.
Your cabin attendants are looking forward to serving you.
We hope you will enjoy your flight with us.
Thank you. 」

楓のアナウンスする姿をうっとりしながら眺めていた。
アナウンスが終わると楓は僕の正面に座った。1-Aは一番前の座席なので、正面に客室乗務員用の座席がある。離陸と着陸の時は、客室乗務員はその座席に座ることになっている。楓はあえて僕の席座を自分の正面に指定したのだろう。楓は僕の正面に座り、微笑みながら僕を見つめている。

「搭乗ロビーで楓さんを待っていたのですよ。」
「ごめんなさい。客室乗務員のこと秘密にして、びっくりさせたかったんです。」
楓は悪戯っぽく笑った。
「楓さんが客室乗務員だから、この席が予約できたんですか。」

「EFチケットと言って、航空会社社員とその家族が使える無料チケットがあるんです。ひろしさんが今使ってるチケットは、そのEFチケットなんですよ。」
「だから運賃はいらないんですね。でも、家族でもないのにそんな大切なチケット使ってくださってありがとうございます。」
「EFチケットなら、これからいくらでも使ってくださいね。その代わり、私の望み叶えてくださいね。」

「楓さんの望み?」
楓は少し不満そうな顔をしている。
「ひろしさん、昨夜の約束忘れたんですか?」
そういえば楓が昨夜航空機のチケットを予約した時、
「私の望みを叶えてほしい。」

と言っていたことを思い出した。
「覚えていますよ。楓さんの望みとは何ですか?」
「私はこれから業務があるので、後でメモでお伝えしますね。」
楓は周りの乗客の視線を気にしていた。客室乗務員の楓と乗客である私が親しげに会話しているので、私のまわりの乗客の多くの視線が、私と楓に向けられていたのだ。

飛行機は離陸を始めた。僕と楓は向かい合って座っていた。楓は客席全体を見渡している。楓は今業務中なのだ。時々僕に視線を向けると、にっこり微笑んでくれた。

飛行機はどんどん高度を上げていく。窓から桜島の噴火口が見えた。その時だ。ガタガタと飛行機が激しく揺れた。乗客から悲鳴が上がるほどの激しい揺れだった。楓は落ち着いた表情で近くのマイクを手に取ると、
「ただいま気流の関係で飛行機が揺れております。機体が大きく揺れる場合がございましても 安全な運航には全く支障はございませんのでご安心ください。」

楓のアナウンスで飛行機の乗客は落ち着きを取り戻したようだ。しばらく飛行機の揺れは続いた。楓は飛行機が揺れても表情は変わらないが、揺れる度に両足を少し広げて上体を支えようとしていた。その時、一瞬であるがスカートの奥が見えた。

楓は僕の視線を感じたのか、両手でスカートの裾を抑えると恥ずかしそうにうつむいた。
「昨夜はあのスカートの奥のすべてを見せてくれたのに・・・」
僕はそう思いながら、楓のスカートから目を反らした。
飛行機が水平飛行になり、シートベルト着用のサインが消えた。楓は座席から立ち上がると業務を始めた。ワゴンを押しながら、おしぼりを乗客に配っている。

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楓は僕にも笑顔でおしぼりを渡してくれた。おしぼりにメモが添えられていた。
「私の望みをお伝えますね。このフライトが終わったら、午後5時から私はオフになります。品川のランドマークホテルを予約しています。午後6時からお食事して、その後朝までご一緒していただけますか?」

楓に誘われて僕は嬉しかった。今夜も楓と一緒に食事ができる。しかし、朝まで一緒ということは、今夜も楓とセックスすることになるのだろう。
僕は鹿児島滞在の2泊3日で渚、楓、そして遥香と3人の女性とのセックスに明け暮れていた。昨夜は、楓、遥香と立て続けに一晩中セックスしたので、かなり疲労が溜まっていた。

「今夜、楓とセックスできるだろうか。」
僕は不安を感じながら、窓の外の風景を眺めていた。楓はおしぼりを配り終えると、キャンディを配っていた。僕の席にやって来た。
「キャンディいかがですか?」
楓からキャンディを受け取った。キャンディにもメモが添えてあった。

「今夜の私のお誘い、OKならキャンディをお口に入れてください。」
メモを読み終えると、楓が僕の顔を不安そうに見つめている。僕は包み紙からキャンディを取り出し、口に入れた。楓はそれを見てにっこり微笑んだ。

飛行機は羽田に到着した。空港からモノレールに乗り、品川に向かった。品川駅に着いたのは午後3時だった。楓との約束の時間まであと3時間あるが、そのままランドマークホテルに行き、ロビーで楓を待つことにした。

ホテルのロビーに着くと、急に睡魔が襲ってきた。昨夜の楓と遥香とのセックス、そして旅の疲れが一気に出たようだ。6時まで少し仮眠しようと、フロントに行きデイユースで部屋を取った。
部屋に入ると、午後5時50分にアラームをセットしてベッドに横になった。僕はすぐに爆睡した。

ピピピピ・・・
アラームの音で目が覚めた。僕は急いで部屋を出ると、フロントで会計を済ませレストランに向かった。
楓はすでにレストランのテーブルに座っていた。
「楓さん、遅くなって申し訳ありません。」

僕が頭を下げて謝る姿を見て、楓はクスクス笑った。
「ひろしさん。髪に寝癖が付いていますよ。どこかで寝てらっしゃったんですか?」
僕は慌てて頭に手を当てた。後ろの髪の毛がはねていた。
「ごめんなさい。すぐ整えて来ます。」

(続く)

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