闇の男-第18話 3090文字 バロン椿

闇の男-第18話

日本の夜の世界を支配する男、武藤甚一(じんいち)と、それに立ち向かう元社会部記者、「ハイエナ」こと田村編集長らとの戦いを描く、官能サスペンス長編。

作家名:バロン椿
文字数:約3090文字(第18話)
管理番号:k077

「そうか、あの女が捕まったか。それじゃあ、決まりだ。一気に行こうぜ」
「おいおい、秋山、何を掴んでいるんだ?白状しろよ」
「はは、情報源は明かさないのが俺たちの掟だが、田村ちゃん、あんたじゃ、しょうがない」
「すまんな、恩に着るよ」
「まあ、感謝されるほどじゃないが、俺のネタ元のエロ事師が『素人女と高校生の実演が評判になっている』って言うんだ。旅館に作った舞台で、セックスショーをやっているらしい。まあ、どこにでもある話だが、メインイベントは本当に素人らしい。興行元は武藤筋だぞ。間違いないだろう?」

セックスの実演などと言っても、素人がそんなことをする筈がない。殆どが役者の小遣い稼ぎだ。それが素人とは……
「どうして素人と分かるんだ?」
「早漏のAV俳優なんかいるか?」
「早漏?」
「ああ、それが受けているらしい」

なるほど、それはそうだ。
「今夜、市内の山本旅館でショーがある。きっと、奴らはそこにいるぜ」
「しかし、腕の立つ者を揃えている筈だ。秋山、無理するなよ」
「田村ちゃん、あんたも知っている通り、俺は神戸の親分に厄介になっている身だ。あいつらだって勝手に手出しはできない」
「まあ、そうだな」
「だが、身は売っても、心は死ぬまで社会部記者だ。政治部や経済部とは違う『社会部魂』ってものを見せてやるぜ。任せなよ」

シースルーランジェリー一覧

電話でも分かる。秋山は燃えている。
「分かった。秋山。だが念のためだ、盗聴マイクを仕込んどけ」
「もう用意しているよ。この後、マイクの発信機のサイクルをメールで送るぜ」
「了解だ」
「じゃあな」
いよいよ敵陣突入。電話を終えた田村は警察の支援を要請すべく横田副署長のところに急いだ。

やつれ果てた二人

ある種の好事家たちの間では、そのショーは評判になっていた。
「いやあ、参ったね。あれはいいですね。何度も『本物ですよ』などと口車に乗せられて、いろいろ見てきたが、あれは間違いなく本物だ」
「ははは、あなたもご覧になりましたか?」
「横浜まで出掛けたのに、もう満員だと言われて、先日、北海道で見ましたよ。若い頃、あんな風にさせてもらいたかったですな」

「おやおや、あなたのことだと思っていたのに、違いましたか?」
「ははは、そうだったら、ここにいませんよ」
「全くですな、ははは」
ホテルのロビーで秘かに話し込む二人は、どちらも高級なスーツを着込んだ会社経営者といった感じの男だった。

「おや、もうこんな時間か。それでは午後の会議がありますので」
「はい、私も同じです」
「それでは今夜」
「ははは、遅刻はいけませんぞ」
「ははは」

握手を交わした二人は、迎えにきたそれぞれの部下を従え別方向に出て行った。
だが、ホテルの別の部屋では男たちが苛立っていた。
「おい、悦子さんはどうした?」
「何だか買い物があるって、出て行ったけど」
「分かっているよ。だけど、もう2時間も戻らねえじゃねえか。そろそろ時間なのに、何やってんだよ?」

その時、部屋の電話がリーン、リーンと鳴った。出ると、直ぐに雄介と美智代を連れて来いとのことだった。
開演まで1時間。「おい、出掛けるぞ」と奥の寝室を開けると、二人は条件反射のように飛び起きた。
美智代の顔はやつれが酷い。だが、それがかえって若い男との不倫に悩む人妻のリアル感を増していた。しかし、雄介は目が死んでいた。

「何だよ、その顔は。しっかりしろよ」と男に頬を軽く叩かれたが、囚われの身になってからほぼ2ケ月。生きる気力もなくなってきた彼は、もう絵を一生懸命に描いていた頃の顔ではなかった。

山本旅館

福岡市にある山本旅館は遊郭があった時代は料亭を営んでいたが、今は数少なくなったが枕芸者を抱えたとして、その筋では有名な特殊接待用旅館だ。
今、その大広間はメインイベントを前に異様な雰囲気に包まれていた。
「たまりませんな。真っ直ぐには帰れませんよ」
「私はソープを予約してありますよ」
「ははは、お元気ですね」

セクシーランジェリーショップ01

だが、舞台裏では騒ぎが起こっていた。
「おい、悦子はどうした?」
「いや、買い物に行ったきり戻らないので、置いてきました」
「何で知らせねえんだ、このバカ野郎!」

異変を感じない若い手下たちに、武藤の腹心でこの地域の責任者、西崎英吾が灰皿を投げつけたが、それと同時に、懐のスマホがブルブル、ブルブルと鳴り出した。
「はい、西崎……あっ、先生……」
手下たちも聞き耳を立てるが、スマホを持つ西崎の表情が変わった。

「は、そうですか……いや、こちらは満員です……は、はい、分かりました。終わり次第、直ぐに引き上げます」
短い電話だが、異変が起きていることは十分に感じる。
電話を終えた西崎が「バカ野郎」とタバコを投げ捨てると、若い者が慌ててそれを拾い上げた。
だが、西崎はそんなものに目もくれず、「悦子が捕まった」と一言、「えっ、どこで?」と訊ねる声に、「コンビニだとよ」と吐き捨てた。

部屋の空気は一変し、「あの女、まさかペラペラ喋らねえだろうな?」、「俺たちも事情聴取されるのか?」など、動揺を隠せずに浮き足立つ者も出てきた。
そこに舞台を監視していた男が厳しい顔で西崎を呼びに来た。
「西崎さん、ちょっと」
「どうした?」

「厄介な奴が紛れ込んでやがった。秋山ですよ」
「なに、秋山だと!」
舞台はちょうど幕間で、大広間は明るくなっていた。

「最前列の右端ですよ」
「間違えねえ、秋山だ」
「何しに来たんだ?」
「エロ記事でも書こうとしているのか?」

男たちはざわつくが、「どうします?」と聞かれた西崎は、「あいつの後ろ盾は神戸の親分だ。下手に手を出す訳にはいかねえ。まあ、様子を見ておこう」と落ち着かせた
そして、間もなく、「ブー」とブザーが鳴り、大広間は再び暗くなった。いよいよメインイベント「叔母との一夜」の始まり。
音楽に導かれ、美智代と雄介が登場した。

救出!

舞台はスポットライトが当たり、眩しいくらいに明るく、2mも離れていない客席は全く見えない。
だが、何度やらされても恥ずかしさは消えない。しかし、逃れることが出来ないから言われた通りに演じるだけだ。
「み、美智代さん」
「やめて、雄介君、ダメよ、ちょっと待って」
「もう待てない、いいでしょう?」

雄介が美智代の服を無理やり脱がせると、パンティを引きちぎるように足から抜き取った。
客席で唾を飲み込む音が聞こえる。
雄介が赤ちゃんのおしめを替えるように美智代の両足首を掴んでV字に大きく拡げた。
「あっ、雄介君、恥ずかしいから、止めて!」

美智代が両手で股間を隠そうとした時、「ははは、そこまで、そこまで」と男がタオルを投げ込んだ。秋山だ。
事情を知らぬ客たちは「バカ野郎!何やってんだよ」、「叩き出せ!」と立ち上がり、急遽、大広間は明かりが点けられた。
そして、「秋山、てめえ、勝手なことをしやがって!」と西崎の手下が飛び込んできた。

「俺は逃げないぞ」とうそぶく秋山は男たちに数発殴られたが、後に構えていた西崎を見つけると、「痛てえなあ、こりゃ暴行罪だぜ、西崎さん」
と挑発にかかった。
普段なら、そんなことは無視する西崎だが、「悦子、逮捕」の知らせにイラついていたので、「うるせー!この野郎!」と、秋山に殴りかかってきた。
そこに秋山のポケットに隠したマイクから事の始終を聞いていた刑事たちが、制服の警官を連れて乗り込んできた。

「警察だ!西崎英吾、暴行罪の現行犯で逮捕する。残りの者もその場で動くな」
大広間を埋めていたのは大半が中小企業の経営者。
彼らは関わりたくない一心で「私は無理やり誘われただけです」、「そうだ関係ない」などと、我先へと出口に急いだ。
そのあおりを食って、西崎一派は逃げ場を失ってしまった。

(続く)

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