私の「ヰタセクスアリス」-第6話 2950文字 バロン椿

私の「ヰタセクスアリス」-第6話

私ももうすぐ55歳。そろそろサラリーマン生活も終わりが見えてきました。でも、あっちの方はまだまだ引退するつもりはありません。
明治の文豪、森鴎外は自身の性的な体験を「ヰタセクスアリス」という小説に書き上げていますが、私も森鴎外先生を真似て、自分の性的な体験をまとめてみました。
つまらぬ話ですが、是非お読み頂ければ幸いです。

作家名:バロン椿
文字数:約2950文字(第6話)
管理番号:k096

SMクラブ通い

どこの会社も同じだと思いますが、とにかくストレスが溜まります。私も本部勤務が4年、ストレスが溜まりに溜まっていた時です。思わぬ「雪隠詰め」のご褒美を頂き、これが私の頭の中に眠っていたスケベ心を目覚めさせてしまいました。

「SMクラブがさあ、池袋にあって、これが凄えんだ」と先輩がふと漏らしたことでしたが、「それだ!」と私は探しました。そして、ついに見つけました。確かに、お金次第で何でもしてくれます。

だから、昔に観た日活ロマンポルノの名作、谷ナオミさん主演の「生贄夫人」が忘れられず、それを演じたいと思いました。具体的にはこんなストーリーです。
私が和服の女性を縛り、柱に括り付けます。すると、その女性、「おトイレ、おトイレに行かせて下さい!」と体を捩って私に哀願してきます。

こんな時、男はエグいものです。洗面器を差し出し、「貴女のしているところが見たい」と言いますが、女性は勿論、「イヤです。おトイレに行かせて下さい!」と断ります。このやり取りがいいんです。
そして、一頻り揉み合った後、「じゃあ、トイレに行かせてやろう」となりますが、もう一芝居あります。

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トイレで便器に跨がった女性は手を解いて下さいと頼んできますが、私は「これでいいでしょう」と、着物の裾を捲って帯に挟み込みます。お尻丸出しの女性は、「イヤよ、そんなこと…」と眉間に皺を寄せ、苦悶の表情です。勿論演技ですが、後ろから覗き込んでいる私はドキドキしてしまいます。やがて、我慢の限界が訪れ、「イヤ、イヤ、酷い…」と泣きながら、やってくれます。シャーっとオシッコです。

実際にお願いすると、「えー、こんなことするんですか」なんて言いながらも、渡したシナリオ通り演じてくれて、それは、それは、滅茶苦茶に興奮しました。
続いて、メインイベントの浣腸です。

今度は彼女を素っ裸にして、四つん這いにさせます。肛門がはっきり見えます。「イヤ、見ないで」と言いますが、私はその肛門に浣腸を挿し込み、ギュッと液を注入します。
「あっ、イヤ、イヤよ…」と彼女は身悶えますが、私はその下腹部を揉み解し、オマルに跨がらせます。

「さあ、ここにしちゃいなさい」と私が覗き込むと、今度も彼女は顔を歪ませながらも堪えます。そして、1分、2分と過ぎ、突然、茶褐色の液状のものが、肛門からビュッと噴き出してきます。

とんでもないものですが、「スゲー」と呆れるくらい、とても刺激的でした。お陰様で、ストレスはスッキリ解消。翌日からバリバリ仕事が出来ましたが、こんなSMクラブ遊びはお金が掛かり、何度も通えません。
「どうするかな、このストレス……」なんて、財布の中を眺めていた頃、「椿、転勤だぞ」と、人事異動で再び支店勤務になりました。

接待も勉強です

久し振りの支店勤務、しかも課長代理に昇格です。不安はありましたが、小僧の頃に言われた、「知恵が無ければ汗を流せ」です。全力投球で仕事に取り組み、営業の勘を取り戻し、成績が伴ってきた7月です。接待の夜に思わぬご褒美が巡ってきました。
それはとても暑い夜でした。

「運転手さん、今、出てきますから」と私がハイヤーのドライバーに声を掛けたと、ほぼ同時に、「いやあ、今夜はすっかりご馳走になっちゃって」と、目の前のビルの一角にある小さなスナックのドアが開き、その夜の大事なお客様、某企業の社長が出ていらっしゃいました。

「何を仰います。二次会までお付き合い頂き、こちらの方こそ、お礼を申し上げなくてはいけません。さあ、社長、お車が」と支店長がアテンドし、課長は「いいか?」と私の方に駆け寄ってきましたので、「はい」と頷いた私は社長あての手土産を渡しました。

彼は社長をハイヤーにお乗せすると、「奥様にどうぞ」と社長の席の横に置き、「今夜は本当にありがとうございました」と、支店長も揃って最敬礼でお送りしました。

これで財務取引の大半を確保できた支店長は「いやあ、ご苦労だったね」とご機嫌で、「じゃあ、私もこれで」と別に呼んであったタクシーに乗って帰りました。

すると、課長が「ふぅ……」とため息をつき、「疲れたな」と私の肩をポンポンと叩いてくれました。その顔には「本部帰りも、なかなか気が利くようになったな」と書いてあるようでした。そこで、すかさず、「いえ、私は課長のご指示に従っただけですから」と言うと、「ははは、こういうことの積み重ねが、後々、役に立つんだ」と、彼もご機嫌でした。

おまけに、このスナックが彼の馴染の店でしたから、「おい、ママ、色っぽいだろう?」と言いましたので、「ええ、そそられますね」と調子を合わせると、「そうだろう。だから、社長を連れて来たんだよ」と鼻高々でした。
彼も「それじゃあ、俺も帰るから、支払いの方、頼んだぞ」と通りかかったタクシーを捕まえて、帰っていきました。

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思わぬママのお誘い

店に戻ると、他のお客はいなく、ママが後片付けをしていました。
「どうもありがとうございました」とお礼を言うと、「あら、皆さんは?」と課長のことを気にしていたようなので、「はい、今、帰りました」と伝えました。

ママは汚れたグラスをお盆に載せ、テーブルを拭いていましたが、チャイナドレスのスリットが割れ、太腿の上の方までチラッと見えました。
課長が「色っぽいだろう?」と自慢する通りです。

そのママが「そう、お疲れさま。でも、大変ね、銀行さんも」と微笑んでくれましたので、接待疲れ、上司の相手をした疲れ、諸々が一変に消えてしまいました。それで、「今夜はすっかりお世話になりました」と改めてお礼をして、「すみませんが、勘定(請求書)はこちらに送って下さい」と名刺を渡しました。すると、「へえ、『椿健一郎』さんね」と私の顔をマジマジと見て、「おいくつ?」なんて聞いてきました。

「はあ、33です」と答えると、「お若いのね」と水商売の常套句が返ってきました。それで、「じゃあ、私はこれで」と直ぐに帰るつもりでしたが、「明日はどうするの?」と頼んでも無いのに、ビールを注がれ、こうなると帰るに帰れず、「ゴルフって言いたいですけど、せっかくの土曜日、寝てます。ははは、つまらないでしょう」とカウンター前のスツールに腰を下ろし、それを飲みました。その間にテーブル席の片付けを終えたママも私に並んで座り、「水割りでいいかしら?」と飲み直しになりました。

それで色々と話しているうちに、「奥様は?」とワイフのことを聞かれ、「子供が産まれるので、先月から九州の実家に帰ってます」と答えると、グラスの水割りを飲みながら、「ご不自由でしょう?」と微笑みました。

私は「いえ、コンビニも、コインランドリーもあるから」と真面目に答えましたが、「そうなの」とママは声を出して笑いました。
それで、ようやく気がついたんですが、余りの鈍さに、私は恥ずかしくなって、照れ隠しにグラスの水割りを一気に飲み干しました。

「あら、お強いのね」
まあ、ママのペットみたいなものです。続けて、もう一杯。接待で酔えなかったものが、たちまち顔が火照ってきました。どうせ帰っても、誰もいない。こうなりゃ、飲むかとなってしまい、「お代わり!」となりました。すると、ママが「どうせ飲むなら、うちで」となったのです。

(続く)

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