産婦人科病棟看護師はミタ-第1話 2950文字 ステファニー

産婦人科病棟看護師はミタ-第1話

日本一の不妊治療実績を誇る大学病院にて、若手看護師が見たものとは...。

作家名:ステファニー
文字数:約2950文字(第1話)
管理番号:k122

ピー、ピー。 ナースコールが鳴ります。
「はい、ナースステーション大前です。どうされましたか?」
「点滴が終わりそうです」
「承知致しました。今、伺います」

私はステーションに残っている先輩に声をかけて、呼び出しのあった病室に向かいました。
ここは聖城医科大学附属病院、婦人科病棟。私は三年目の看護師、大前莉乃。やっと最近新米を脱したばかりの若手ナースです。

仕事についてはまだまだ先輩に教わることの方が多くて、この職種の奥の深さを痛感させられる毎日だけど、私の取り柄はなんといっても体力。それというのも、元アスリートなんです。今はもう現役は退いているけれども、昔取った杵柄とは言えたもので、トレーニングで培った持久力がこの仕事に大いに役立ってます。

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「古舘さん、点滴お疲れ様です。ゆっくり休んでくださいね」
私はナースコールで呼び出された部屋にて、今朝からずっと点滴治療を続けていた古舘さんをねぎらいました。
「ありがとう。看護師さんこそこんな夜まで面倒見てくれてごめんね」
「いいえ。私、体力は自信ありますから、大丈夫ですよ」

力こぶを作る真似をして古舘さんを笑わせました。長い治療で最近、元気のない古舘さんだったので、その笑顔を見るだけで私はとても嬉しくなってしまいました。
古舘さんの部屋を後にしてナースステーションに戻ろうとした時です。病棟の奥から院長が出てくるのが見えました。 私は硬直して、自然と気をつけの姿勢になってました。 「おっ、お疲れ様です」

90度の角度で礼はできていたと思います。
「お疲れ様」
院長の低いボソリとした声が通り過ぎるのを確認して、私は上体を起こしました。その途端、ふぅっと溜息をついてしまいました。
岡田院長。
すごい人なんです。この人。

聖城医科大学附属病院の院長にして、日本不妊治療学会の会長を務めているんです。その実績がこれまたすごい。院長の診察を受けたカップルの懐妊率はなんと90%を超えてるのです。若年層に限ればほぼ100%なんて噂もあるぐらいで。

そんなこんなでこの病院には全国各地から紹介状を持った悩めるカップルが多数やって来ます。予約待ちは半年、なんて都市伝説もあるぐらいです。
岡田院長の診療の特徴とすれば、カップルを入院させて様子見をする点にあります。通常の不妊治療は通院なので、かなり特徴的ですよね。

実際に入院加療によってどんなケアをしているかは、まだ下っ端の私にはわかりません。ごめんなさい! でも入院後にほぼすべてのご夫婦にコウノトリがやって来ているのを聞くと、相当効果的な療法を施しているのだろうな、と想像できます。

院長が過ぎ去って、上半身を起こすと、私は院長が出て来た奥の病室をチラリと見ました。そこはこの病棟で一番値の張る個室です。30代前半の夫婦が入っていると、日勤担当者から引き継ぎを受けている部屋です。院長の腕を信じて奮発したのだろう、と思うと、是非とも福あれ、と祈ってしまいます。私は胸元で小さく合掌し、踵を返しました。

ナースステーションに戻ると、師長の日野さんから声をかけられました。
日野さんはこの病棟看護師の中で一番の古参です。さらに師長さんですから、この病棟におけるトップの方です。 私がこの人に呼び出される場合といったら、それはもちろんお叱りを受ける可能性が大なのです。自然、私は気が張りました。思い当たる節はないはずなのですが…。

「大前さん、今日の夜勤の予定だけど、お伝えしてもよろしいかしら」
オドオドしながら日野さんのところに来た私は少し拍子抜けしました。
「はっ、はい。どんな予定でしょうか」
「12時から第1手術室で研修を受けて欲しいの。だから少し早いけど、もう休憩に入ってください」

「はい」
「それからその研修だけど、時間がかかります。あなたが今晩担当している古舘さん、別の人に見てもらいますから安心してください」
「わっ、わかりました」
「では早速だけど、休憩に行ってちょうだい」
「はい、では休憩に行って参ります」

しっくりこないものを感じながらも仕方ありません。なんせ日野師長のご用命とあらば絶対なので。私はロッカーから鞄を取り出し、休憩に出ました。
それにしても、夜更けからの研修とは何なのでしょう。まったく検討もつきません。しかも第1手術室で、なんて。

第1手術室はこの病院で一番広くて設備の充実している手術室です。外科の偉い先生しか使えない部屋なので、私みたいな婦人科病棟の看護師には到底ご縁のない所でしかありません。にもかかわらず、私がお呼ばれになるなんて、一体、どんな研修なんでしょうか。しかもこんな夜中に。

ひょっとして、ドクターXによるスーパーオペを特別に見学させてもらえるとか?
なんてね…。
私は一人でああでもない、こうでもない、と想像しながら、休憩時間を過ごしました。

休憩から上がると、私は鞄をしまって、日野さんに言われた通り、第1手術室へ向かいました。夜勤は毎週のようにこなしていますが、やはり真夜中の病院は怖いです。特に手術室がある4階は、病棟がないので真っ暗闇です。私の足音だけが不気味にカツカツこだまします。 こんな所でどんな研修をするというのでしょう。

「失礼します」
恐怖心を打ち消すかのように、私は声を張り上げ、手術室へ入りました。
「やあ、大前君、よく来てくれたね」
手術室の入口には(よくテレビドラマで術前に医師が手洗いしているあの場所です)、なんと岡田院長がいるではないですか!

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「いっ、院長。おっ、お疲れ様です……」
私はすぐさま腰を折り、礼をしました。
「やめなさい、そういうのは。さぁ、身体を起こして。今晩の研修は私が担当なんだ」 はぁ?院長が直に看護師の私に研修を? どういうことでしょう。
わけがわからずドキマギしている私を、院長はどこかへと誘導しました。

そこは長らく使用されていない場所のようで、あちらこちらが埃まみれでした。狭い階段を上り、その先にある小さな扉を開けると、細長い部屋になっていて、左側はガラス張りに、右側にはまるでそのガラスの先を観覧するかのように椅子が並んでいます。

「ここはね、かつては手術を見学するために造られたスペースだったんだが、とうの昔に使われなくなったんだ。現在は私しか入ることもなくなってしまっている。埃臭くて悪いね」
「いえ、全然大丈夫です」

なるほど。これまたドラマでよく出る、手術を上から覗いている、あの場所なのね、と私は一人で納得しました。確かにあれはドラマではよく登場しますが、実際に備えている病院はごく稀だと言われています。でもそんな希少な所がこの病院にあったなんて、驚きです。 ところで、こんな場所で院長と二人で、私は一体、どんな研修を受けるのでしょうか。

「ご存知の通り、私は産婦人科の医師であり、この病院の院長だ。さらに日本不妊治療学会の会長でもある」
「はい」
「私は地位権力にはそんなに執着はない。だけど私をその位置にまで押し上げたのは高い治療実績だった」
「……はい……」

「繰り返すが、私は出世しようと思って結果を出したわけじゃない。ただ、この国の出生率の低下に歯止めをかけたい、その一心で身を捧げてきただけだ」
「そう…でしたか……」
「そのためには私は何でもする。ところで大前君、日本の不妊の原因は何だと考えるかい?」

(続く)

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