救われるつもりが・・・-最終話 1580文字 カール井上

救われるつもりが・・・-第7話

私ダメダメOLが、女の子の願いをかなえてくださるという祠へお参りに行ったら、実は自分が人助けのできる人間だと気づかされる。なんと、ありがく偉い仏様からのテレパシーを感知する能力があったなんて。不思議なこともあるものです。さて、彼氏ともうまくやっていけるのか・・・

作家名:カール井上
文字数:約1580文字(第7話)
管理番号:r702

沈黙が続いた。何も聞こえない。私の力もこれまでだったのか。目を閉じ手を合わせ、祈り続けた。高志も隣で祈ってくれている。
声が聞こえた。
「有り難う。よく聞き出してくれました。あなただからできたのです。その方もとても感謝しているでしょう。さあ、これから言うことを伝えて下さい」

「はい。よろしくお願いいたします」
「人の寿命というものは変えられないのです。仮にお医者様のご尽力で命を長らえたらそれがその人の寿命です。もし力を尽くしていただいても命尽きたのなら、それが寿命だったのです。私は自ら火定しましたが、それもまた私の寿命だったのです。愛する人を失うのはとても辛いことでしょう。しかし、その辛さに耐えることもまた必要なことです」

ああ、難しい話になってきた。ちゃんと伝えられるだろうか。
「その方の愛情は奥様には十分伝わっていることでしょう。愛されつつ天寿を全うするのは幸せなことです。私もできる限り祈りを捧げます。奥様が一日でも長く生き続けられるように。そしてその死が平安で穏やかでありますようにと。これからは私のところに来る時間は奥様と共に過ごす時間とするように伝えて下さい。この事は奥様にも私から伝えます。死は決して悲しいことではありません。人は誰しも生を受けたときから僅かずつ死に向かっているのです。寿命は長いから尊いというものではありません。その長短に関わらず、どれだけ価値のあるものであったかが大事です。奥様はあの方にとても愛されました。愛した人にとっても愛された人にとっても十分に価値のある人生だったのですよ。さあ、奥様のところに戻るようにお伝えなさい」

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お話は終わったようだ。
目を開けて高志を見た。
「どうした、大丈夫か」
「長いお話だったから、ちゃんと伝えられるかわからない」

「頑張れ。一番大事なところだろう」
「何か辛い話ならば、繰り返さなくてもいいですよ。あなたに辛い思いをさせたくはありません」
男の人が言った。
「いいえ、慧春尼様のお話をお伝えします。私はそのために今ここにいるのですから」

一度深呼吸をしてから、ゆっくりと慧春尼様のお話を繰り返した。
話し終わったときに気がつくと高志が泣いていた。
私も泣いていた。

「有り難うございます。慧春尼様のお話を聞けて幸せな気分です。帰って妻に話します。私がいかに幸せか。本当に有り難うございます。どうかおふたりも仲良くお幸せに」
男は慧春尼様に深く頭を下げ、そして私たちにも頭を下げ去っていった。
さすがに少し疲れたのか、帰りの電車ではずっと高志にもたれて居眠りをしていた。夢を見ることもなかった。

————

次の朝、会社に着くと陽子と三木君が楽しそうに話している。
「おはよう。楽しそうね。何を話しているの?」
「あゆみさん、おはよう。今度のお休みにね、ふたりであゆみさんに教えてもらったお寺に行ってみようと思っているんです」

「あら、ふたりで行くなんてすてきね。いいところよ」
「でもその後で、白い象とか11個の顔とか夢に出てくるかしら」
「どうかしら。でも仲良くね」
世の中はこうして着々といろんなことが進んで行くのね。

次の週末、高志とデート。
今日はパスタを食べている。一緒に食べると何でもおいしい。
しかし、ちょっとこの間の電話のことは確認しておこう。
「ねえ、高志、『り』で始まる名前の女の人ってどなた」

「ああ、りさのこと」
「へえ、りさって言うんだ。どちらの方かしら」
「いや、あの、ええっとね」
「今度ご紹介していただけますか」
「いや、ええっと、そうじゃなくって」

ありがたい仏様のお告げだけではなく、高志の頭の中の叫びも聞こえるようになっていた。『ああ、やべえ、どうしよう。何て言い訳しようかな』
あんまり厳しくとっちめるのも考えものね。今日はこのくらいにしておいてあげよう。
「さあ、冷めないうちにいただきましょう。高志と一緒に食べると何でもおいしいわ」

(終わり)

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