今様シンデレラの結末は-第5話

今様シンデレラの結末は-第5話

作家名:くまあひる
文字数:約930文字(第5話)
管理番号:r700

5.新体制

週明けから新体制での業務が始まった。
喜び組もとい、私の部下はと言うと、30%恭順、70%抵抗勢力ってところで特に犬飼課長にかわいがられていた子は事あるごとに反抗してきてやりづらい。
私の指示で働くなんてまっぴらという態度に何度かキレかけたが、筒井さんがやんわりと間に入ってくれて事なきを得ることもあった。
帰りが偶然一緒になった筒井さんにお礼を言うと
「今まで何もしてやれなかったからな、これから接点増えると思うし、どんどん頼ってくれよ」と言ってくれた。
「高橋、これからなんかある?」
「ううん、帰るだけですよ」
「じゃ、飲みに行こう」

筒井さんは気心も知れていて、この会社で本音で話せる数少ない人だ。
「ホント、ごめんな。今まで助けてやれなくて」
「やだ、もうそんなこと気にしないでください。私、筒井さんが生き残ってくれててホント心強いですもん」
「あのさ・・・滝本課長って元々知り合いか?」
「え?いいえ?」
「いや、初対面じゃなさそうだったし、個人的な付き合いのある人かと思って」
えーっと、金曜日の約束はどのカテゴリーに登録したらいいんだろうか?
飲み友?上司?話し相手?・・・スパイ?
でも変な噂になってもいけないし・・・。

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「ないですよ」
「そうか、もしかして付き合ってんのかなと思ってたから」
「それはないですよ、だって彼女いるみたいですから」
「・・・そんなことまで知ってんだ」
「偶然電話しているの聞いちゃって」
「じゃあ、これからも高橋誘ってもいいよな」
「もちろんですよ」
「これからも一緒に頑張っていこうな」
「はい」
そう言って駅で別れた。
今まで孤立無援だったからすごくうれしい。
今までとは違う風の流れを感じて心地よかった。
それからも喜び組と何度もモメたけど、筒井さんが根気よく仲裁してくれたり愚痴を聞いたりしてくれたので、少しずつ彼女たちの態度も変わってきて、日常業務はスムーズに流れるようになり、私の指導も必要ないまでになった。
その間も“金曜日の約束”は続いていた。
滝本さんは仕事の話はほとんどせず、かといって自らプライベートを語るようなこともなくほとんど私の話を聞いているだけだった。
ホントにそんなんでいいのかしら・・・社内の情報収集が目的だろうに。
私と飲んでいても時間の無駄ではないのかしら。

(続く)

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