救われるつもりが・・・-第2話 2990文字 カール井上

救われるつもりが・・・-第2話

私ダメダメOLが、女の子の願いをかなえてくださるという祠へお参りに行ったら、実は自分が人助けのできる人間だと気づかされる。なんと、ありがく偉い仏様からのテレパシーを感知する能力があったなんて。不思議なこともあるものです。さて、彼氏ともうまくやっていけるのか・・・

作家名:カール井上
文字数:約2990文字(第2話)
管理番号:r702

とにかく広い畳敷きの部屋だった。20メートル四方いやひょっとしたらもっと広いかもしれない。男はその真ん中に正座し手を合わせている。正面にはありがたそうな仏様が鎮座している。私も入り口近くに正座して手を合わせてみた。広い部屋の中に何の音もせず、わずかにお香の匂いがする空間に両側にお弟子さんらしい人を従えた仏様と男と私だけがいる。

そのとき何かが聞こえた。人の声のようだ。男は前を向いて黙って手を合わせている。誰の声だろう。ぼんやりとしていた音がはっきりとしてきた。

「よく来た。休んでいけ」
そう聞こえる。
えっ、誰が話しているの。誰に向かって言っているの。優しい響きが頭の中に反響している。

そのとき男は深々と畳に頭を擦り付けるほどのお辞儀をし、立ち上がった。もう一度頭を下げ、くるりと向き直ってこちらへ歩いてくる。何かいけないことをしているような気がした。頭を下げて顔を見られないようにしよう。男はそのまま私のすぐ横を通りすぎて、扉を開いて外に出た。

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声がまた聞こえた。
「礼を尽くしなさい。何事もおろそかにしてはいけない」
今、もうここには私ひとりしかいない。声は私に向けられているのだろうか。誰の声だろう。まさか仏様。あれは仏像よ。しゃべるはずがないわ。

前に誰かに聞いたことがあるような気がした。
お寺や神社や教会で祈っていると話しかけてもらえる人がいるって。スピリチュアルが強い人に起こるって聞いたような気がするけど、私がそんな人だとは思えない。

でもはっきりと聞こえたことに間違いはない。仏様の顔をよく見てみたが穏やかな表情は何も変わっていない。
あっ、あの男の後をつけないと。慌ててお辞儀をして部屋を出た。

男はなんだか長い階段の前に立って見上げている。まさか上るのかしら。かなり長いわよ。やめてほしいな。でも例のお堂はこの上なのかもしれない。そうだとしたら行かなくちゃ。

男が上り始めた。上を向いてずんずん進んでいく。階段の両脇には古杉がずらっと立ち並んでいる。怖そうな天狗の像が睨んでいる。しょうがない。私も上ろう。でも上がどうなっているのか見えないのよ。手摺が端じゃなくて真ん中にあるのね。手の力も使わないと上りきれそうにないわ。いったい何段あるのかしら。もう絶対百段くらいは上ったはずだけどまだ半分も来ていない。両手で手摺を掴んで引っ張り上げないと体が上に進まない。

見上げるともう男の姿はなかった。
ああ、見失っちゃったかなあ。でもしょうがない、ここまで来たら上り切るしかないわ。あともう少しよ、頑張ろう。残り10段くらい。下を見てみよう。うわ、何て高いところまで来ているの。これは下りるのも大変だわ。足がすくんで動けないかも。

やっと上りきったら男の姿が見えた。またお参りするところで頭を下げて手を合わせている。鈴を鳴らす紅白の縄が垂れ下がり、賽銭箱が置かれている。そしてお堂の中には何か祀られているようだけど、暗くてよく見えないわ。左側には売店、いや、そうは言わないのよね。御守りなんかを置いてあり、おじさん、いやこの人もひょっとしたらお坊さんなのかな、ひとり座ってるわ。

あれ、よそ見をしてたら男がいなくなっている。ああ、急がなきゃ。
でも、私も一応お参りしていこう。鈴を鳴らしてお賽銭を入れた。お堂の中をよく見ると、お顔がたくさんある仏像だ。いくつあるのかな、9くらいは数えられるけど、後ろにもあるのかもね。

手を合わせ目を閉じると声が聞こえた。
「頑張りましたね。よくここまで上り切りました。私は見ていましたよ」
女の人の声だ、目を開けて周りを見回したが誰もいない。御守り売り場に座っているのはどう見てもおじさんで女の人ではないわ。いったい誰の声。また聞こえた。

「礼を尽くすのですよ。何事もおろそかにしてはいけません。きっと上手くいきます。ここまで上れたのですから大丈夫ですよ」
ああ、もしかしたらこの顔のたくさんある仏様が話してくれているのかしら。よく見ると一番大きな顔はなんだか優しそうな表情をしている。有り難うございます。頑張ります。そうつぶやいて男の後を追った。

男は絶対に階段を下りてはいないわ。この右側の道を進んで行ったに違いない。後を追わなければ。また山道。でも今度は少しずつ下っているから助かるわ。でも男の姿は見えない。どこか他の道があったかしら。迷っちゃったのかしら。この先いったいどこに出るのかしら。

くねくね曲がっていて先が見えないの。下りが少し急になったとき右側に何かが見えた。ああ、目指すお堂だ。ネットで見た写真の通りのお堂が現れた。

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待って、男がいる。またお堂の前で頭を下げている。でもちょっと雰囲気が違うわ。肩が震えている。頭も上下に揺れている。泣いているのかしら。どうしたのだろう。近寄ることが出来ない。20メートルくらい離れたところで男を見つめていた。

男が頭を上げた。そしてまた深々とお辞儀をしている。頭を戻したとき、スッとこちらを見た。明らかに私を見ている。ああ、見つかっちゃった、どうしよう。なんだか足がすくんで動けない。階段の下をのぞいているわけでもないのに。顔を動かそうかと思ったが男から目が離せなかった。

男と目が合っている。男がわずかに目を閉じてさらにわずかに頭を動かした。
「どうぞここへ来て、お参りなさい」と言っているようだった。
自然に足が前へ出て、お堂の前にたどり着いた。

男がスッと体をずらして、鈴を鳴らす縄の前を空ける。私はそこに立ち鈴を鳴らしてお賽銭を納めて頭を下げ、目を閉じ手を合わせた。

初めまして篠原あゆみと申します。願いを叶えていただけるとうかがいましてお参りさせていただきます。何をやってもダメなのです。ドジばかりで。勤め先からも彼氏からも見放されそうで。なんとか上手くいきますようにお導き下さい。よろしくお願いいたします。心の中でつぶやいて目を開けた。

少し後ろから声が聞こえた。
「ろうそくをお供えなさい」
振り向くと男が指を差している。その先にはたくさんのろうそくとマッチが置かれている。

「これを頂いて良いのですか」
「良いんですよ。せっかくお参りしたのだから。喜んでいただけますよ」
燭台に二本ろうそくを差し込み、マッチで火を点けた。風もなく穏やかなので火はそれほど揺らぐこともなく灯されている。

「襷は無いのですか」
男に聞かれた。
あっ、そうだ。襷にお願い事を書いてお供えするのだった。ふと見ると、数えきれない襷がお堂を取り囲むように下げられている。

「そうでした。襷はどこでいただけるんでしたっけ」
しょうがないので、すがる思いで男に聞いてみた。
「最初に瑠璃門を入りましたよね。そのときにすぐ右に総受付というところがあって、そこでいただくんですよ」

るり門、ああそう読むのか。しかしそうだったんだ、男についていくことばかり考えて全然気が付かなかった。そこはもうここから遠いのだろうか。だってあんなに長い階段を上って、その後山道をぐるぐる歩き回ったのだから。

「よかったら案内しますよ。そういってもすぐそこですけどね」
「えっ、近くなんですか」
「そうです。我々は左回りにぐるっと一周してきたんですよ。右回りに来れば、ここは瑠璃門からそう遠くないんです」

「我々って誰ですか」
「あなたと私ですよ」
「えっ、後をつけてたこと気付かれてたんですか」
「バスを降りたときからね」

(続く)

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