美人ジャーナリストは虜の身がお好きのようで-最終話 1820文字 邪道

美人ジャーナリストは虜の身がお好きのようで-第9話

大手新聞社を退職した佐藤郁子はヒマと美貌と豊満な肉体を持て余す、フリージャーナリスト。
恋人の猛のツテを頼り、彼の先輩高見から依頼された仕事。
それは政界の性事情をスクープするための潜入取材、いわば密偵だった。
SM嬢に扮し、裏社会の面々と対峙する郁子だが敢え無く捕まってしまい…。
窮地に堕る郁子だが、秘めたるマゾヒスティックな性癖を存分に満たされる淫靡な調教に加え、政界のプリンスとのハードなプレイに酔いしれる羽目に…。
果たして郁子の運命はいかに?

作家名:邪道
文字数:約1820文字(第9話)
管理番号:k140

第10夜:真の黒幕は―――?

――――一月後、郁子はまたも猛との妖しい夜を謳歌していた。
「ひい、ひいッ、ぶッ、ぶって、ぶってぇ~~~~ッ」
愉しげで愛嬌の入り混じった嬌声を上げつつ、ベッド上で緊縛された裸体を悩まし気に歪める郁子。
「ほらほら、おっぱいの上で乳首が勃ちまくってるじゃあねえか…て、郁子、最近やたらハードなプレーを好むよなあ、いったいどうしたんだよ」
と、猛はベルトで優し気にかつ遠慮がちに郁子をシバきながら問う。
「え、あ、いや…猛のお仕置きが上手過ぎるだけじゃないのかな…あなたに虐めてもらっているときが一番幸せ、とか? うふふふ」
郁子は妖し気に上気し、微かに汗の浮かんだ額を光らせながら答える。
「そういえば、高見さんがお前のこと気にかけてたぞ、なんだかつまらない仕事を依頼しちまったってさ…」
「そ、そう、そんなことないよ」

高見には潜入の夜の出来事を密かに話していた。
無論、紳一郎とのアバンチュールは伏せたものの、柴田や松宮といった妖しげな男らに捕まりSMチックな拷問にかけられたこと、そこに現れた大海紳一郎と、黒幕、狩野善一郎の登場のこと。
『君はなかなかガッツがあるし、冒険心も探求心も旺盛だ…。淫靡な折檻を受けながらも、俺の情報を守り通してくれたらしいしね。ぜひ、俺と手を組まないか? 猛の奴には無論内密に、ね』
高見には気に入られた様子だが、マゾヒスティックなプレーの数々に酔いしれていたなどとは、もちろん口が裂けても言えない郁子だ。

スパイ活動の夜、その後―――。
あのSEX拷問の顛末だ。
『いいだろう…この女なかなか面白い。愛嬌もあるし、気に入ったよ…。まあ、大海センセイとの‘協調路線’を確認できたし、収穫はあった…。佐藤郁子君といったねえ、今後は郁子君とも一夜の友、いやいや竹馬ならぬ木馬の友の関係になりたいものだ』
ユーモラスかつ獲物を狙う様な鋭い眼光を向けつつ、狩野は郁子の解放を許した。
(木馬の友とか…絶対、かなりのサドよね、あの狩野善一郎は)
と、郁子は、密かにあのまま、老獪な政治家に身を委ねていたらどんな仕打ちを受け、歓喜の声を上げていただろうと、ちらと自分の卑猥な痴態を妄想したりもする。

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(考えてみれば、私、嵌められたのかも)
郁子は思う。
ここ一週間の間に、大海紳一郎は副大臣を辞職し、急に党の青年局長なる役職を退任している。
大きなスキャンダルを掴まれたのでは、との憶測も週刊誌界隈を賑わしていた。
結果、与党、帝国親民党は人気議員の活動に陰りが生じ、次の選挙でも議席の減が噂されている。
特に与党を追い詰めることに血道をあげている大江戸TVは、狩野よりも大海にかかわるスキャンダルの追及に力を注いでいて、内閣の支持率も急落に一役買っていた。
(もしかして、高見さんは大海のスキャンダルの方を狙っていたのかも…)
と、まだまだ駆け出しの美人ジャーナリストには理解しえない闇が、この業界には広がっているようだ。

ベッドの傍らに置かれた猛のスマホがメッセージの着信を知らせている。
が、愛し合う二人にそんなものは目に入らない。
「ああッ、ああッ…あああぁぁぁ―――――――ッ」
郁子は念入りに緊縛してもらった肉体を反り返らせながら、感極まって嬌声を漏らす。
(それにしても、あの時は超恥ずかしかったんだから)
恋人の執拗な求めに、絶頂を迎える寸前、郁子は、はしたないと思いつつ、あの地下室から解放された時のことを思い出し、さらに性感を昂らせた。

快楽拷問に屈しなかった郁子は、紳一郎とのSEXを完遂してもらえなかった。
紳一郎はSEXを未遂に終えると、何の未練もなく郁子を投げ出した。
が、挿入されていた極太の一物を抜き去られた瞬間、郁子はついに堪えに堪えていた感覚が、ついにオーガズムに達し、縛られた肢体を激しく痙攣させ、嬌声交じりの潮吹きを披露する羽目と相成ったのだ。
『あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁ―――――――ッ』
自分でもよくもあんな破廉恥な声を漏らしたと思う。
(ごめんね、猛。でも大海紳一郎とは未遂に終わったわけだし、浮気には当たらないわよ、ね?)
弧を描いた液体が男らの視線を浴びながら、床に舞い落ちるサマを思い返し、全身を焦がすような羞恥心を覚えつつ、目の前にいる恋人の男のDNAの塊を受け止める――――。

愛のナイトゲームの後…。
すやすやと寝息を立てる郁子。
その傍らで彼女を腕枕しつつ、スマホに目を落とす猛。
‘調教の第一段階は成功ですよ、卜部さん’
LINEのメッセージに視線を落とした恋人はにんまりとほくそ笑んだ。

(終わり)

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