伝説の女性器-第6話 2020文字 ステファニー

伝説の女性器-第6話

挫折した箱根駅伝ランナーが次に追い求めるモノとは!?

作家名:ステファニー
文字数:約2020文字(第6話)
管理番号:k139

麻布のクラブイベントを聞きつけてきたのは、キリヤだった。仮面をつけて、シャンパンをシャワーのように浴びせるパーティーだという。参加者はずぶ濡れになるため、自然と着ている物を脱ぎ捨て、全裸になった男女が手当り次第の相手と交じり合うらしい。
いかにも怪しく、いかがわしい。
でもその胡散臭さすら、趣深いと思えてしまうほど、アオはこの業界の沼にずっぽりとハマっているのである。
「で、先輩は運命の女性と出逢えたの?」
待ち合わせをしたカフェで、キリヤはアイスコーヒーのストローで氷を弄びながら話しかけてきた。
「いいや。空振りが続いてる」
「そっかあ。なんか力になれるといいんだけどな」
「まぁ、急ぐ必要もないしな。ゆっくりでいいかなって考えてるよ。占い師にもそう言われちゃったしな」
「あっ、行ったんだ。あの噂の占い」
「まあな」
「で、どうだったの?」

「どうって、今言った通りだよ。望みは叶うけど、時間がかかる、と」
モモの件もキリヤが仕入れてきた情報だった。人当たりが良く、友だちを作るのが上手いキリヤは、一般には出回らないような話を聞きつけてくることがしばしばあるのだ。
「違う違う。そうじゃなくて、占い師さん。めっちゃ美人だって聞いてるよ」
あまり思い出したくないモモの容姿がアオの脳裏に蘇り、アオは苦笑いした。
「そうでもないよ。特に占いたいことがないならやめとけ」
「なんで?」
「一粒でメシが食える値段のチョコレートをせがまれるからだ」
わざわざ銀座に行き、洋服と変わらないような額のチョコレートを買ってまで、なんであんな女に会ってしまったのか、とアオは後悔していた。あれを買うお金で、お世話になった施設で今も暮らしているチビたちに目一杯の駄菓子チョコを買ってやった方がよっぽど大人として正しい行いだった、とも。

「そっかあ、それは残念。でもさ、先輩はなんでそんなに運命の人を見つけたいの?先輩はすでにモテるし、女の子には困らないんじゃないの?」
手にしていたコーヒーカップをソーサーに置き、アオはキリヤを見た。
「この仕事をするって決めた時に決意したんだ。ただ快楽のまま、本能のままに抱くだけじゃなくて、本当に心の底から抱いていて気持ちいい、最高の相性を持ち合わせた女性と必ず出会おう、と」
それが落ちぶれた自分が天国の両親に対する、せめてもの償いだ、とアオは言おうとして、そこは引っ込めた。
「へぇ。確かさ、僕が聞いた話だと、世の中には名器と呼ばれる女性がいて、すっごく気持ちいい体験をさせてくれるっていうよ。伝説の女性器、なんていう風にも呼ばれてる」
伝説の女性器、か。
「なるほどな。それは会ってみたい気もするが」
「でもさ、先輩はその運命の人に出逢えたら、その後はどうするの?」
「そうだな、その時はこの業界からは引退かもな」
「そんなぁ。もったいないよ。それじゃ、僕はこれ以上先輩に協力できないよ」

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アオは笑ってしまった。
「冗談だよ。真に受けるなって」
こう言いながらも、本心ではどこかでこの業界から足を洗いたいという願望がある。
「もし本当に辞めるとしたら、先輩はこの後、何をするの?」
「さあな。その時考えればいいんじゃないか。社長だって、会社と役場以外にも職場はあるって言ってただろ。大学は中退してしまったけれど、案外なんとかなるもんかな、ぐらいに考えてるさ」
「さすが先輩。しっかりしてますね」
キリヤは拍手していた。
「やめろよ。それよりそろそろ開場の時間じゃないのか」
「そうだ。よし向かおう」
二人は立ち上がり、会計に向かった。
会場は芸能人や若い富裕層が遊び場として利用していることで有名なクラブハウスである。
表向きは踊り場だが、実際には様々な意味でのお忍びの場として機能しているようである。

今宵はパーティーということで、普段よりもめかしこんだ客が行き交っている。
黒服を着たボーイが扉の前に立っており、彼らに参加券を購入したスクリーンショットを提示すると、中へ通してもらえる仕組みだ。アオとキリヤもスマホを印籠のように見せつけ、会場へと進入した。
入口を通過すると真っ暗闇だった。仮面を着けるよう、指示する声だけがどこからか飛んでくる。かなりの人数が待機しているようで、蒸し暑く、また何度も肩が触れた。
何分ほどそうしていただろうか。
突如、大音量でクラブビート調の曲が流れ出し、七色に光るミラーボールが回り出した。
「ハーイ、皆様。今夜はお集まりいただき、ありがとうございます。これよりマスカレードパーティーを始めます」
レコード盤を削りながら、DJ が叫ぶ。そこだけにスポットライトが当てられており、くっきりと姿が見える。
興奮を誘うような洋楽がかかり、その曲調に合わせて客たちは身体を揺らした。
「ではでは~、皆様お待ちかねの、シャンパンシャワーのお時間ですよ。盛り上がっていきましょー」
その瞬間、ミスト状の噴射物が場内を包み込んだ。それと同時に歓声が上がり、様々な色彩の飛来物が視界を横切った。

(続く)

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