北陸道ー熱愛ライン-最終話 3990文字 バロン椿

北陸道ー熱愛ライン-第7話

夏休み、高校2年生の高木秀夫は、知り合いから「ちょい手伝うて欲しい」と、お土産店の店番を頼まれた。気が進まないアルバイトだったが、出掛けてみると「社長はん、拭き掃除、終わったけど」と、36歳の熟女、木村美佐江が現れた。
何やら胸が高まるが、狭い町だから仲良くなっても噂になるのも早い。さて、どんなことになるか……

作家名:バロン椿
文字数:約3990文字(第7話)
管理番号:k138

石川県の沖合は暖流の対馬海流と寒流のリマン海流が交じりあい、豊な漁場で、金沢港には多種多様な魚介類が水揚げされるから、何を食べても美味しい。
「さあ、何にしよかな」とお品書きを見る美佐江は2年前よりずっと明るく、そしてまぶしく見える。田舎の実家に出戻り、窮屈な生活をしていたのが、今はそこから開放されて自由な生活になっているためだろうか?そんなことを考えていると、その視線に気がついたのか、美佐江は「あん時、ちゃんと挨拶しておこうと思ったんやけど、あかんかった」と一言漏らした後、「これ、きりっとした味なのよ」と日本酒を口にした。

秀夫にも、あの時のことは苦い思い出。だから、もう、そのことには触れず、「どんな味かな」とその酒を口にすると、じわっと胸に酒が染み、それと共に美佐江への熱い思いが湧いてきた。だから、「これ、美味しいわよ」と料理を勧める美佐江の優しい声も顔も、いや、全てが心に響く。この時間が永遠に続いて欲しいと願っていた。

ところが、まだ午後7時を過ぎたばかりなのに「ああ、お腹いっぱい」と箸を置いた美佐江が、「出まひょか」と立ち上がってしまった。
「えっ、あ、いや」と食べ残している秀夫が「美佐江はん、まだ時間が」と引き留めようとしたが、美佐江は構わず「お勘定お願い」と精算を済ますと、店を出てしまった。「ま、待って」と秀夫がジャンバーを掴んで追いかけると、パーカーを羽織った美佐江が「あそこではゆっくり話出来ひん」と外で待っていた。
やはりそうなのか……ちょっと鈍かったかと、「へへへ」と笑う秀夫にスーと身を寄せてきた美佐江は腕を絡めると、「こっちやで」と歩を進めると、繁華街の先に見えるシティホテルのエントランスに入っていった。

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2年ぶりのセックス

シティホテルなど入ったことがない。落ち着かない秀夫がロビーの隅で隠れるようにしていると、フロントで鍵を受け取った美佐江が目で「こっちよ」とエレベーターホールを差し、二人は誰にも見られないように足早にエレベーターに乗り込んだ。
もう大丈夫。ほっとした二人の繋いだ手に力が入る。そして、扉が開き、半間接照明の廊下を歩き、カチャッと鍵を開け部屋に入ると、そこは誰にも邪魔されない二人だけの世界。
抑えてきた気持ちが爆発し、「もう離せへん」と美佐江が秀夫に抱き付けば、「僕も」と受け留めた秀夫が唇を求め、二人はそのままベッドに倒れ込んだ。

チュッ、チュッ、チュッ……舌を絡らませ、合わせた唇も離さず、互いの唇を貪るように求め合い、
「はぁ、はぁ……」
「み、美佐江はん……」
「ひ、秀夫ちゃん、嬉しい、二度と会えへん思うとったさかい……」
「ぼ、僕も……」
と言っては、また熱い吐息の漏れる口を吸い合う。
外気は10度を下回っていたが、エアコンの効いた部屋は暖かく、たちまち額には汗が滲み、「こんなのいらへん」と美佐江が秀夫のジャンバーを毟り取れば、「これも……」と秀夫も美佐江のパーカーを、互いに相手の服を剥ぎ取るように脱がせ合い、最後に秀夫が美佐江のパンティを引き下ろすと、二人は真っ裸。

あれから2年。38になった美佐江のおっぱいは前より形は崩れているが、小豆のような乳首と、その周りにある3つのほくろは変わりない。見ていると、あの時、隣のおばさん、吉井妙子に言われた「あん女は秀夫ちゃんが付き合う女じゃないんよ」と言われた嫌な思い出が蘇る。それを振り払うように、「あぁぁーー」と声を出した秀夫は、美佐江を被さり、その乳首に吸い付き、おっぱいを揉んで、揉んで、それから、身体をずらし、両脚の間に移って、愛液でベチャベチャの女陰をベロッ、ベロッと舐めて、そのまま猛烈に舐め上げる。
美佐江は「あ、あぁぁぁ、あ、あ、あっ、あ、あぁ、あぁぁぁ……」と泣き声のようなものを上げて身体を捩るが、頃合いなど忘れてしまった秀夫が、続いて大きく膨らんだクリトリスにしゃぶりつくと、「あかん、あかんって……もう逝ってまう、逝ってまう……」と秀夫の頭を掻き毟ってきた。

ハッと気がついた秀夫が顔を上げると、「早う、早う」と美佐江が引き摺り込むように両手で抱き寄せ、ピンと上を向いたペニスが膣口に滑り込み、二人の性器はきつく結び合った。
言葉では表せない悦び。
美佐江が「あ、あああ……」と声を出すと、秀夫も弾けそうなものを必死に我慢して腰を打ち付け、美佐江は「あ、あ、そ、そこ、ええ、ええ、あっ、あっ、あああ、あああ……」となって秀夫にしがみつくが、秀夫も危なく、腰の動きが速まる。
二人とも限界。
「ええ、ええ、い、逝く、逝く、逝ってまうーー」と美佐江が喘ぎ、その直後、「あっ!あっ!あっ!……」と秀夫が勢い良く美佐江の膣の中で射精すると同時に、美佐江も「あっあー、あっあー、あっあー」と叫んで絶頂を迎えていた。

浴室の戯れ

シティホテルの浴室は狭い。
先に起き上がった美佐江はぐったりして横たわる秀夫を残して、ベッドを抜けだすと浴室に入り、サーとシャワースクリーンを引いてコックを捻った。
シャー、シャー、シャー……と勢いよく飛び出す湯が身体の汚れを洗い流していく。気持ちええ……シャワーヘッドを掴んだ美佐江はそれを股間に向け、そこを洗っていると「もうええ?」と秀夫の声がして、ザッとシャワースクリーンが引かれた。
「な、何すんねん」と慌てた美佐江が手にしたヘッドを下に向けたが、秀夫が「やっぱし黒い」と笑っている。

「アホなこと言わんといて。こないなとこ染める必要あらへんやろう」と美佐江が陰毛を摘まむと、「そやけど金髪やろう」と股間を覗き込む。無邪気と言えば無邪気。デリカシーが無いと言えばそうだが、「誰に見せるん?」と聞くと、「えっ、あ、そ、そうか」と妙な納得の仕方。
「アホ」と一言、そして、「うちが好きなんはあんただけ。特別やで」と美佐江が秀夫の顔にシャワーを向けると、今度は秀夫が「あ、あ、や、やめて」と慌てて目を押さえる。
全くたわいもない戯れ。
「ハハハ、変なこというからあかんのよ」と秀夫と入れ替えに美佐江はバスタブから出ていった。

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今夜は寝かせへんさかい

ベッドに戻った美佐江は冷蔵庫から缶ビールを取り出すと、プシューと開け、一口、二口……そこに、素っ裸の秀夫が戻ってきた。
「はい」
美佐江が缶を手渡すと、秀夫は「うん」と言って腰を下ろし、それを一口、そして、「ふぅぅーー」と大きく息を吐いた。
どんな時も、冷えたビールは旨い。缶を返された美佐江はもう一口飲むと、「まさかね、フフフ」と思い出したように微笑んだが、ベッドに横たわった秀夫は「どないしたん?なんか変?」と聞き返す。すると、缶をベッドサイドのテーブルに置いた美佐江は「だって、こないな風に秀夫ちゃんと会えるとは思わへんかった」とヘアゴムを咥えながら髪を結ぶ。

2回戦の始まりだ。
「ほんまやね」と秀夫は身体を起こしたが、美佐江が「ええねん、そのままで」と押し倒し、二人は自然に唇を合わせるが、どちらがリードする訳ではなく、舌と舌を絡ませジュパジュパと音を立て吸い合う。そして、「み、美佐江はん……」と秀夫が唇を離すと、「今夜は寝かせへんさかい……」と美佐江が口をめいっぱい開いて吸い付く。
二人は何度も身体を入れ替えながら、これを繰り返す。その間にも、互いに性器を弄り合うから、唇を離した時には、「はぁ、はぁ……」と喘ぎ声を漏らす美佐江の女陰ははしたない程に潤い、「ええかぁ?」と顔を上げた秀夫のペニスも硬く尖っていた。

もう何もする必要がない。仰向けになった美佐江に秀夫が身体を重ねると、「あ、あぁぁぁっ……」と声を出した美佐江がその身体を抱き締め、ペニスは膣の奥深くまで入っていく。すると、待っていたというのか、膣が締まりペニスを握られたような快感がズーンと身体を貫いた。次の瞬間、「み、美佐江はん……」と秀夫が呻き、美佐江は「あ、あぅ、あぅ、う、うぅぅぅ……」と声にならぬ声を発し、足を腰に絡めてきた。
しっかり抱き合った二人、腰を振る秀夫が「あ、ああ、あああ……」と歯を食いしばって我慢し、それを受け止める美佐江は「ああっ、あっ、あっ、あっ、うっ、うっ、うっ、ああっ、あああっ」と首を振って悦ぶ。そして、間もなく「いい、いい、逝く、逝く……」としがみついてくると、秀夫も「あっ、あ、あっ、あっ……うっ!うっ!うっ!」と絶頂を迎えた。

爽やかな朝の金沢

早朝の金沢はまだ冷える。
「ふぅ、寒い。京丹後も冷えるけど、金沢も同じやな」
「うん」
午前7時前にホテルをチェックアウトした二人は寄り添って金沢駅に近い、加賀百万石の台所、近江町市場に向かう。
「初めてここに来た時、いっぱいお店があって、びっくりした」
「凄いなあ、いくつあるん?」
「多すぎて分からへん」
広さは東京ドームの6割ほどだが、そこに170近い店が立ち並び、野菜、肉、それに酒や漬物、惣菜等、選ぶにも困るほど何でも揃っている。
そんな市場の中を二人は腕を絡めて歩くが、絡めた腕から互いの体温を感じ、自然と笑みが浮かぶ。

「どないすん?」
「どこかで朝ご飯を食べたいなあ」
「あっ、朝からお寿司屋が開いてる」
「そうよ。何でもあるんだから」
親戚もいない、知り合いもいない金沢の暮らし。こうして賑わう市場を美佐江(しかも金髪!)と歩いたって、とやかく言おう者はいない。
もう二度と別れたくない。秀夫が思わず、「好きや」と繋いだ美佐江の手を握ると、「うちも同じや」と美佐江の声が返ってきた。
見つめ合う二人の頬を爽やかな風が撫でていく。
「ここがええ」と一番高そうな鮨屋を指差した美佐江は、「えっ、大丈夫?」と心配する秀夫に、「ふふふ、お祝いや」とその手を引っ張り、二人は暖簾を潜った。
ここには「あん女は秀夫ちゃんが付き合う女じゃないんよ」などと小言をいう者はいない。快適な金沢暮らしは始まったばかりだ。

(終わり)

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