セックスは大切なものです-前編
セックス。男と女が互いの性器を繋げ合い、素晴らしい悦びと新たな生命を得るものです。
しかし、上手くいかないと、「成田離婚」なんてことも……
今日のお話は、セックスで人生が明るく開けたお二人のお話しです。
どうぞ、安心してお読み下さい。
作家名:バロン椿
文字数:約1850文字(前編)
管理番号:k132
はじめに
セックス。男と女が互いの性器を繋げ合い、素晴らしい悦びと新たな生命を得るものですが、やはり相性というものがあります。
「あ、あ、あっ、だ、ダメ……」
「まだ、まだよ、あ、ああ、もう、いや、なんなのよ」
早すぎる男性は女性に軽蔑され、セックス相手から外されてしまうこともありますし、
「いや、いやよ、痛い、痛いんだから、もう触らないで!」
こんな風にかたくなにセックスを拒否する女性は男性から敬遠されます。
さらに、せっかく結婚までたどり着きながら直ぐに別れてしまう「成田離婚」のようなケースもあります。
これからお話する平田夫妻はセックスによって人生が開けたお二人と言っても過言ではないでしょう。
楽しい恋愛期間。でも、仕事に悩む彼はデートしても上の空、話がちっとも弾みません。どうしよう?悩んだ彼女は職場の先輩に相談しました。
その先輩がしてくれたアドバイスは、「セックスしなさい」でした。
それでは、楽しいお話です。どうぞ最後までお読みください。
顔が赤らむ思い出
今年36歳になる平田(ひらた)麻子(あさこ)さんは同じ年の夫、孝義(たかよし)さんと結婚して8年になりますが、今でも思い出すと顔が赤らみますが、心が温まる思い出があります。
それは、まだ二人が結婚する2年前の話です。
当時26歳になったばかりの孝義さんは入社3年目ながら、初めての大きな仕事を任され、それをやりきろうと必死になっていました。でも、課題が沢山あって、頑張っても、頑張っても、「おい、どうなっているんだ!」と、上司からの罵声に近い叱咤、激励が絶えません。とうとう、孝義さんはノイローゼ寸前にまで追い詰められていました。
そのためでしょう、一緒に食事をしても、遊園地で遊んでいても、
「このパスタ、美味しいわね」
「ああ、そうだね」
「ねえ、ジェットコースターに乗りましょうよ」
「僕は見ているだけでいいよ」
と、何を聞いても上の空、「心、ここにあらず」という感じでした。
それで、心配した麻子さんは、既婚者で、恋愛経験も豊富な職場の先輩の明美(あけみ)さんに相談しました。
すると、明美さんは「簡単なことよ」と微笑むと、「セックスしなさい。そして、『感じちゃった』でもいい、『オチンチン、大きい』でもいい。なんでもいいから、彼の体のことを褒めてあげなさい」と麻子さんが考えたこともないことをアドバイスしてくれました。
麻子さんは明美さんがふざけていると思いましたが、彼女は大真面目でした。
「彼、仕事で失敗したらどうしようと、いつも不安になっているのよ。それは自分に自信がないから。だから、麻子ちゃん、あなたが彼に自信をつけてあげるの。それにはセックスが一番。あなたの体で彼を感じてあげなさい。男にはこれが一番なの」
そう言って、明美さんは麻子さんのお尻をポンポンと叩いて励ましてくれました。
そして、デート当日です。
(でも、そんなはしたないこと…)
お行儀の良い麻子さんは自問自答しながらも、やはり躊躇いが先に立ち、セックスしなくても何とかできると思っていました。
だから、一番お気に入りの、裾には花柄の刺繍がしてある七分袖の白地のミニのワンピースを着て出かけました。
そして、「ここが勝負!」と、思いっきりの笑顔で「おはよう」と駆け寄ると、「おはよう……麻子、それいいじゃないか、似合っているよ!」と、孝義さんも思いっきりの笑顔を返してくれました。
麻子さんは「やったあ!」と思いました。でも、これだけでした。
そうなんです。その日も孝義さんはやはり「うん、そうだね」、「麻子の言う通りでいいよ」と麻子さんの話にも乗ってこず、頭の中は仕事のことばかりの様子で、時間だけが虚しく過ぎていきました。
「帰ろうか?」
夕方、日が陰ってきた頃、時計ばかりを気にしていた孝義さんがそう言い出しました。
(あ~ん、晩ご飯も食べていないのに……もう、いや!)
麻子さんはハンドバッグを投げつけたくなりました。
結局、彼の頭の中は仕事ばっかり。これでは何も変わりません。
二人はこれまでキスはしましたが、体を交えたことはありませんでしたが、もはや躊躇っている場合ではありません。
「今日は帰りたくない」と孝義さんの胸に顔を埋めると、「抱いて欲しいの」と思い切った行動に出ました。
すると、孝義さんは「あ、麻子」と戸惑いましたが、彼も男です。麻子さんをずっと抱きたかったのですが、言い出せなかっただけです。勿論、女性は初めてではありませんが、女の子と本当に付き合ったのは麻子さんが初めて、所謂「素人童貞」だったのです。
(続く)
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