当て付け不倫の相手は青い目-第4話 2930文字 バロン椿

当て付け不倫の相手は青い目-第4話

結婚して16年、39歳の高沢啓子が香川県高松市に単身赴任の夫を訪ねると、そこには井川遥に似た女がいた。
「あ、いや、い、今、説明するから」と狼狽する夫に「なら、抱いてよ。私だって3ケ月もしていないんだから!」と裸になって跨ったが、ペニスはだらんとしたままで勃起しなかった。
「ごめん。もう止めにしよう」と言われ、啓子は悄然として東京に帰ってきた。
そんな啓子に、心配した親友が「ヨガでもしたら」と誘うと、そこには「カール」というヨーロッパ系の顔だが、細身で髪を後ろで束ねた、いかにも「修行者」といった感じのする外国人の男性が現れた……

作家名:バロン椿
文字数:約2930文字(第4話)
管理番号:k120

恋する日々

7月もあと僅かで終わる。
「はい、お疲れ様」
「どうもありがとうございました」

レッスンを終えた啓子はシャワーで汗を流すと、素肌にクリーム色のブラトップを身に着け、お気に入りの花柄のフレアスカートを穿くと、レースのカーディガンを羽織り、ドレッシングルームを出たが、ちょうどインストラクター室から出てきた牧由美子とばったり会ってしまった。

カールとの仲を取り持った、言わば「キューピッド」の彼女だが、何となく気恥ずかしく、目を逸らしたが、「ふふ、待ち合わせ?」と笑われた。何も隠し立てをすることはないが、面と向かってそんなことを言われると「あ、いえ、その」と顔が赤らむ。

ストッキング01

下を向いたまま、「さよなら」と言うと、逃げ出すようにそのビルを飛び出した。
分かっている癖に、全く意地悪なんだから……頬がプーと膨らむが、コーヒーショップのテラスにカールの姿を見つけると、「ハーイ」と手を振るその顔には笑顔が溢れていた。

先日、「大事な時ですから、あなたも行動には気を付けて下さい」と、調停委員から言われたが、「ケイコ!」と手招きする彼の隣りに座ると、煩わしいことは全て忘れてしまう。
「待った?」
「A little bit(少しだけ)」

だが、そこに「何にしますか?」とウエイトレスがやって来る。
カールは徹底した菜食主義者でアルコールはおろか、コーヒーも飲まない。啓子はコーヒーが好きだったが、彼の影響でオレンジジュースかトマトジュースしか飲まなくなっていた。

「オレンジジュース」
「はい、分かりました」
邪魔者がいなくなると、カールは読んでいた新聞を啓子の前に広げ、「What do you think about this article?(この記事をどう思う?)」と聞いてくる。

英字新聞だが、日本国内の記事だから、内容は分かる。だが、返事をしようとして、「I think……」と詰まるが、カールはトマトジュースを一口、口に含み、啓子が答えるのを優しく待ってくれる。啓子も額に皺を寄せながらも、「I think criminal is still young……so,I sympathize with(犯人が若いから……同情しちゃう)」と答える。でも、褒める筈のカールは「Why?(え、そうなの?)」と冷たい。

もう、イヤ!とばかりに、「知らないわよ!」と新聞をクシャククシャに丸めると、「ゴメンナサイ、ケイコ。アナタノコタエOKヨ」と手をギュッと握り締めてくる。でも、啓子は「ふん!」とその手を振り解こうとする。まるでママゴトだが、二人にとってはとても楽しい戯れだ。

こんな楽しい語らいもあっと言う間に過ぎ、時刻は午後2時になる。名残惜しいが、3時までには帰らなくてはいけない。
「あ、ごめんなさい、子供たちが待っているから」と啓子が立ち上がろうとすると、手を握ったカールが頬にチュッとキスしてきた。他人の目なんかもう気にしない。啓子はお返しに唇にチュッと返すと、「またね」と小さく手を振る。
二人の仲は引き返せないところまで来ている。

独り身の夏

8月2日、啓子は既に夏休みに入っている子供たちを静岡の実家に送り出すため、東京駅に来ていた。
「おじいちゃんとおばあちゃんの言うことをよく聞くのよ」
「ママ、分かっている」
「芳樹、彩花を頼むわよ」
「うん」
「じゃあね!」

新幹線がホームを離れていく。啓子は手を振りながらも、「これで暫くは独り身か」と呟いた。
「おはようございます」
「あら、もう送ってきたの」
東京駅から勤め先のスーパーに直行すると、仲良しの加藤智子が声を掛けてくれた。

「はい。先程、新幹線に乗せたら、あっさり『行ってくるね』だって」
「ふふふ、芳樹君も彩花ちゃんも、しっかりしてきたってことよ」
「そうかしら」
どんなことでも褒められれば嬉しい。笑みがこぼれるが、20代の女性パート社員の服装の乱れに気が付くと、「だらしないわね」と「鬼の高沢おばちゃん」の顔に変わった。

店内は開店間際で、お客様を迎える準備に忙しい。
「ブラウスの襟は折れ曲がっているし、エプロンの紐も解けている。お客様から笑われるじゃない」
「うちの女の子もチェックしておかないと」
「それじゃあ、昼休みに」
「はい」
共に主任。無駄話をしている暇はない。

*****

昼休み、いつものように啓子が独りでお弁当を広げていると、「ふうー、疲れた」と智子が遅れてやってきた。
「最近、どう?」
「家庭裁判所からいろいろとね」
「あれは嫌よね」

数年前、智子も夫とゴタゴタがあったから、調停の煩わしさは良く知っている。だから、直ぐに話題を切り替える。
「ヨガはいいでしょう?」
「いいわよ。智子さんに勧められて、本当に良かった。通っていなかったら、ムシャクシャしてノイローゼになっていたわ」

テディプレイスーツ一覧01

カールのことは言えないから、そう答えるが、智子が「あの外人とはどうなの?」とかまをかけてきた。
「え、外人って?」
「ほら、グレゴール先生のことよ」
彼と付き合っていることはインストラクターの牧由美子しか知らない筈だが……

「ああ、グレゴール先生ね。立派な方よ」
「それだけ?」
「それだけって?」
「ほら、どこに住んでいるとか」
「レッスンの終わり頃に来て、一緒に瞑想するだけだから、個人的なことは知らないわ」

「だって、立派な方って言ったじゃない」
「それはインストラクターの由美子さんが、『グレゴール先生は大学でインド哲学を教えています』って言ったからよ」
「ふ~ん、そうなんだ」
智子はうすうす気が付いているのか、含みのあるような言い方だ。だが、それに付き合っていると、ボロを出し兼ねない。

「あら、もうこんな時間」とお弁当を片づけると、「まだ、10分あるわよ」と言う智子の言葉を、「ちょっと商品揃えが気になるから」と遮ると、「じゃあ、お先に」と切り上げてしまった。
煩わしいのは調停だけでいい。独り身の夏はカールと過ごすためにある。
明日は定休日、ヨガのレッスン日だ。

清潔感溢れる部屋

「お疲れさま」
レッスンが終わると、シャワーもそこそこに、近くのミニスーパーに駆け込む。
昨日、「Let’s eat together at my home」とカールがメールを送ってきた。いつもはどんなに話が盛り上がっても、午後2時になると、「ごめんなさい、子供たちが待っているから」と帰らねばならないが、今日はその必要がない。

「何がいいかしら……」
菜食主義者のカールに合わせ、一つ一つ、野菜を手に取ってじっくり選ぶが、ついつい彼の顔を思い浮かべると、吟味する厳しい顔も笑顔に変わる。
あっ、ダメね、と顔を赤らめ、時計を見ると、待ち合わせ時間を10分も過ぎている。慌ててレジで支払いを済ませてコーヒーショップに向かう。

でも、「はあ、はあ、はあ、ごめん」と息せき切って彼の隣りに腰を下ろすと、「ダイジョウブ?」と気遣ってくれる。「うん、OKよ」と微笑むと「Your smile is very lovely(君の笑顔はとても可愛い)」なんて。本当に優しい。

そこに「何にしますか?」とウエイトレスが来るが、この場では、とんだ〝お邪魔虫〟。「いえ、もう出ますから」と伝票を持って立ち上げるが、カールは「Sorry」と気遣う。

早くしてよ……啓子はレジ待ちでさえイラつくが、カールは「イイテンキデスネ」とレジの女性にも笑顔。優雅というか、本当に〝大人の振る舞い〟だ。
コーヒーショップを出た二人は寄り添って歩き、電車に乗ってカールの家に向かう。啓子の心にはこれからのことを受け入れる覚悟が出来ていた。

(続く)

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