詩織の冒険・リボーン-第6話
最愛の夫が先立ってしまった。残りの人生を夫なしで生きなければならない。出来るのか? 生まれ変わるしかないのだけれど……。
作家名:キラ琥珀
文字数:約2870文字(第6話)
管理番号:k111
第6話
伊豆でも有名な修善寺温泉の老舗旅館〈夜叉王の宿〉の特別室の特別会席料理である。
さすがにすごいものであった。
箸付その1、箸付その2,前菜、お椀、お造り、蒸し鉢、焼物、炊合せ、組肴、炊き込みご飯、香の物、留椀、甘味、と続くのだ。
詩織と義母は、とりあえずビールで乾杯した。
詩織は、さっそく箸付の百合根を食べ始めた。
義母は、テーブルに並んでいる料理をにらんでいる。
「ううむ……この配置だと色彩が……ウチだったらこうは並べない……」
吹寄麩を食べた。
「この味は……日本酒には薄いかな……伊豆の山のムードだと……」
詩織が苦笑した。
「お義母さん、ここまで来ても仕事なんですか?」
「あら、そうね。同業者として気になったのよ。ごめんなさいね。仕事を忘れなくっちゃ」
と言いながらも、義母は料理のウンチクを話し続けた。
それは、旅館の女将の仕事のクセが出た、と言うよりも料理が好きだったからであった。
料理が趣味なのであった。
義母の趣味は多方面にわたっていた。
「……信州だと武田信玄の影を感じるけど、ここでは源頼家よね。彼が修禅寺に幽閉されて……」
義母は話し上手であった。
詩織は、武田信玄はともかく、源頼家というのは知らなかった。
しかし、話を聞いているうちに源氏一族の興亡が手に取るように分かるのであった。
名人の講談を聞いているような気分になった。
「……東名で感じたんだけど、ロードスターの吹きあがりがイマイチなのよね。電子制御になったせいかしら」
「それなら改良出来ますわよ」
「あらそう?」
コンピュータ関係は詩織の専門分野である。
得々と説明した。
「ねえ、今度、改良してくれないかしら?」
「厳密に言うと違法なんですよ」
「でも、やってくれるんでしょう?」
「もちろんです」
こうして伊豆の夜は更けていった。
夕食の食器類が片付けられた後、二人は顔を見合わせた。
二人とも、浴衣がはだけて巨乳がむき出しになっている。
お互い、相手の乳房を見て、ニヤニヤした。
「詩織さん、そろそろ寝ましょうか」
詩織は、さっと寝化粧をすると、浴衣を整えて帯を締めなおした。
そして考えた。
浴衣を着る必要はないわ。
浴衣を脱ぎ、パンティも取る。
裸で布団に横になった。
胸がドキドキする。
(こういう気分……久しぶりだなぁ……)
「お待たせね……」
寝化粧を終えた義母が来た。
やはり全裸である。
詩織の横に寝た。
詩織は驚いた。
義母の化粧、体形、挙動、嬌声、すべてが完璧であったのだ。
熟女の魅力が溢れ出ている。
伊豆の山奥に現れた幻想・妖艶の麗人――。
「あらぁ、詩織さん、どうしたの?」
「あっ、あのう……義母さんがあんまり美しいので……」
義母は、詩織に顔を近づけた。
「あ・り・が・と・う。嬉しいわ。でも……」
義母は、軽くキスをしながら続けた。
「……あなたの若さには負けるわ。若いっていうことは素晴らしいわねぇ」
舌を出し、詩織の唇を撫でた。
「ああああ……うううう……」
どちらともなく嬌声が出た。
詩織が舌を出した。
二つの舌が絡みあった。
「ううん……ううん……ううん……」
ディープキスをしたまま、義母が詩織に跨った。
乳首どうしが触った。
詩織は、はっとした。
乳首を弄ばれたことは数限りなくある。
だが、女の乳首がここに触ったのは初めてだ。
フニュフニュの感触が気持ちいい。
先程の露天風呂では乳房どうしが押しつけられていた。
乳首だけ、の感覚はなかった。
だが今は、乳首の先端どうしが触っているのだ。
絶妙な触覚である。
「うううん……」
義母が身体を動かし、乳首が移動した。
「ああああ……こんなの……」
「こんなの? な・あ・に?」
「こんな感触、始めてですぅ……」
「こんな、ってどんな?」
「乳首の……微妙な……気持ちいい……こんなに気持ちいいとは思いませんでした……」
「うふふ……男の愛撫では、このデリカシーは出せないわ」
義母が、詩織の脇の下をくすぐった。
そのまま、ザワザワと指を下へ移動する。
腹から股へ行き、淫壺に指が収まった。
義母は、詩織の横に座り直し、壺の中の指を動かした。
「あっ、あっ、あっ」
指を2本にした。
「ああああ……」
親指を除く4本の指が入った。
「ああああ……そんなぁ……」
壺の中をかき回す。
ズボ、ズボ、ズボ……。
「うわ、うわ、うわ……」
詩織が悶えた。
義母の手の動きが激しくなった。
「うわぁぁぁ……」
詩織は、悶絶し、手で義母の肉体を探った。
容易に股間を探り当てた。
そこは、もうビジョビジョに濡れていた。
手を刺し入れた。
義母にやられているのと同じように手を動かした。
「し、詩織さん、すごいわぁぁぁ……」
「お、義母さん、わたしもよぅ……」
二人は、両手を動かし、大声をあげながら悶絶した。
義母が、身体を動かして、クンニリングスを始めた。
ベチョ、ベチョ、ベチョ……。
詩織も負けてはいなかった。
義母の股間を舐め始めた。
「うううう……」
「ぐわぁぁぁ……」
二人は、獣のような声を出しながら、シックスナインでクンニリングスを続けた。
男と女の違いは、射精があるかないか、である。
射精が終われば、男の身体は一息つく。
だが、女にはそれがない。
オーガズムをしたまま、続けることが出来るのだ。
しかし、心理的な休息はある。
詩織と義母は、どちらからともなく一息ついた。
顔を見合わせた。
限りなく淫靡な笑顔を交わした。
布団の上で身体をずらした。
足を開き、濡れそぼっている赤い鮑を合わせた。
そのまま、お互いの腰を押しつけた。
「うわぁ、うわぁ、うわぁ……」
「イク、イク、イクぅ……」
「グワァァァ……」
「ギャァァァ……」
翌朝――。
「用事を済ませましょう」
義母は、朝食の前に、詩織を車に乗せて宿を出た。
南下し、伊豆高原へと向かった。
伊豆高原の奥にある寺へ着いた。
寺の境内を抜け、墓地へと来た。
高台にあるため、富士山がよく見える。
義母は、まだ墓石の建っていない一角に詩織を案内した。
「ここよ」
詩織は、まさか、と思ったが黙っていた。
「ここに息子の墓を作るの」
「ここに、ですか……」
「そう、最初は、松本の先祖代々の墓に入れるつもりだったんだけどね、でも……」
「でも?」
「松本では富士山が見えない。息子は富士山が見えるところに眠らせたかった」
「……」
「もちろん、詩織さんの住む茜が丘でもよかったんだけど、あのあたりは、欠点があるの」
「欠点?」
「緑が少なすぎる。息子は山国育ちだから、木々が多いところに眠らせたい……」
「そうですね」
「富士山が見えて森に囲まれている……伊豆が最適じゃない。ここのお寺は、ウチの菩提寺と関係があるの。ベストの地よ」
「分かります……」
「ここなら、詩織さんが、ドライブがてら墓参りすることも出来るわ」
「はい」
「勝手に決めてごめんなさいね」
「いいえ、そんなこと……」
「詩織さんはまだ若いのだから、息子にこだわらなくていいのよ。好きに生きてちょうだい」
「姓を新田から伊集院に戻すのですか?」
「そうよ。生まれ変わりなさい」
詩織は、笑いながら言った。
「それ、困ります」
「あら、どうして?」
「お義母さん、と呼べなくなる」
「はあ?」
「近親相姦のスリルがなくなるわ」
詩織は義母にキスをした。
(終わり)
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