ビーストハンター-第1話 3670文字 護堂アオイ

ビーストハンター-第1話

ビーストと呼ばれる、人に害を成す存在がいる。そんなビーストを狩り、金を稼ぐ者たちもいる。ビーストハンター……彼ら彼女らはそう呼ばれていた。
藤堂タカシと鷹山セシルは、そんなビーストハンターであった。2人は金を得るため、今日もビーストを狩る。

作家名:護堂アオイ
文字数:約3670文字(第1話)
管理番号:k100

夕方。廃墟が建ち並ぶ区画。
以前は立派な建物だったのだろうが、今ではあちこちボロボロの建物が並ぶ通りを1人の青年……20代半ばと思われる青年が歩いていた。
チェック柄のネルシャツに黒いジャケット、黒いスラックス、黒い指ぬきのグラブという格好の青年。

この区画は電気が通っていないのか、信号機や街灯には光が灯っていない。
青年……藤堂(とうどう)タカシは何かを探しているようだ。
ヒビが入ったり、陥没したりしているアスファルトの通りを歩きながら周囲に視線を向け、気配をうかがっている。

と、タカシの足が止まった。彼の耳には、獣のうなり声のようなものが聞こえている。
同時に、タカシはある気配を感じ取っていった。
ライオンかトラを思わせる、肉食獣の気配。

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壁のあちこちが崩れているビルの陰から、何かが飛び出てくる。四足の獣のようなシルエット。
大きさはライオンの成獣より一回りほど大きい。
ビルの陰から飛び出てタカシに襲いかかるそのシルエットは、ライオンなどではなかった。
獣であるが、普通の獣ではない。

タテガミがあり、姿はオスのライオンに似ている。額にも目があった……目が3つある獣。
そして、牛のような角(つの)が生えていた。
ライオンのようなのに、体毛には縞模様がある。

さまざまな動物をミックスしたような獣……ビーストと呼ばれている怪物。
ビースト……それは人間の敵。肉食で、人間を襲って食らう。
タカシに体当たりしようとするビースト。タカシは後ろに跳んで、ビーストの体当たりを避ける。避けながら、右手をジャケットの内側に差し入れた。
ジャケットの内側から抜かれたタカシの右手には、大型のリボルバー拳銃が握られている。

バレルウェイトが上にあり、バレルはその下にあるというデザインの大口径拳銃。
タカシは銃口をビーストに向け、トリガーを引く。放たれた弾丸は、ビーストの体に当たる。
ビーストの体にメリ込む弾丸。すると、弾頭に仕込まれている液体火薬が爆発した。

弾丸が当たった場所が、内側から弾ける。
ビーストは耳を覆いたくなるような叫び声を上げた。
タカシはさらに、2回トリガーを引いた。
2発の弾丸が、ビーストの体を内側から弾けさせる。

弾けた部分からドス黒い血をまき散らし、叫びを上げながら、ビーストはタカシに向かって飛びかかった。
ビーストの巨体が迫ってきても、タカシは恐れない。平然としている。
ビーストなど恐れる必要がないと言いたげな態度。

迫りくるビーストにリボルバー拳銃を突き付けるタカシ。このリボルバー拳銃の装弾数は5発。シリンダーに残っているのは、2発。
その残りの2発を、ビーストの頭部に向かって撃ち放つ。
液体火薬が仕込まれた2発の弾丸の直撃により、ビーストの頭部が消失する。
頭部を失った巨体は、アスファルトの路面に落ちた。

タカシはシリンダーをスイングアウトさせて空薬莢を捨て、新しい弾丸を5発、装填(そうてん)した。
頭部を失ったビーストの巨体に変化が生じる。
肉体が砂のようになったかと思うと、一瞬にして崩れた。
元はビーストだった砂の中、そこに不思議な輝きを放つ石のようなものがあった。

リボルバー拳銃をショルダーホルスターにしまったタカシは、その石を拾い、ジャケットのポケットに押し込んだ。
そして、もうこの場に用はないとばかりに、大量の砂に背を向けて歩きだした。
寂しく静かな通りを進むと、2ドアのスポーツカーが停まっている。タカシは運転席に乗り、廃墟が建ち並ぶ区画から離れた。

◇◇◇

とある繁華街。ビーストを仕留め、不思議な輝きを放つ石を手に入れたタカシは、そこを訪れていた。
もう陽が沈んで、あたりは暗い。だが、繁華街の中は明るく、大勢の人で賑わっている。
駐車場にスポーツカーを停めたタカシは、人を避けながら繁華街の中を歩く。

繁華街の店は、どこも栄(さか)えている。数年前まで戦争があったなどと信じられない光景であった。
戦後に姿を見せるようになったビーストが何なのかは分かっていない。戦争で敵国が使おうとした生体兵器……と言われているが、真相は定かではない。

タカシが目的としている場所は、繁華街の外れの方にある。
小さな骨董品店。そこに入る。店内は骨董品が放つ独特の匂いで満ちていた。
カウンターに向かう。

そこには1人の女性がいた。和服を着た若い女性。
「いらっしゃい。ビーストを倒してきたのかしら?」
和服女性の言葉にタカシは、
「他に用があると思うか?」

そう返しながらジャケットのポケットから取り出した石をカウンターに置く。
彼女はそれを手に取り、品定めする。
「Cランクに近いDランクのビーストね。これ1つ?」
「ああ。今日は1体だけだ」

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ビーストが死んだ後に残す石……それを買い取ってくれる店の店主である若い和服女性は、カウンターの端末を操作した。
端末が1枚のカードを吐き出す。いくつかのスイッチと小さな液晶画面が付いている金色のカード。
彼女はそのカードをタカシに渡す。受け取ったタカシはスイッチを操作する。
液晶画面に数字が表示された。このカードに振り込まれている金額だ。

マネーカード……一定の金が振り込まれている、ある種のプリペイドカードのようなものである。
金額を確認したタカシは店主に背を向ける。
「たまには世間話でもしていったら?」
という店主の言葉を気にせず、タカシは骨董品店を後にした。
愛想のないタカシに、店主は小さく肩をすくめた。

◇◇◇

海沿いの道路を、タカシのスポーツカーは走っている。
街灯の数が少なく、夜になると暗くなる道路。他に走っている車はなく、対向車もない。
しばらく走っていると前方が明るくなってきた。
街の明かりだ。

タカシは駐車場にスポーツカーを停め、街の中に入った。
先ほどの繁華街と同じように、賑わいを見せている街。しかし違うのは、どの店の看板も派手でけばけばしいということ。
ここは昼間は死んだように静かだが、陽が沈むと活気づく街……夜の街であった。
夜の街カブキタウン。

タカシはカブキタウンにある一軒の店に足を踏み入れる。
背中に翼を生やし、全裸で両腕で胸を隠している女性の姿が看板に描かれている店。
「いらっしゃいませ、《夜の天使》亭へようこそ」

肌の露出が多いワンピースを着た女性がタカシを迎(むか)えた。
店内は賑わっている。酒や料理の匂いと一緒に、派手な音楽とダイスが転がる音やルーレットが回る音が店の中には満ちていた。
《夜の天使》亭……ここは半分カジノで、半分はバーである店。
バースペースにはショーステージがあり、肌も露わな女性たちが流れる派手な音楽に合わせて踊っていた。

壁の一面は大きなモニターになっており、女性の顔と名前、そして数字が表示されている。
タカシは窓際の空いているテーブル席へと向かう。
椅子に腰を下ろすと、
「いらっしゃいませ、タカシ」

と顔なじみのウェイトレスに声をかけられた。壁のモニターに顔が映っている20代前半の女性。表示されている名前はマイ。
癖のない茶色の髪をロングにしている、整った顔立ちの女性。
美女と呼んで過言ではない。

胸元が大きく開いていて裾の短いタンクトップに、ホットパンツという服装。ホットパンツはローライズで、女らしい豊かな尻の割れ目が少し見えている。
タンクトップの胸を押し上げている膨らみのサイズは、軽く見積もってもFカップはあった。
「いつものでいいのかしら?」

マイという名の美女ウェイトレスに聞かれ、タカシは「ああ」と頷(うなず)く。
彼女は厨房の方に向かい、しばらくして戻ってきた。グラスと皿が乗っているトレーを持っている。
「お待たせ」
酒が満たされているグラスと串焼きの肉が乗っている皿がタカシの前に置かれた。

「マイ、おしゃべりに付き合ってくれ」
タカシはマネーカードを取り出し、マイに向けてスイッチを操作する。
彼女の手首にはまっているブレスレット型の端末が電子音を鳴らす。小さな液晶画面を確認するマイ。そこに金額が表示されているのを見て、彼女はタカシの向かいに腰を下ろした。

チップを払えばウェイトレスと1対1の会話を楽しめる。壁のモニターに顔が表示されているのは、ウェイトレス兼ホステスだ。マイはホステスでもあるのだ。
1対1の会話は1時間。そして、
「お酒、頼んでいい?」

ホステスが頼む食事や飲み物の代金は男持ちであった。
タカシとマイ、2人は酒を楽しみながら会話も楽しむ。
1時間は、あっという間だ。

マイは、
「どうする?」
と聞いてきた。
おしゃべりタイムを延長するか、それとも……という意味だ。

タカシはマネーカードを取り出し、再びマイに向けてスイッチを操作する。
またマイの手首にはまっているブレスレット型の端末が電子音を鳴らす。
液晶画面に表示されるのは、壁のモニターに顔と一緒に表示されている数字だ。

「キミを指名するよ、マイ」
タカシがそう告げると、マイは極上の笑みを浮かべる。
「ご指名、ありがとうございます」

タカシは椅子から立ち上がった。
マイに払ったのは、指名料だ。
彼女はタカシの左腕に両腕を絡(から)め、店の奥にあるエレベーターへと一緒に向かった。

(続く)

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