新妻の君と-第4話
夫婦となった井崎と美香の性生活を描く。
作家名:ステファニー
文字数:約3520文字(第4話)
管理番号:k091
「夕食が来る前にひと風呂浴びに行こうか?」
「そうだね」
二人は立ち上がり、大浴場に行く準備を始めた。
「うん、美味しい」
美香はまるで食リポをするタレントのように、笑顔で箸を口に運ぶ。
「でしょ?ここは箱根で一番、料理が美味しい旅館だからね」
「さすが淳也さん。箱根通だね」
「うん、箱根はあちこち泊まったけど、ここが総合して一番質が高いよ」
「やっぱり。お風呂も綺麗だし、グレード高いんだろうな、とは感じてたよ。この浴衣も素敵だもんね」
最近、流行りの女性向けお洒落浴衣貸出サービスを美香は利用した。美香は当初、パステルイエローの浴衣を選んだ。だが、女将から少しくすみがかった黄緑色の浴衣を薦められ、そちらを選んだ。事実、その浴衣は美香に非常によく似合っている。
「気に入ってもらえてよかったよ」
夕食を片しに来た仲居が部屋を出た後、井崎はなんとなくつけていた部屋のテレビを消した。
「それじゃ、始める?」
美香は無言で頷き、部屋の灯りを落とした。二人は布団が敷かれた部屋に灯るオレンジの豆電球を頼りに服を脱いだ。
「まず内風呂で温まろうか?」
バルコニーに設えてある内風呂につながる戸を井崎はガラリと開けた。山奥の晩秋の夜風がスっと部屋に入り込んだ。
「寒いな」
井崎は掛け湯をし、檜でできた浴槽を跨いだ。
肩を丸め、バスタオルを巻いたまま、美香はバルコニーに出て来た。湯気に巻かれ、蒸気していく中、掛け湯をし、タオルを取り、湯船へと浸かってきた。美香の白肌が紅潮していく。
「美香さん」
まだ赤く染まりきっていない美香の肩を井崎は抱き寄せた。長い髪をアップにしているため、露わになっているうなじが艶っぽい。
二人はしばらく無言で抱き合った。静かな夜の湖畔に見守られ、掛け流しの湯水だけが静寂に響いた。
「…美香さんは……今、…幸せ?」
腕に力を込めて井崎は言葉を絞り出した。
「どうしてそんなこと訊くの?」
美香は身体を反転させ、井崎の胸に頭を埋めてきた。
「気になってたんだ。仕事を辞めて後悔してるんじゃないかって」
井崎の背中に美香は腕を回し、ぎゅっと抱き締めてきた。
「何言ってるの。私、淳也さんと結婚して、本当に幸せ。ちっとも後悔なんかしてない」
「本当に?」
「本当の本当に」
「良かった」
美香を井崎は抱き返した。
「私、淳也さんにオンナにしてもらえて感謝してる。新しい扉を開けて、未知の愉しみをおぼえて、人生が広がったと思うの。だから…」
美香は井崎の目をしっかりと見つめて言った。
「だから、これからもいっぱい抱いてね」
「美香さん……」
井崎は改めて美香を強く抱いた。
「もちろん、もちろんだよ。たくさん抱き合おう」
「うん、よろしくね」
そのまま二人は唇を合わせた。周囲の閑かさがムードを盛り上げる。二人は舌をぶつけ合う。すぐに井崎は下腹がムズムズするのを感じた。それは美香も同じであったらしい。井崎の臍の下辺りに毛の感触が走る。
湯船がザブンと音を立て、波立った。舌相撲をしている二人は肌をピッタリと密着し合った。
井崎は美香の臀部を撫で、前方の割れ目をなぞった。そこは水中でもはっきりとわかるぐらいに絖っていた。そのまま井崎は疼く分身を鞘袋に収めた。
美香は大きく仰け反った。湯加減の心地良さと官能の快感が相見え、悦楽の極みに達したようだ。
「あああっ…………!!!」
瞳を閉じ、大きな叫びを美香は上げた。井崎の腹部に向かって、前後に女陰を打ちつける。この自動抽送に井崎は悶絶した。
「…みっ……、…美香さん……、いっ……、いい!!!……すっ…ご……く…いい…よ」
秋寒の中、名湯に身を浸からせているため、ただでさえ全身が心地よい。そこへ来てこれだ。我慢できるわけがない。
「………だっ…、…ダメだ!………美…香さん、もっ、………もうっ…、でっ………、出る………」
拳銃は水中で暴発した。
水辺の夜風が静かに二人を包んだ。二人はしばらく微動だにせず、そのまま肌を合わせていた。
「…じゅ、……淳也さん…、わっ……、…私……、…これ……以…上……、ガマ…ン…でき……ない…よ……」
美香は泣きそうな声でそう言う。
「わっ…、わかった。移動しよう」
井崎は美香の手を取り、一緒に立ち上がった。
二人は仲居の敷いた布団へ抱き合ったまま倒れ込んだ。体についた水滴はタオルで拭っていないため、そのままだ。それも気にならないほど、無我夢中でお互いの身体を貪り合った。
井崎は美香の膣孔を、美香は井崎の男根を、それぞれ咥えた。既に湿っている美香のアソコは、井崎が舌先で触れるとすぐに大洪水を起こした。
チューッ………
美香の尿道から噴水が上がった。その水が井崎の頬にかかる。
「…イヤッ…、はっ…、恥ずかしい!」
「……大丈夫…。全然……平気…だから…」
そう言いながらも、井崎自身も限界を迎えようとしていた。美香の絶妙な舌温が、井崎の分身を大蛇へと導いているのだ。
美香は生まれてから三十数年、性交の経験がなかったとは思えないほど、フェラの技巧が高い。まるでゴッドハンドを持った整体師かのように、ツボを得た舌と歯の使いようだ。
ピチャ、ピチャ、ピチャ………
大人の舌使いが和室にこだまする。
美香の源泉からとめどなく湧き水が吹き上がる。それでも井崎は攻撃の手を緩めない。美香の弱点、クリトリスから尿孔に舌先を滑らせる。
「……あっ…、……いっ…、…いい……」
美香の腰がピクリと動き、またしても滝が勢いよくなる。井崎はさらに、美香の上半身にある桜の花びらに指をかけた。すでに先端は突起していたが、触れるとますます膨張した。膨らみを増した柔らかな乳房が、プルンプルンと弾けた。
井崎もまた然りであった。パンパンに腫れ上がったイチモツは、今にも雄叫びを上げる寸前だ。
井崎がクリトリスを高速でつつき終えた時、美香の唾液の温かさが井崎の性感を刺激した。
「………あっ、…あああっ……………」
「…うっ…………」
二人同時に性器から性液が上がった。美香の膣と尿道からは間欠泉が立ち上り、井崎からは流動体が溢れ出た。
そのまま無言のまま、井崎は身体を180度回した。
「早く……して。これ以上…、焦らさ…ないで………」
消え入りそうだが、この上なく甘い声で、美香は井崎の耳元で囁いた。
「もちろん」
飢えた井崎の大蛇は美香の下にある口に侵入した。
「…あっ、あっ……、あああっ……、……おっ、美味しい…、美味しいよ………」
「………みっ、美香…さんの…お口に………食べて……もらって……、ほんっ………とに……嬉し……い…よ。……すっ……ごく…気持ち……いいよ………」
井崎の抽送がより激しくなった。美香の膣からは数十秒おきに愛液が吹き出す。
今はベッドの上ではない。畳に置かれた布団に寝そべっており、そこに弾力性はない。だが、二人の身体はトランポリンで跳ねているかの如く、バウンス状態だ。それほど行為は激しさを増した。
「…もっ、……もう…すぐ……、いっ……、…イク…よ……」
「わっ、……私も…。いっ…、イキ…そう…」
井崎はファイナルに向かって、突進した。小刻みに深く抽送する。美香はメスの叫びを上げている。
あったかい。
やわらかい。
かぐわしい。
艶めかしい。
これが美香の中。
離れたくない。離したくない。
ずっと一緒。
どこまでも。いつまでも。
井崎のナニが咆哮を上げた。
美香の頬は真っ赤に蒸気している。
閑けさに男女の運動を終えた二人の息づかいが響き渡った。
それから1ヶ月後。街はクリスマスモードに突入し、イルミネーションとクリスマスソングに彩られた。
夫婦として初めて迎えるクリスマス。思えば一年前は、まだ美香と関係すら持っていなかった。月日が経つのはなかなか疾い。
今朝、美香は少し体調がすぐれないため、通院すると言っていた。特にその後は連絡がなかったため、大事には至っていないとは思われるが、心配だ。井崎は少し早めに仕事を切り上げ、帰宅した。
「ただいま。美香さん、体調はどう?」
美香はリビングのソファにいた。井崎を見るなり立ち上り、満面の笑みを浮かべた。
「うん、まだちょっと貧血気味だけど、大丈夫」
「貧血って大丈夫じゃないでしょ」
「大丈夫なの。病気じゃないから」
美香は井崎の手を自分の腹へと引っ張った。
「できたの。オメデタだって」
微笑む美香の傍ら、井崎は絶句した。が、すぐに正気を取り戻し、これまでに感じたことのないような暖かな気分に包まれた。
「すごいよ、美香さん。やった、やったよ。ありがとう」
「来年の7月に生まれるよ」
「そっか。最高のクリスマスプレゼントをありがとう」
井崎は美香を抱き寄せた。
嬉しかった。
絶対に美香を守っていこうと決意した。
でもちょっぴり寂しくもあった。しばらくはお預けかな、と思うと…。
(終わり)
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