リゾート地でカミングアウトする女達-その9
珊瑚礁の島に移住した男がはじめた小さなショットバー。
そこに立ち寄る女が旅の解放感からか、赤裸々なセックスをカミングアウトする。
作家名:淫夢
文字数:約2200文字
アメリカやりまくりバックパッカー女
「やってますかー?開いてるのね」
今日も客無しで退屈して、独りで飲んでいた10時頃、ドアが開いて奇妙な女が入って来てカウンターに座った。
今までこの島に独りで旅に来て、独りで飲みに来た女性は何人もいたが、彼女だけは種類が違っていると一目で感じた。
「ビール下さい」
ノーブラ?
よれよれのタンクトップのティーシャツのゆったりした胸元から割と大きめで形の良さそうな乳房の谷間が大きく覗いている。
腋の下に白い布地が見えたのでノーブラではなさそうだ。
そういうブラジャー?
下着もあるのか。
500ミリの缶ビールを冷やしたジョッキに満たしてやる。
「あー。美味しい」
女が三分の一程飲み、大げさに息を吐いた。
30歳くらいか、ほとんどスッピンで長い髪をゴムで束ねただけ。
ティーシャツもジーンズもウォッシュアウトなのか汚れているのかも判らない。
美人と言うにはお世辞が過ぎるし、女性らしい色香の微塵もない。
その昔、フーテン族と呼ばれた、見た目も生態もホームレスよりはマシで、それなりに自由を主義主張していた連中が新宿辺りから湧いて出て、あっと言う間に全国に広まったがその拡散と共に消え失せた。
そのフーテンの仲間に良くいたような容貌だった。
最近で言う処のバックパッカーか。
「旅行か?」
「そー。先月アメリカから2年振りに帰って来て、それからフェリーで各駅停車の旅」
タバコを出して火を点け、煙を深く吐き出した。
「仕事はしてないのか?」
「うん。オヤジが喫茶店のチェーンやってて、何時かは跡を継ぐからそれまで遊んでる」
また500円玉を出したので、ビールのお代わりをしてやる。
昔、フーテンの女と一度だけ誘われてセックスしたが、彼女も裕福な育ちだったな。
「皮肉じゃなしに結構な人生だな」
「だって親の跡を継いだら遊べないじゃない。だから。でもソロソロ飽きて来たなー」
「マリンスポーツでもやってんのか?」
日焼けした水着の跡が胸元の谷間に覗いていた。
「へへっ、私、泳げないのよ」
この島に来る女性のほとんどはマリンスポーツをやりに来るか、悩みを抱えていて、心を癒しに来るか、がほとんどだが、悩みなどほとんどなさそうな女だ。
「この島に何しに来たんだ?」
「だから何にも。いろんな島をずっと巡り歩いて毎晩酒飲んで、知り合った男と、んー、適当に、ね」
女が苦笑いして舌を出した。
「セックス三昧の旅か?」
「そこまでリアルに言わないで。でも日本の男ってやっぱ内気って言うか度胸がないって言うか、ダメね」
「そうか?おれも度胸ないかな?アメリカの男は?違うのか?」
「もー朝から晩まで。街歩いてる時もランチしてても、スーパーで買い物しててもすぐに声掛けられて、それなりに良い男だったら、ね。で、昼間に声が掛からなければ夜バーに行けばパーフェクト」
女が唇を突き出して、両手の指でハートマークを作った。
この女がそこまでモテるとは想えないのだが、私相手にウソをつく理由がないから話半分程は本当かな。
アメリカの男ってこんなタイプの女が好きなのかな?
いや、多分、自由奔放な感じだから、セックスも気軽に応じてくれそうに見えるのかも。
「恋人ってか、同じ相手じゃないのか?」
「セックスして気が合ったら?身体が合ったら?同じ相手だったけど、町に飽きて違う街に行く事にしたら着いて来ないのよ。遠いからって厭だって。アメリカって都市と都市の距離がすごくあるじゃない。やつらそれなりに仕事持ってたし」
いや、そうじゃなくて、あなたが単なるセックス相手だからです。
「で?2年で何十人食ったんだ?」
「15都市くらい回って、一度に2人とか4人とかとした事も何度かあるから、んー、100人くらいかな」
「凄いな。名前と顔憶えてないだろ?」
「10人くらいは憶えてるわ。後、1番凄かったあれも」
女が初めて恥じらいを浮かべて笑った。
「あれって?ち⚪︎ぽか?1番凄かった?って?」
この女に遠慮は無用な気がした。
案の定。
女が平然と微笑み、自分の左肘から手首までを右掌で摩った。
「若い黒人で、太さと長さが私の肘から下くらいあったの。ジーンズ履くとき、左脚と一緒に垂らすの。だから、ジーンズの上からそれが判るし、それを視てるだけで興奮して欲しくなっちゃうのよ。カルチャーショック」
外国のポルノサイトでは、そんな巨根を観た事はあった。
「想像したくもないな」
「フェラで口に含むなんて出来なくて、舌で先端を舐めるだけが精一杯。子宮の奥まで入っても、ち⚪︎ぽの半分も入らないの。私はそれだけでイキまくったけど、彼は射精しても物足りないって」
「何となく判りそうな気がする。おれは多分エスサイズだけど、それでも先端しか入らなかったら欲求不満だな」
女がその巨大な勃起を想い出したのか、呼吸が深くなり、頻りに唇を舌で濡らすようになった。
来るか?
「今から私としない?」
来た。
お誘いは感謝申し上げるが、どんな病気持ってるか判らない。
「おれは奥さんいるし、内気で臆病なんだよ」
「そっかー。残念。じゃあ帰ります」
1杯500円だと告げると財布を取り出し、1000円をカウンターに置いて帰って行った。
それから、スーパーに行くと、何度か男と連れ立った彼女と遭い、彼女が私を視て手を振った。
定かに記憶している訳ではないが、大抵違う男だった気がする。
顔見知りの島の男もいた。
揉め事にならないと良いけどな。
それも、暫くして視なくなっていた。
セックスしたくない訳じゃない。
君のような女性としたくないだけ。
ちくしょう!
(続く)
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