アナルリベンジ-第11話
愛する娘が残虐非道の扱いを受け、自殺する。復讐を誓ったおれは、娘の担任の妻を襲う。
作家名:優香
文字数:約3010文字(第11話)
管理番号:k137
適当に食事代わりになる物をオーダーして、何度か酒をお代わりして二時間程過ごす。
他愛もない話をしながら、酒の呑み方、食事の採り方を伺う。
育ちが良いのだろう、マナーも弁えていた。
少し酔いが回って来たのか、瞼がほんのり色付いて、酷くセクシーに感じられる。
「良い女だって、惚れ直してるでしょう?」
美奈子が、無邪気に微笑んで、上目遣いにおれを睨んだ。
「な、何を、今更」
おれは図星を指されてうろたえた。
本当に勘の鋭い女だ。
「あら、嬉しいわ。今更、だなんて。そうだって、白状しちゃってる」
「はいはい。そうです。ところでな」
おれは美奈子に復讐の大筋を説明してやった。
「それであいつを欲求不満にするって、言ったのね。欲求不満が極致になった処で、これから捕まえようとしてる可愛い女の子を岡井の眼の前にぶら下げる。面白そう」
美奈子の瞳が鋭く光った。
「その餌だ。半月ほど前から何度もゲーセンに行って、少し前に独りの女の子に目星を付けたんだが、その女の子が餌になってくれるか、未だ判らない。金で乗ってくれるなら簡単だが、どうも金目当てじゃなさそうでな。それと、その娘は男よりも、独りでいる女に声を掛ける事が多いんだ。もしかしたら、レズかも知れない。だからおれよりお前の方が良いと想ってな。大抵毎晩のように現れてたが、今夜はどうかな。そろそろ行くぞ」
その娘を何度か視掛けたゲームセンターに行く。
夜も更けて来ると、終電に間に合わなかったり、家に帰りたくなかったり、勿論セックス目当てで、金を要求したりもする女が、家に泊めてくれたり、ホテルに連れて行ってくれたりする男を、ゲームセンターなどで物色するのを視掛ける。
週刊誌の記事にあったのだが、実際に何度か行ってみて、その度、二時間もしないうちに必ず声を掛けられた。
中には女子中学生と思しき女の子もいた。
簡単に男に着いて行って、どんな酷い目に遭わされるか判らないと言うのに。
暫く二人でクレーンゲームに興じながら、入り口付近を注意して餌を待つ。
「来たっ。あの子だ」
スリムな体型、白のTシャツにウォッシュアウトのブルージーンのタイトミニ、グレーのスタジャンを羽織り、ショルダーバッグを肩に掛けた餌が、数台のゲーム機の向こうに現れた。
「素敵な子。男なら誰でも、誘いに乗るわね。私、好きだわ、ああいうタイプ」
「頼むぞ」
「はい」
おれは美奈子から少し離れて二人を窺う事にした。
少女がレズなら、美奈子は相手として不足はないだろう。
独りでいる美奈子を一目視たら、必ず声を掛けるはずだ。
少女は背中の中程まで伸ばした、上品なブルネットに染めたストレートヘアを靡かせ、時折掻き上げ、店内を物色しながらゆっくり歩いて、自販機でコーヒーを買おうとしている美奈子に眼を止めた。
近くで視ると、ラフな服装とはアンバランスな、清楚で上品な美貌が一際魅力的だ。
申し分のない餌になる。
「おねえさん」
思惑通り、少女が美奈子に近付き、声を掛けた。
「ん?私?」
美奈子が振り向く。
「うん、私をおねえさんの処に泊めてくれないかな?ホテルでも良い。おねえさんがしたいならセックスしても良いわ」
「男、じゃなくて、女の、私?貴方、レズなの?」
少女が照れ臭そうに美奈子から視線を逸らし、ぶっきらぼうに言った。
「んーん。レズ、かな?男って面倒臭いし、一緒に泊っても、体調が悪いとか生理中だとかって理由を付けてセックスはしないの」
「お金は?あるけど、欲しいの?」
美奈子が少女の美貌を視詰めて心情を探る。
「お金なんてどうでも良い。家出してるから泊まる処がないの。独りでホテルって、なんか、ね」
美奈子が少女に気付かれないようにおれを視て頷いた。
《先に帰ってるぞ》
美奈子に指で合図して、その場を離れた。
部屋に戻ってタバコを喫っていると、少ししてドアが開いて二人が手を繋いで入って来た。
「やっぱりね」
少女がおれを視て驚くどころか微笑んだ。
「何が、やっぱり、だ?」
「ゲーセンで、おねえさんと話してる時、近くで視てたでしょ?」
「判ってたのか?」
「おじ様とおねえさんの雰囲気で、多分そうかな?って。それにおじ様って何度かゲーセンで遭ってるわね」
この少女も勘が鋭そうだ。
その気になってくれたら、餌として充分使える。
「あなた、お酒は呑める?」
「呑みたい。水割り」
水屋からワイルドターキーを取り出して自分のマグカップでロックを作り、娘のマグカップで美奈子に水割りを、少女にはロックグラスに水割りを作ってやった。
少女が、思案しながらダイニングの中を観回している。
「ねえ、不思議なの。おねえさんはここに住んではいないわね。カップがおねえさんのじゃないし、おねえさんの生活用品が全然ない。おじ様、娘さんがいたりするの?」
少女がマグカップを視詰めて首を傾げた。
「明日話すわ。貴方、どうして着いて来たの?」
美奈子も驚いた表情で少女の美貌を窺った。
「だって、おねえさんを一目で気に入ったし、おじ様も感じが良さそうだったから」
「おれが?どうして判るんだ。お前をシャブ漬けにして、売り飛ばすかも・・・」
言い終わる前に少女が屈託なく笑った。
「おじ様が?あははは。私ね、こう観えて、結構人を診る眼はあるんだ。そんな環境で育ったから。おじ様もおねえさんも真面目な人で、ゲーセンなんかに屯するタイプじゃない。だから、おねえさんとおじ様がセットだってすぐ判ったんだ。私、家出して十日になるけど、女とも男ともホテルに行って、でも適当にごまかしてセックスさせなかった。でも、おねえさんとならセックスしたいし、おじ様だったら男でも良いかなって想って。でもおじ様とおねえさんの関係って、判んないなぁ。夫婦じゃないわよね。兄妹でもないし、恋人?かな?」
少女が水割りを一気に呑み干した。
お代わりを作ってやる。
「貴方に手伝って欲しい事があるの。それより貴方、まさか未成年?未成年なら、青少年健全なんとかにひっかかるから、女の私でもセックス出来ないわね?」
美奈子が、おれが気になっていた事を質した。
「大丈夫よ。ほら、学生証」
少女がバッグから、学生証を出して開いた。
T短大。超の付くお嬢様大学だ。
20歳。名前は河村愛子。
「そんな物視せて、良いのか?」
少女のあっけらかんとした素直さに美奈子と顔を視合わせる。
「だって、おじ様はこの部屋の住人で、おねえさんは恋人。二人の正体は大体判ったから。それだけで充分よ」
「どうして?おれが、この部屋の住人だと?」
「ウィスキーを出すのに、探しもしないで水屋を開けたでしょ。それに、この部屋って、おじ様らしいもん。質素できちんと整理してあって。あの部屋のドアノブに女の子らしいアクセサリーが掛かってるのは、多分おねえさんのじゃないから、それだけが判らないけど」
愛子がまた水割りを一気に呑み干した。
「良いわ。愛子。貴方、素敵よ。気に入ったわ」
美奈子も水割りを一気呑みすると、立ち上がって愛子を抱き寄せ、唇を重ねた。
「あん」
愛子も美奈子の腰に両手を回し、キスに応じる。
「セックスの経験は?無い訳ないわよね?」
「無くはないわ」
「恋人は?」
「おねえさんが良いわ」
二人とも、既に熱い喘ぎを洩らし始めていた。
《おいおい、おれは?無視か?》
まるでおれの存在などないかのように、二人がキスを貪り合いながら、おれの面前で互いの洋服を脱がせ合う。
それでも、愛子は、おれとセックスしても良いと言ったが、何度かおれを視て恥じらいはした。
(続く)
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