私の「ヰタセクスアリス」-第3話
私ももうすぐ55歳。そろそろサラリーマン生活も終わりが見えてきました。でも、あっちの方はまだまだ引退するつもりはありません。
明治の文豪、森鴎外は自身の性的な体験を「ヰタセクスアリス」という小説に書き上げていますが、私も森鴎外先生を真似て、自分の性的な体験をまとめてみました。
つまらぬ話ですが、是非お読み頂ければ幸いです。
作家名:バロン椿
文字数:約2960文字(第3話)
管理番号:k096
第二章 楽しい大学生時代
童貞喪失
こんな「パンティ小僧」とでも言うような私ですが、初めてセックスをしたのは、その翌年、大学2年の時です。相手は富田(とみた)雅子(まさこ)さん。知り合ったのは、夏休みにポスティングのアルバイトをした時でした。
「いいですか、必ず全てのポストに投げ込んで下さい。途中で捨てたりしたら、アルバイト代は払いませんよ」と事務所で、くどいくらいの説明を受けた私は、「はい、あなたとあなた」と雅子さんと機械的にペアを組まされましたが、互いに名前も知りません。その上、私は人見知りをするところがあり、「よろしくお願いします」なんて言えませんし、彼女も痩せて、メガネを掛けているから、神経質そうで、気難しい感じがしましたから、共に第一印象は最悪でした。
そんな私たちは、「はい、あなたたちの分です」と封筒のぎっしり詰まった紙袋と地図を渡され、「じゃあ、頼みます」と送り出されましたから、最初は、
「大きなマンションなのね」
「何棟くらいあるんですかね?」
と、こんな会話を交わすくらいでした。
しかし、毎日、私は私で「おはようございます」と挨拶し、「あ、袋は僕が持ちます」と、彼女も「助かるわ。はい、これ」と冷たいペットボトルのお茶をご馳走してくれました。だから、一緒に汗を流して、渡された封筒を配っているうちに、印象も変わり、親しくなるものです。そして、「どこの大学なの?」とか、「ご家族は?」なんて、自然と互いにプライベートなことまで話すようになりました。
そんなせいか、私が「早稲田大学の2年です」と答えると、「へえ、偶然ね、うちの旦那も、あ、いや、元旦那だけど」とバツイチであることも、聞かないのに教えてくれました。
こうなると不思議なもので、「いったい何通配るんだよ、酷いなあ」と初日はぼやいていたのに、5日目頃には「あら、もう終わっちゃったの」と仕事も捗り、「時間が余ったから、お茶でも飲みましょう」と駄弁ることが日課になりました。
「ねえ、彼女、いるんでしょう?」
「えっ、いませんよ、僕には」
「どうして?」
「いや、だって、理系だから、女の子は少ないし……」
自分から「モテない」とは言い難く、口籠ると、雅子さんは「こんなイケメンなのに、周りがバカよね」なんてお情けまで言ってくれました。
雅子さんには遊びのつもりですが、女の子と付き合ったことがない私は「あ、いや、イケメンだなんて」と顔が赤くなり、それがまた雅子さんには面白かったのでしょう。「椿君て、本当にいい子ね」と笑っていました。
私も世間知らずの二十歳でしたから、「富田さんは幾つですか?」なんて聞いてしまいましたが、「37よ」とあっさり教えてくれました。それで、調子に乗って、「こんなきれいな人と別れちゃうなんて、バカですね」と言ったら、さすがに「色々あるのよ」と、その時ばかりは嫌な顔をされました。
そんなこんなで、アルバイトの最終日、「飲みに行かない?」と雅子さんに誘われ、酒は苦手でしたが、二人でスナックに行きました。
こうして、雅子さんとのお付き合いが始まりましたが、高尾山にハイキングに行ったり、ディズニーランドに出掛けたり、私なりに精一杯でしたが、2ケ月くらい経った10月だったと思います。
横浜に遊びに行った帰りの東横線車内で、「もうママゴトはいいわね」と雅子さんに言われました。「えっ?」と思って彼女を見ると、私の手をギュッと握ってスカートの上からですが、自分の下腹部に当てました。
私だってしたかったのですが、経験もありませんし、何せ相手は私よりもずっと年上です。そんなことを言い出せなかっただけなのです。
だから、恥ずかしい話ですが、チンチンが硬くなってしまい、カバンで隠していました。
渋谷に着くと、電車を降りた私たちはラブホテル街に向かいました。
途中、私たちは手を繋いでいましたが、寄り添う訳でもない微妙な距離を取り、私は勿論ですが、雅子さんも何も喋りませんでした。
そして、ラブホテル街が近付くと、人影が疎らになり、前を歩いていたカップルはサッと右側のホテルに懸け込み、私たちも背の高い植込みに囲われた、左側のホテルに入りました。
和室でした。布団が一組敷いてあるだけの和室でした。
雅子さんは肩に掛けていたバッグを置くと、私に抱き寄って、唇を合わせてきました。初めてでした。何もかも初めてでした。だから、吸い返しもしてこない私に、雅子さんは「彼女がいないって、本当だったのね」と笑いました。でも、「いいのよ、あなたらしくて」とギュッと抱き締めてくれました。
夢を見ているようでしたが、そこからは、「実践性教育講座」のようなものです。
「お風呂に入るから」と雅子さんに言われ、服を脱いで裸になり、一緒に浴室に行きました。
しかし、裸になってみると、また印象が変わるものですね。痩せていると思った雅子さんはオッパイがそこそこ大きく、37歳でしたから、お腹が少しボッコリ、おまけに陰毛が濃くって。それが、シャー……と温かい湯にあたると、肌が桜色になるし、陰毛がピッタリと張り付き、これまた凄く色っぽくて、もう私のチンチンはビンビンに勃起していました。
部屋に戻ると、いよいよです。私たちは裸になって布団に入り、改めて口付け。今度は私も吸い返し、雅子さんを抱き締めました。柔らかくて、いい匂いです。そして、遠慮がちに手を伸ばしてアソコに触れると、しっとりしていました。
唇を離した私は少し体を下げ、指先に集中してそこを撫でました。すると、「ああ、いい、いいわよ」と雅子さんの口から悩ましい声が漏れてきました。感じているんだ……と思った私が撫で続けると、雅子さんの声は「ああ、そう、そうよ、はぁ、はぁ、はぁぁぁ……」と益々悩ましくなり、それと共に性器のしめりはぬめりに変わってきました。エロ雑誌等で読んだ「濡れてくる」ということです。そして、合わせ目が緩み、私の指は自然とその中に分け入り、もっと凄くなっていることを知りました。
指を突き立てると、底無し沼のようで、動かすと、「あっ、あっ、あ、あ、あああぁぁぁぁぁ……」と雅子さんは首を振って喘ぎ、私は滅茶苦茶に興奮してしまいました。さらに、指をもっと奥まで入れて、掻き回すように膣襞を擦り上げると、「あぁ、あぁ、そ、そこぉぉ……はぁぁぁぁぁ……」と体を捩って暴れ出しました。
掛布団はどこかにいってしまい、シーツには染みが出来ていました。
私は雅子さんがおかしくなってしまったのかと思いましたが、それは私も同じです。「ま、雅子さん!」と組み伏せるように上に乗ると、雅子さんは「ま、待って」と言ったようですが、そんなものは聞こえません。そのままチンチンを掴んで性器に挿し込み、腰を突き出してしまいました。コンドームを付けるなんて考えもしませんでした。
ヌルッとしたと思ったら、チンチン全体が生温かい管の中に入って、「あ、やったんだ」って感じです。気持ちいいというか、まあ、何とも言えない、良かったですよ。しかし、直ぐに出そうになって、「あ、あ、あっ、ああああ……」とそのまま逝ってしまいました。
「はあ、はあ、ダメよ……生でしたら……」
ぐったりする私を抱き締めた雅子さんはそう言いましたが、別に怒っているような感じはしませんでした。
(続く)
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