国際部の君と-第1話 3130文字 ステファニー

国際部の君と-第1話

人気漫画雑誌『週刊少年ジャンボ』編集者の井崎と国際部所属のキャリアウーマン美香のラブストーリー、続編。

作家名:ステファニー
文字数:約3130文字(第1話)
管理番号:k076

午前四時。
美香は浅い眠りから目覚めた。
ここはどこだっただろうか。世界を飛び回っている美香は毎朝、天井を見ながら必ずそこを確認する。
寝ぼけ眼で左に顔を向けると、美香は思わずギョッとした。男がいたからだ。
瞬時に美香は自分の身に起きたすべてを思い出した。
私はこの男と寝てしまったのだ。
唇を重ね、乳房を撫でさせ、脚を開いて、性器を合わせた。
気まずかった。一刻も早くこの場から立ち去りたかった。

美香はすぐさま床に散っているブラとショーツに手を伸ばした。手早く着替えを済ませると、コートと荷物を目で探した。それらは昨夜のまま、玄関先に放置されていた。鞄の口は閉まっている。私物は部屋に残されてはいないだろう。
耳飾りをつけて、ベッドから離れようとした、その時だった。美香の腕が重たくなった。恐る恐る美香は振り向いた。
「一緒に会社行こうよ」
井崎が眠たそうな目のまま、美香を見ていた。美香はゆっくりと井崎の手を振り払った。
「ごめんなさい。着替えをしたいので、これで失礼します」
美香はベッドを離れると、荷物を拾い、足早に部屋を後にした。

二月の早朝は空が暗い。ほぼ夜と同じだ。
美香はまだシャッターが閉まったままのデパートを横目に、東京駅の改札に向かった。間もなく始発電車の発車時刻だが、人通りはまばらだ。スーツケースを引き、帰国の途に就く外国人観光客ぐらいしかいない。
新幹線乗り場横の改札から構内に入り、京葉ストリートに入っても、状況は同じだった。東京ディズニーリゾートの土産袋を抱えて、新幹線ホームへ向かう中国人観光客数人とすれ違っただけだった。
長い廊下とエスカレーターを経て、京葉線地下ホームに辿り着き、美香は一旦の帰路に就いた。車内に空席はあったが、座らなかった。閉まっているドアの前に陣取り、窓を鏡にして自分の姿を確認した。やはり髪が乱れている。ホテルディナーと聞いていたため、気合いを入れて編み込みをしたが、見事にほつれている。化粧をしたまま仮眠を取ってしまったので、肌の調子も気になった。
なんでこんなことになったのか。
これから自分はどうなってしまうのか。
美香は流れていく車窓を眺めながら、呆然とした。

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舞浜駅の一つ先、新浦安駅が美香の最寄り駅だ。幼い頃に両親がマンションを購入し、以来ずっと美香はここに住んでいる。
美香の両親はともに公務員で、堅い性格だが、子育てに関しては子どもの意志を尊重する自由主義を取っていた。勉強や稽古事を強制することはなく、進路についても口出しはしなかった。
子どもの頃の美香は、物静かであり、引っ込み思案だった。学校では目立たない、大人しい存在であった。友人も少なく、放課後はいつも母親と過ごしていた。
思春期の学校生活を心配した両親は、美香に中学受験をさせた。両親は特に美香のお尻を叩いて指導したわけではないが、結果として、美香は県内一の名門女子校に合格した。仏教系の学校でお堅いが、進学実績は非常に高く、県内のみならず、都内からも生徒を集める人気校だ。
この学校と美香の相性は頗る良好であり、相変わらず無口ではあったが、少ないなりに友人もでき、充実した六年間を過ごせた。中学の修学旅行先がオーストラリアであった所以から、美香は世界に目を向けるようになり、国際情勢を学びたいと考えるようになった。
高校卒業後は国際学部のある女子大に進学をした。中高時代が女子校で楽しかったため、同じような生活を望み、女子大を選んだのだ。
大学一年生の時にイギリスへ短期留学をしたことをきっかけに、さらに英語を身につけたいと思うようになった。美香は留学資金を貯めるため、休日はバイトに明け暮れ、平日は学校と英語学習に打ち込んだ。

その甲斐あって卒業後、晴れて美香はイギリスに再留学することになった。半年間の語学留学である。
大学でもそこそこ仲良くしていた友人はいたが、みな就職したため、別な道を選択した美香は異質な存在となり、距離ができてしまった。それは高校時代の友人たちとも同様だった。以後、美香は親しくしている友人はいない。
留学生活は充実していた。世界各国から来ている学生たちと交流し、親睦を深め、日々を楽しく過ごせたのだ。
美香は苦手だった会話力を強化するために積極的に彼らとコミュニケーションをとり、力をつけていった。これはそれまで能動的だった美香の性格をも一変させた。
留学後にどうするかは考えずに渡航した美香だったが、さまざまな国の人々と接したことを通して、もっと見識を深めたいと考えるようになり、帰国後は大学院の進学を志した。そして翌春には出身大学の修士課程に進学した。
大学院在学中も勉学に勤しみ、実用英語技能検定一級取得とTOEIC960点マークを達成した。修士論文の出来も素晴らしく、美香の担当教員はこの上ない就職先を紹介してくれた。それが雄英社の国際部である。

美香は五時過ぎに帰宅した。元々、美香は帰宅時間が不規則だ。海外出張の帰国便が早朝や深夜であったり、会社に出社しても午前様まで残業するのも珍しくないからだ。
それでも、今日はなんだか戸を開けづらい。後ろめたさが美香を襲った。
そっと扉を開けると、まだ中は暗かった。家族はまだ眠りの中なのか、と安心したのも束の間、部屋の奥からけたたましい歓迎の雄叫びに出くわした。
愛犬のミニチュアシュナウザー、グレイだ。もう16歳のおじいさんだが、吠えは健在だ。
美香は口元で人差し指を立て、「グレイ、しいっ!」と声を上げずに言い、自室に入った。
今ので家族の目が覚めたのではないか、と不安になる。
美香は両親とひと回り歳の離れた弟の四人でこの家に暮らしている。弟は19歳で現在浪人生だ。とても優秀な弟で、理工系の難しい学校を目指している。将来はバイオテクノロジーの研究者になりたいという。受験生にとってこの時期は入試が相次ぐ大切な期間である。姉の不貞行為で気持ちを乱すなど、あってはならない。美香はそっと自室からバスルームに移動し、シャワーを浴びた。

午前八時。美香はいつもと同じように通勤ラッシュにもまれながら、神保町にある雄英社に向かっていた。
今日は弟の入試日であったことが幸いし、美香への家族の関心は全くなかった。美香は一人、隠れるようにして朝食をとり、逃げるように出社した。
シャワーを浴び、全身きれいさっぱりした。髪もシャンプーし、結い直した。頭から足の先まで着替えもした。
昨日のことはすべてリセットされた。
新しい一日に向かって気持ちを切り替えよう。
美香はスッキリした気持ちで雄英社国際部の敷居を跨いだ。
「おはようございます」

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雄英社国際部。
そこは常時七名以下しか所属が許されない少数精鋭部隊である。
採用条件は極めて高い。
まずゼミ教員の推薦状がないと選考に至れず、通常の新卒採用からの配属はない。
また実用英語技能検定一級もしくはTOEIC920点以上のいずれかを取得していなければならない。現在のメンバーでは美香のみがその両方を満たしている。
さらに英語圏での滞在経験が半年以上あること、国内外問わず大学院卒業以上の学歴、と高いハードルがいくつも並ぶ。
メンバーは政治、経済、スポーツ、文化と担当分野が分かれている。美香は今、文化担当で、音楽やファッション及びグルメ等のサブカルチャーの情報を集めている。
仕事としては、担当分野の情報を原文から仕入れ、日本人が興味を持ちやすい話題を探し、雄英社の関連した編集担当者に紹介をすることだ。インターネットが発達した現代では、国内にいてもかなりの情報が入手できるようにはなったが、それでも現地で情報収集した方が捗るケースも多い。特に美香は芸能担当のため、イベントの張り込みが必須だ。そのため海外出張が多くなりがちなのだ。

(続く)

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