ひろしと美紀の初体験-第1話
ひろしと美紀は中学2年の秋から付き合っていた。中3の夏休み、美紀が「エッチしよう」とひろしを誘った。ひろしは嬉しかったが、セックスは未経験で、上手くセックスできるか不安だった。セックス前夜、ひろしは自室でコンドーム装着の練習に励んだ。二人は首尾よくセックスできるだろうか?
作家名:城山アダムス
文字数:約1950文字(第1話)
管理番号:k148
「ひろし君、明日の放課後、部室でエッチしよう」
中3の夏休みが終わる頃、ひろしは同じバスケットボール部に所属している美紀から、思いがけない言葉を投げかけられた。
ひろしと美紀は中2の秋から付き合っていた。
初めてのキスは、付き合い始めて一月後のこと。あのドキドキする瞬間は、ひろしにとって十分に特別で、セックスなんて遠い世界の話だと思っていた。
思春期のひろしには、もちろん性欲もあった。
部屋にこっそり隠したエロ本を手に、毎晩自慰にふけることも珍しくなかった。美紀との親密な時間を想像することはあっても、実際にセックスに至る自信はまるでなかった。
「セックスって、どうやるんだろう?」
先輩や同級生の間では、そんな話題が飛び交っていた。
でも、雑誌や噂から得られる情報は曖昧で、確かな知識には程遠かった。美紀もそんなこと考えてないだろうと、ひろしは勝手に決めつけていた。
なのに、美紀の突然の誘い。
中学生の女子は男子より早く大人になると言うけれど、美紀の周りの友達はすでに年上の彼氏と初体験を済ませている子が多かったらしい。まだその一歩を踏み出していない美紀は、どこか焦りを感じていたのかもしれない。
ひろしは言葉に詰まった。
うつむいて黙っていると、美紀が震える声で言った。
「ひろし君、私とエッチするの嫌なの?」
その泣きそうな顔に、ひろしは思わず答えた。
「ううん、嫌じゃないよ」
「本当? じゃあ、明日練習終わったら、エッチしようね」
美紀の笑顔が、ひろしの胸を締め付けた。
好奇心と喜びは確かにあった。でも、それ以上に不安が渦巻いていた。コンドームってどうやってつけるんだ? 挿入ってどうする? ちゃんとできるのか?
頭の中は疑問だらけだった。
まず、コンドームを手に入れなきゃ。ひろしはコンビニへと急いだ。
コンビニの棚にはコンドームがずらりと並んでいた。
でも、中学生のひろしには、レジに持っていく勇気がなかった。他のお客の視線が刺さるようで、結局何も買わずに店を出た。
「明日の美紀との約束、どうしよう…」
思案しながら歩いていると、薬局の前にコンドームの自動販売機を見つけた。
ひろしの心臓がドキンと跳ねた。ここで手に入れなければ、明日、美紀との約束を果たせない。
夕方で人通りは多く、なかなか自販機に近づくタイミングがつかめなかった。ひろしは自販機の近くで、人が途切れるのをじっと待った。15分ほど経ち、ようやく人通りが途絶えた瞬間。
「今だ!」
ドキドキしながら、五百円玉を自販機に投入した。
ゴトン、と音を立ててコンドームの箱が落ちてくる。ひろしは慌てて取り出し口から箱をつかみ、走るようにその場を離れた。
信号待ちの間に、箱をカバンの奥に押し込んだ。
家に着くと、玄関を抜けて一気に2階の自分の部屋へ。カバンからコンドームの箱を取り出し、机の引き出しの奥にそっと隠した。
家族が寝静まった深夜、ひろしは引き出しからコンドームの箱を取り出した。
封を切ると、中には10個のコンドーム。初めて見る本物のコンドームに、ひろしは少し緊張した。
「装着の練習、しなきゃ…」
1個目のコンドームを手に取り、袋を破った。
薄いゴム製の丸い輪。ブリーフを下げ、ドキドキしながらペニスに被せてみるが、亀頭に引っかかってうまくいかない。両手で輪を大きく広げたら、ビリッと破れてしまった。
「広げすぎたか…」
2個目を取り出し、今度は慎重に広げて亀頭に被せた。
一気に根元まで引っ張ると、また裂けてしまった。力加減が難しい。
3個目。破れないよう慎重に、ゆっくりと亀頭から根元まで装着。
ようやく成功したが、5分以上かかり、勃起も収まってしまっていた。
「これじゃ、明日興醒めしちゃうよ…」
4個目。
勃起していないことに気づき、本棚の奥からエロ本を取り出して気分を高めた。
すぐに勃起。袋を破り、素早くコンドームを被せ、一気に根元まで。今回はうまくいった。
所要時間は1分ほどだった。
「もう一回、時間を計ってみよう」
5個目。
机の上の腕時計のストップウォッチ機能を起動した。
袋を破り、素早く装着。亀頭をクリアし、根元までスムーズに。ストップウォッチを見ると、32秒。
「これなら、明日なんとかなるかな…」
箱には未使用のコンドームが5つしか残っていなかった。
装着の目処は立ったが、美紀にうまく挿入できるだろうか? 初めてのセックスへの不安で、ひろしはその夜、なかなか眠れなかった。
次の日になった。
寝不足の僕は、生あくびをこらえながら登校した。
学校の正門前で美紀が待っていた。
僕を見つけると、笑顔で手を振ってきた。僕も笑顔で手を振った。
今日の美紀は一段と可愛く見えた。
美紀は僕に駆け寄ってきた。
「おはよう、ひろし君」
「おはよう」
「今日の放課後・・・大丈夫?」
美紀は不安げな顔だ。
「大丈夫だよ」
美紀はにっこり微笑んだ。
(続く)
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