浅川健太郎の告白-第11話 1930文字 バロン椿

浅川健太郎の告白-第11話

私、浅川(あさかわ)健太郎(けんたろう)は46歳。会社は中堅だが次長。一応名前の通った私立大学卒だが、自慢する程ではない。
こんな私にも、いくつかの女性遍歴がある。
内緒にして頂くことを条件に、こっそり貴女だけにお話するので、笑わずに最後までお聞き下さい。

作家名:バロン椿
文字数:約1930文字(第11話)
管理番号:k143

サラリーマン生活~新たな旅立ちと別れ

大学を卒業して東西商事に就職した私は、東京の郊外、西外れの営業所でサラリーマン生活をスタートしたが、
「浅川、契約は取れたか?」
「あ、いえ、まだですが・・・」
「じゃあ、なんでそこに座っているんだ?」
「あ、もう6時なので」
「バカ野郎!取れるまで帰って来るな。直ちに行ってこい!」
こんな具合に仕事は厳しく、今なら「パワハラ」なんて言われるが、当時はあたり前。泣きたくなることもあったが、まだ木村茜さんとの付き合いは続いており、そんな時は独身寮には帰らず、木村さんのマンションに行って過ごすという、まあ、新入社員とは言えない生活を送っていた。

こんな具合だから、入社2年目も大した成績を上げられず、「使えない奴だ」なんて叱られてばかり。毎日辞めることばかり考えていたが、ある日、営業所長代理から「浅川、鎌田屋の取引を取ってこい」と命じられた。
鎌田屋は大手酒類販売店だが、「うちは坂田商会としか追付き合わない」と頑固な主人に、どの営業マンも討ち死にして、〝難攻不落の城〟と言われていた。
そうか、俺を辞めさせるってことだなと受け止めた私は、「ハイ、いいですよ」と半ば不貞腐れて引き受けたが、〝鬼軍曹〟とあだ名される営業所長代理は「毎朝、毎晩通って、あの主人にとにかく食らいつけ」と私を徹底的に追い込んだ。やってられねえよ!ときつい日々だったが、3ケ月ほどすると、「お宅も粘るね」と頑固な主人から声を掛けてもらえるようになった。
それを営業所長代理に報告すると、「よし、もう一息だ」と一緒に鎌田屋に訪問してくれ、「へえ、あんたが噂の〝鬼軍曹〟か」なんて主人は笑顔で迎えてくれた。これは幸先がいいと思ったら、「負けたよ」と小さいながらも契約を交わしてくれた。その瞬間、営業所長代理は、「えっ、よろしいんですか?」と声が裏返っていた。〝鬼軍曹〟も実は「帰れ!」と言われるのではないかとビクビクしていたらしい。

会社に帰る道すがら、「鎌田屋さんのオヤジさんもいいひとじゃないか」とご機嫌よく、社でその報告を聞いた営業所長も普段は笑わないのに、「取れたか」とニンマリ。そして、「そうか、そうか。お前もようやく分かってきたな」と私の手をギュッと握りしめてきた。
それで、お礼のつもりで「ありがとうございます」と深々と頭を下げたら、営業所長代理が背中をバンバン叩いて、「浅川、これでお前も一人前だ」なんて言うので、見ていた営業所長は「お前が言うか」と大笑いしていた。
自分でも、営業マンとして成長した実感があって、こうなると仕事は面白い。「取れました!」、「倍額です」と不思議にお客様からありがたい話の連続で、以後、営業成績は右肩上がりだった。
しかし、入社3年目の25歳の時、プライベートでは長年付き合ってきた茜さんとの別れがあった。
「えっ、どうしてなんだよ?」
「だから、先日実家に帰った時にお見合いしたの」
「違うよ、僕がいるのに、どうしてお見合いしたって聞いているんだよ」
「あなたと幾つ離れているのよ。結婚なんかできないでしょう」
確かに14も離れている茜さんと結婚するといったら、すんなり親が認めるはずがない。すったもんだするのは明らか。それに私は結婚など具体的に考えたことはなかったが、彼女は既に39歳。「これが最後のチャンスなのよ」と言われたら、返す言葉がなかった。
「潮時かもね」と笑った茜さんは、翌月、大学も辞め実家に帰っていった。

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本社への栄転

入社3年目ももう終わる3月。そろそろ転勤かとソワソワしていると、営業所長から「浅川君、おめでとう。本社の食品事業部に転勤だ」という声に続き、「未開拓の分野を切り開いた、君の頑張りに、本社人事部も合格点を出してくれたな」と励ましのお言葉も頂いた。
それで取引先に挨拶回りをすると、あの鎌田屋のご主人が「いやあ、君には期待しているんだよ」と殊の外、喜んでくれ、「お祝いだよ」と、都内にある大手酒類販売店のキーパーソンを何人か紹介してくれた。これは本当に助かった。
その中の一人が酒類問屋の常務の吉川さんで、「そうか、鎌田屋さんからの紹介か」と可愛がってくれ、時には「バカ野郎!」と怒鳴られることもあったが、「それ頼むよ」と新たな契約をくれたり、私の本社勤務が順調なスタートを切れたのも、吉川さんのお陰。それに、クラブや小料理屋などにも度々連れて行ってくれ、宴席のマナーなども教えてくれた。
「接待が上手い」などと社内で褒められたことがあったが、これも吉川さんのお陰で、紹介してくれた鎌田屋のご主人には感謝している。
それで、これからお話する、川田(かわだ)光江(みつえ)さんとのことも、言ってみれば吉川さんが取り持ってくれたようなものだ。

(続く)

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